韓国の尹外相来日、日韓外相会談のポイント・尹炳世発言などまとめ
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韓国の尹炳世(ユン・ビョンセ)外相が日本を訪問し、岸田文雄外相と韓国の尹炳世外相による日韓会談が21日夕、東京都内で行われた。日本が進める「明治日本の産業革命遺産」(計23施設)の世界文化遺産登録について協力する方針を初めて示した。
韓国外相の来日は約4年ぶりで、朴槿恵政権の発足後では初めて。翌22日には、安倍総理を表敬した。
また、NHKの単独インタビューで、慰安婦問題について「この問題をきちんと解決すれば、これ以上、再び議論される理由はない」、駐韓日本大使館前の少女像についても「われわれが努力して慰安婦問題を解決すれば、おのずとこの少女像の問題も進展があるのではないかと思う」と述べた。
日韓外相会談のポイント
世界遺産登録
「明治日本の産業革命遺産」「百済の歴史地図」が登録されるよう互いに協力することで一致。
慰安婦問題
双方が従来の立場を譲らず。外務省局長級協議を継続する。
日韓首脳会談
適切な時期に開催するよう努力することで一致。
日中韓首脳会談
来年中、できるだけ早期開催で一致。
尹炳世外相、記者団へのコメント
21日に行われた、日韓外相会談前後の記者へのコメント。
世界遺産登録
会談前 | 会談後 |
韓国が反対している問題で「意見の差が狭まることに期待している」 | 「(両国は)協議を通じて円満に解決するとの共通認識を持ち、緊密に話し合うことにした」。 「(日韓は)世界遺産委員会の責任ある委員国として協力する」。 登録対象の施設の一部について朝鮮人強制徴用の歴史を明示することなど、韓国側の求めを日本側が受け入れたのかとの質問には「近く説明する」 |
慰安婦問題
会談前 | 会談後 |
「進展があれば、国交正常化50年を機に日韓関係を発展させる弾みになる」 | 「われわれの立場を伝えた」とし「細部について後に話すときが来る」 |
日韓国交正常化50年を記念し22日に両国で行われる行事
会談前 | 会談後 |
「朴槿恵(パク・クネ)大統領からの、信頼と友愛のメッセージを伝える」 | 日韓の首脳がそれぞれ出席することについて「関係改善へ両国指導者の強い意思が反映された」 |
日韓外相会談
平成27年6月21日
21日(17時30分から約2時間),岸田外務大臣は,外務省賓客として訪日した尹炳世(ユン・ビョンセ)韓国外交部長官との間で日韓外相会談を行い,その後岸田大臣主催夕食会を行ったところ,概要以下のとおり(同席者:日本側から,杉山外務審議官,伊原アジア大洋州局長ほか,韓国側から,柳興洙(ユ・フンス)駐日韓国大使,金烘均(キム・ホンギュン)外交部次官補,李相徳(イ・サンドク)東北アジア局長ほか)。
1 尹炳世長官の初めての訪日。日韓関係の前進に向け,前向きな意見交換が行われた。会談では,日韓関係総論,日韓国交正常化50周年,人的交流,安保や経済等での日韓間の協力,日韓間の諸課題,北朝鮮問題,そして,南シナ海を始めとする地域や国際社会の課題について議論を行った。
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(1)冒頭,岸田大臣から,ユン長官の初めての訪日を歓迎し,3月の訪韓時の温かいおもてなしに感謝するとした上で,韓国におけるMERSの流行で亡くなられた方に哀悼の意を表明し,早期の終息及び日本として協力できることがあれば協力したい旨述べた。また,6月22日に両国の首都で祝賀行事が開催されるのは喜ばしく,安倍総理も自分(岸田大臣)も出席するとした上で,困難な問題はあるが,国交正常化50周年である本年を意義深い年とすべく,協力していく重要性を強調した。
(2)ユン長官から,薗浦政務官の空港での出迎えに感謝の意が表明され,3月の外相会談の際に岸田大臣から訪日の御招待を受け,励まされるとともに,国交正常化50周年であることもあって訪日したとの話があった。また,MERSをめぐる岸田大臣の言及に感謝の意が表明された。
