【安倍首相】米国公式訪問「日米首脳会談」で発出された共同声明など

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「日米首脳会談」についての記事は以下をご覧ください。

【安倍首相】日米首脳会談<概要・動画>など 訪米まとめ [2/5] (4月28日・3日目)

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安倍晋三内閣総理大臣の米国公式訪問
安倍晋三内閣総理大臣は現在、4月26日から5月3日の日程で米国を公式訪問しています。
ボストン・ワシントンDC・サンフランシスコ・ロサンゼルスの各都市を訪問する予定で、このうちワシントンDCでは、28日の日米首脳会談を始めとする公式行事に出席する予定です。29日には、日本の総理大臣として初めて、連邦議会の上下両院合同会議で演説を行いました。

日米共同ビジョン声明

平成27年4月28日

今日,日本と米国は,70年間にわたりグローバルな平和,安全及び繁栄に永続的に貢献してきたパートナーシップを誇っている。第二次 世界大戦終戦から70年を迎える本年,我々二国間の関係は,かつての敵対国が不動の同盟国となり,アジア及び世界において共通の利益及び普遍的な価値を促 進するために協働しているという意味において,和解の力を示す模範となっている。日米両国は,グローバルな問題及び我々の生き方の基礎となるルール,規範 及び制度へのコミットメントに則り,ルールに基づく強固な国際秩序を構築することに共に寄与してきた。

この強固な同盟とグローバルなパートナーシップへの変革は必然ではなかった。数世代にわたるあらゆる立場の人々が,過去の経験は教えとすべきで あるが,将来への可能性に制約を課すべきではないとの信念の下,我々両国間の関係を時間をかけて構築した。この努力が,日米両国を,今日における位置,す なわち,互恵的な経済的パートナーシップを通じ地域の繁栄を促進し,アジア太平洋地域の平和と安全の礎であるとともに,グローバルな協力の基盤たる揺らぐ ことのない同盟によって支えられた,世界の二つの主要経済大国へと導いた。我々両国がたどった道のりは,全ての関係者が達成のために献身的に尽力すれば和 解が可能であることを示している。

過去70年間にわたり,日米関係は,国際システムの課題や大きな変化に順応する形で,成功裡に発展してきた。日米両国は,共に,冷戦に打ち勝つ とともに,その余波に対応するのに寄与し,2001年9月11日の同時多発テロ以降のテロとの闘いにおいて協働し,世界金融危機後の国際金融構造の強化の ために協力し,2011年3月11日の悲劇的な東日本大震災及び津波のような自然災害に対処し,北朝鮮の核及びミサイルの脅威並びに人権侵害及び拉致に立 ち向かい,イランの核計画についての懸念に対処するために協働し,国境を越える複雑な課題に対処するために協力してきた。

本日の安倍総理とオバマ大統領との間の会談は,日米のパートナーシップの変革における歴史的な前進を画するものである。我々は,日本の国際協調 主義に基づく「積極的平和主義」の政策及び米国のアジア太平洋リバランス戦略を通じ,地域及び世界の平和で繁栄した将来を確かなものにするために緊密に連 携している。我々は,21世紀における両国の安全及び繁栄は相互に絡み合い,切り離すことができず,国境のみによって定義されないものであることを認識す る。日米両国の相互及び国際秩序に対する現在及び将来のコミットメントは,そのような現実を反映している。

日米両国は,地域の繁栄を追求する上で,透明性が高く,ルールに基づき,漸進的なアプローチにコミットしている。この地域における日米両国の リーダーシップは,環太平洋パートナーシップ(TPP)を通じた貿易及び投資,開発協力並びにインターネット・ガバナンスを含む。日米両国は,ダイナミッ クかつ急成長するアジア太平洋地域及び世界中において,貿易及び投資のルールを定めるための取組を主導している。日米両国は,TPPの二大経済大国とし て,これまでに交渉された貿易協定の中で最も高い水準の協定をまとめるために取り組んでいる。TPPは,より多くの雇用を後押しし,賃金を引き上げ,地域 の平和及び安定の促進を含む広範な長期的な戦略目標における日米の共同の取組を強化することによって,日米両国及びアジア太平洋地域の全体にわたって経済 成長及び繁栄を牽引する。日米両国は,二国間の交渉において大きな進展があったことを歓迎するとともに,より広い協定の迅速かつ成功裡の妥結を達成するた めに,共に取り組むとのコミットメントを再確認する。

新たな日米防衛協力のための指針は,同盟を変革し,抑止力を強化し,日米両国が新旧の安全保障上の課題に長期にわたり対応していくことを確実な ものとする。新たな指針は,同盟内の各々の役割及び任務を更新するとともに,日本が地域の及びグローバルな安全への貢献を拡大することを可能にする。新た な指針は,この地域及びそれを越えた地域において,日米両国が海洋安全保障を含む事項についてより緊密な形で取り組み,我々が希求するところを共有する他 の国々と連携することを可能にする。日米両国がグローバルな射程を有するようになった同盟を強化する中で,米国は,日本における安定的で長期的な米軍のプ レゼンスを基礎として,日米安全保障条約に基づく自らのコミットメントの全てについて固い決意を持っており,揺らぐことはない。