3 両外相は,日韓両国で国交正常化50周年を記念して,様々な認定事業が実施されていることを歓迎した上で,本年が意義深いものとなるよう引き続き協力していくことで一致した。その一環として,両外相は,22日に両国の首都で祝賀行事が開催されることを歓迎し(両国首脳の出席を確認),日韓交流おまつりを始め,今後開催される様々な事業を積極的に後押ししていくこととした。
4 両外相は,国際会議の場での外相会談を定例化するとともに,外相の相互訪問を行っていくこととした。その一環として,ユン長官から岸田外務大臣の年内の訪韓の招請があり,適切な時期に訪韓すべく調整していくこととした。また,日韓,日韓米の連携が重要との観点から,日韓米外相会談を適切な時期に開催すべく,三か国で調整していくこととした。両外相は,日韓首脳会談を適切な時期に実現すべく共に努力していくことで一致するとともに,日韓中サミットを本年できるだけ早期に開催することで一致した。
5 両外相は,日韓間の協力関係の強化は,日韓両国のみならず,アジア太平洋地域の平和と安定に不可欠であることを確認し,安全保障,経済といった様々な分野での実務的な協力を引き続き深化させていくことで一致した。韓国でのMERSの流行に関しては,双方が緊密に意思疎通して協力しつつ,対応していくことで一致した。
6 両外相は,日本産水産物の輸入規制強化,「旧民間人徴用工」をめぐる裁判,産経新聞前ソウル支局長の起訴をめぐる問題,慰安婦問題等の日韓間の懸案についても議論した。また,日韓両国は,世界遺産委員会の責任あるメンバーとして,同委員会の成功に向けて協調し,「明治日本の産業革命遺産」と「百済歴史地区」という両国の推薦案件が共に登録されるよう協力していくことで,完全に一致した。
7 両外相は,非核化に向けた北朝鮮の具体的行動を引き出すため,北朝鮮問題をめぐる日韓,日韓米の緊密な連携の重要性を確認し,拉致などの北朝鮮の人道上の問題についての理解と協力を確認した。
出典:外務省
岸田外務大臣会見記録 6月22日(月曜日)10時22分
(平成27年6月22日(月曜日)10時22分 於:官邸エントランスホール)
外相会談を終えて、成果と評価
【日本テレビ 鳥羽記者】
昨日,外相会談を終えまして,改めてその成果と評価をどのように受け止めていらっしゃるかお願いします。【岸田外務大臣】
昨日は外相会談,尹炳世(ユン・ビョンセ)長官として初めての訪日の上での会談となりました。会談,夕食会を合わせますと,3時間以上にわたりまして率直な意見交換を行うことができました。そして,その上で,引き続き,意思疎通を図ることの大切さを確認し,外相間においても定期的に外相会談を行う,あるいは相互訪問を行う,こうしたことを確認し,そして先方から今年中に私自身の訪韓について招請があり,是非,検討していこうということでも一致をしました。
さらには,懸案でありました世界遺産の登録の問題につきましても,成果を上げることができた,こうした会合でありました。
このように,日韓の関係改善に向けて,一定の成果を上げることができたと受け止めていますが,引き続き両国の間には様々な課題があります。こうした課題がありますが,様々な分野,レベルを通じまして,しっかりと対話を重ね意思疎通を図ることによって両国関係を前進していきたいと考えております。国交正常化50年を迎えるにあたって
【日本テレビ 鳥羽記者】
今日で国交正常化50年です。今日という日を外相として迎えるにあたってのお気持ちをお願いします。【岸田外務大臣】
50年前,日本と韓国の間の人の行き来は年間1万人程度でした。今や年間550万人を数える多くの方々が両国の間を行き来する,こういった時代を迎えることになりました。
こうした両国関係の進展・発展につきましては,率直にお祝いをしたいと思っています。今日の状況を迎える前に多くの先人の皆様方が努力をされてこられました。こうした先人のご努力には敬意を表し申し上げながら,昨日の外相会談につきましても率直な意見交換ができましたし,これからも様々な対話,意思疎通を積み重ねることによって,両国関係を一層発展させていきたいと考えております。
こうした節目の年,節目の日を迎えるに当たって,改めて両国関係の重要性を感じ,引き続き,努力をしていかなければならない,さらなる信頼関係構築に努めていきたい,こういった思いを強くしております。日韓首脳会談について
【テレビ朝日 藤川記者】
昨日の会談で一定の成果があったということなのですけれど,その一方で,日韓の首脳会談について早期の開催に向けて努力するということについては一致しておりますけれど,具体的な時期について何も示されていないようですけれど,そういった状況についてはどのようにお考えになっておられるでしょうか。【岸田外務大臣】
先ほど申し上げましたように,引き続き,両国の間においては難しい問題が存在いたします。だからこそ,様々な分野,様々なレベルの会話が重要であると考えています。そして,その中にあって両国の首脳会談,これは最も大切な両国の間の対話であると考えています。
是非,こうした様々な対話を積み重ねることによって首脳会談を実現したいと思っています。
おっしゃるように具体的な日にちはまだ決まってはおりませんが,そうした大切な首脳会談実現に向けて努力をしていこうということについて両国の間で一致を見ることが出来たと思っています。是非,引き続き努力をしたいと考えています。【読売新聞 仲川記者】
昨日の日韓外相会談の関係なのですが,朴槿恵(パク・クネ)大統領はこれまで慰安婦問題の解決,日本からの韓国に対する譲歩を首脳会談開催の前提条件としてきたと思のですけれど,現時点で大臣はどのような認識でいらっしゃいますでしょうか。【岸田外務大臣】
韓国側の方針について何か申し上げる立場にはありませんが,我が国としましては,難しい問題があるからこそ,両国の対話が重要であるということを申し上げ続けてきました。昨日も対話の重要性については確認できたと思っております。是非,難しい問題があるからこそ,対話が重要だという思い,韓国側にもしっかり受け止めて頂き,日韓の首脳会談実現につなげていきたいと思っています。出典:外務省(見出しはブログ主が勝手につけています)
尹炳世外交部長官による安倍総理大臣表敬
平成27年6月22日
本22日,午前11時15分より約25分間,安倍晋三内閣総理大臣は尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官の表敬訪問を受けたところ,概要以下のとおりです。 冒頭,尹炳世外交部長官から安倍総理大臣に対し,1984年に安倍晋太郎元外務大臣が訪韓した際の写真の贈呈がありました。
1 安倍総理大臣から,尹炳世外交部長官が日韓国交正常化50周年の本日,表敬に来られたことを歓迎すると共に,昨21日に行われた日韓外相会談で有意義な意見交換が行われたことを評価しました。また,今年は日韓国交正常化50周年であり,様々なレベルや分野において,日韓間の意思疎通が緊密化していることを評価し,隣国ゆえに難しい問題もあるが,だからこそ,胸襟を開いて話し合うことが重要であり,日韓関係の改善に向け,朴槿恵(パク・クネ)大統領と共に尽力していきたい旨述べました。
2 これに対し,尹炳世外交部長官から,本年を新たな50年の元年にしたいとの朴槿恵大統領からのメッセージの伝達とともに,日韓関係の前進に向け,努力していきたいとの発言がありました。また,両首脳が本日夕方の東京及びソウルで開催される50周年記念行事に出席することは,日韓関係改善にとって良いことである旨述べました。
3 この他,日韓間の国民間の交流や地方自治体の交流(朝鮮通信使を記念する行事など)の重要性が話題になりました。
出典:外務省
尹炳世外相 「慰安婦問題、解決すれば再び議論される理由はない」
韓国のユン・ビョンセ(尹炳世)外相は、22日、NHKとの単独インタビューで、以下のように述べた。
従軍慰安婦問題
「この問題をきちんと解決すれば、これ以上、再び議論される理由はない」
「国交正常化50年をよいきっかけとして生かすことができれば、両国の新しい50年に向けての転換点になるのではないか」駐韓日本大使館前の少女像
「われわれが努力して慰安婦問題を解決すれば、おのずとこの少女像の問題も進展があるのではないかと思う」
日中韓首脳会議
日中韓首脳会議の年内開催を目指していることについて、「実現すれば、韓国と日本両国の首脳が会えるきっかけになるのではないかと思っている」
参考文献:NHK 6月22日