日米両国は,グローバルな課題に対処するパートナーシップを構築している。我々のアジェンダは広範なものである。我々は,人類が直面する最大の 脅威の一つである気候変動及び環境悪化が引き起こす脅威に対処するため,両国の経済を更に強化し,強固で,持続可能で,均衡のとれたグローバルな成長を促 進するため,確実で,手頃で,持続可能でかつ安全なエネルギーを供給するよう取り組むため,貧困を撲滅し,持続可能な開発を達成するため,人間の安全保障 を促進するため,暴力的過激主義に対抗するため,核兵器のない世界の平和及び安全を達成するために核兵器不拡散条約(NPT)体制を強化するため,グロー バルな貿易及び投資を促進するため,伝染病及び国際保健に対する脅威と闘うため,宇宙科学研究を進展させるとともに宇宙における抗たん性を促進するため, 情報の自由な流通に基づくサイバー空間の安全で安定した利用及び開かれたインターネットを確かなものとするため,防災を促進し,自然災害及び人道的緊急事 態に苦しむ人々を救済するため,人権及び普遍的自由を促進するため,世界中の女児の教育の促進並びに女性及び女児のエンパワーメントのため,そして,国連 平和維持活動を強化するために協働する。米国は,日本を常任理事国に含む形で国連安全保障理事会が改革されることを期待している。70年前には,このパー トナーシップは想像できなかった。今日,このパートナーシップは,日米両国が共有する利益,能力及び価値を適切に反映している。

日米両国は,グローバルな協力を拡大すべく努める上で,次の共有された原則に従う。

  • 主権及び領土一体性の尊重
  • 紛争の平和的で強制によらない解決へのコミットメント
  • 民主主義,人権及び法の支配への支持
  • 開かれた市場,自由貿易,透明性のあるルール及び規制並びに高い労働及び環境基準を通じた経済的繁栄の拡大
  • 航行及び上空飛行の自由を含め,共有された領域における行動に関するグローバルに認められた,国際法に基づく規範の促進
  • 強固な地域・国際機関の促進
  • 志を同じくするパートナーとの三か国及び多国間協力への支持

今日,国際的な秩序は,暴力的過激主義からサイバー攻撃に及ぶ新たな課題に直面している。力や強制により一方的に現状変更を試みることにより主 権及び領土一体性の尊重を損なう国家の行動は,国際的な秩序に対する挑戦となっている。そのような脅威は,日米両国が構築してきた多くのものを危険にさら す。日米両国は,他の同盟国及びパートナーと協調して,再び順応しなければならず,また,実際にそうするだろう。同時に,日米両国の前には,科学技術,エ ネルギー,インフラ,芸術及び文化といった分野で,日米両国の協力を新たな水準に高める胸躍るような機会も存在する。これら及び他の分野におけるイノベー ション及び起業の精神は,官民協力の支えも得て,日米両国の経済成長及び繁栄の推進力であり続ける。これらの様々な分野での日米両国の取組による恩恵は, グローバルに行き渡るだろう。日米両国が前進するに当たり,特に若い世代の間で,両国関係の重要な柱として人的交流を積極的に推進する。日米両国は,70 年間にわたる両国のパートナーシップの強さ及び強靱さが今後数十年間の成功を確かなものにするとの認識の下,これらの課題及び機会に取り組んでいく。

核兵器不拡散条約(NPT)に関する日米共同声明

平成27年4月28日

1. 日本と米国は,核兵器のない世界の平和と安全の追求及び核兵器不拡散条約(NPT)へのコミットメントを再確認する。我々は,核軍縮,核不拡散及び原子力の平和的利用という同条約の3本柱それぞれを強化するニューヨークでの運用検討会議の成功に向けて協働する決意である。NPTは,グローバルな不拡散体制の礎と,核軍縮達成のための不可欠な基礎であり続けている。広島及び長崎の被爆70年において,我々は,核兵器使用の壊滅的で非人道的な結末を思い起こす。広島と長崎は永遠に世界の記憶に刻み込まれるであろう。核兵器使用をめぐる懸念は,すべてのNPT締約国がNPT第6条の下にコミットしているところの,核の危険を低減し,核軍縮に向けて努力するためのすべての取組を支えるものである。我々は,70年という(核兵器)不使用の記録が永久に続けられるべきことはすべての国家の利益であることを確認し,すべての国がこの目標を達成することに責任を共有することを引き続き確信している。

2. 我々は,核軍縮への「ステップ・バイ・ステップ」アプローチに対する我々のコミットメントを再確認し,冷戦最盛期からの進展を認識する。我々は,更なる進展が必要であることを認識している。即時に採らねばならない措置には,米国とロシアとの間での交渉を通じた更なる核兵器削減,核兵器用核分裂性物質生産禁止条約(FMCT)の即時交渉開始,包括的核実験禁止条約(CTBT)及び既存の非核兵器地帯条約の議定書の発効並びに単独の,二国間の,地域的な又は多数国間の措置を含め,配備及び非配備双方のあらゆる種類の核兵器の継続した削減が含まれる。我々は,核軍縮・不拡散プロセスにおける不可逆性,検証可能性及び透明性の原則を適用することの重要性を一層強調する。かかる観点から,米国は,日本の軍縮・不拡散イニシアティブ(NPDI)におけるリーダーシップとCTBT発効促進会議共同議長としての役割を歓迎し,日本は,核軍縮検証のための国際パートナーシップを立ち上げた米国のイニシアティブを歓迎する。我々は,核軍縮努力における核兵器国と非核兵器国との更なる協力を促進することとなる同イニシアティブにおいて緊密に協力していく用意があることを確認する。

3. 我々は,市民社会による肯定的役割について一層留意し,8月に共に広島で開催予定の国連軍縮会議及びCTBT賢人グループ会合,さらには11月に長崎で開催予定のパグウォッシュ会議が軍縮・不拡散に向けたモメンタムを強化することを期待する。

4. 我々は,不拡散義務を遵守する国々による,平和的目的のための原子力技術及び原子力へのアクセスを明確に支持する。我々は,原子力技術の平和的利用の恩恵を促進する上での国際原子力機関(IAEA)の役割を強力に支持する日米両国が,IAEAの平和利用イニシアティブ(PUI)に対する今後5年間の財政的支援をプレッジしたことを発表することをとりわけ喜ばしく思う。米国による50百万ドルのプレッジ及び日本による25百万ドルのプレッジは,原子力科学技術の利用によって,がん治療やエボラ診断を含む医療保健の改善,食料と水の確保,海洋の浄化及び病気の撲滅が世界で最も必要とされる地域において引き続き進展することを確実なものとするであろう。

5. IAEA保障措置制度は,かかる枠組みの重要な要素であり,国家が平和的な原子力計画を核兵器開発に転用していないことを検証し,また,不遵守の事例に対処することによって,グローバルな不拡散体制に対する挑戦を防止し,対処する上で重要な役割を担っている。我々は,IAEA保障措置の標準として認められた包括的保障措置協定及びIAEA追加議定書を締結していない国々に対し,これらを締結するよう呼びかけるとともに,保障措置協定実施のために各国に対し支援を行うとの我々の意思を新たにする。我々は,国レベルにおけるIAEA保障措置の進展を支持し,IAEA保障措置制度の信頼性,有効性及び統一性を維持することの重要性を強調する。NPTの将来的な一体性を維持するためには,いかなる国家に対しても,その責任を逃れたり,他国との平和的協力の成果を悪用するための方法として,条約から脱退することを思いとどまらせるため,また,条約の3本柱すべてにおいて目に見える進展を示すことで締約国に対して条約にとどまり続けることを慫慂するため,行動が必要である。

6. 我々は,不遵守の事例によりもたらされるNPTの一体性及び不拡散体制に対する挑戦に立ち向かう責務を強調する。我々は,EU3+3によるイランとの合意を歓迎し,イランの核計画が専ら平和的性質であることに関する国際社会の懸念を完全に解消し,イランが核兵器を取得しないことを確保するために,いまだ残された作業の完了を奨励する。さらに,我々は,北朝鮮による完全で検証可能かつ不可逆的な非核化を達成するための外交的プロセスにコミットし続ける。我々は北朝鮮に対し,2005年六者会合共同声明におけるコミットメントを守るための具体的な行動をとり,関連する国連安全保障理事会決議の義務を完全に遵守し,核実験や弾道ミサイル発射を含めた更なる挑発を自制し,NPT及びIAEA保障措置に復帰し,自らの不拡散義務を完全に遵守するよう求める。

7. 我々は,また,アジア及び世界において厳格な輸出管理を促進することの重要性を強調する。我々は,アジア諸国の輸出管理能力を一層向上させるとともに,厳格な輸出管理は貿易・投資相手国の信頼を醸成するものであり,貿易・投資を阻害するのではなく,更なる経済成長に向けた好ましい環境を創出するとの認識を促進することを目的として,アジア諸国に対するアウトリーチ活動を実施するため,引き続き協力していく決意である。

より繁栄し安定した世界のための日米協力に関するファクトシート

平成27年4月28日

日米両国は,幅広い共通のグローバルな優先課題を包含する戦略的パートナーシップを構築してきた。今日,日米パート ナーシップは,両国が世界中の課題に対処すべく協力する中,両国に共通する利益,能力及び価値を適切に反映している。日米両国は,長年のパートナーシップ を更なる高みへ導くために以下のとおり取り組むことを再確認する。

二国間の経済的及び人的つながりの拡大

日米両国は世界最大の経済大国の二つであり,世界の国内総生産(GDP)の30%近くを占めており,両国の経済は貿易と投資を通じて 深く絡み合っている。この深い経済統合は,両国にとって雇用創出,賃金上昇,イノベーション及び更なる繁栄のための卓越した推進力となってきている。こう したきずなを更に発展させるため,日米両国は以下のとおり取り組む。

  • 日米両国の経済的なきずなを更に深化。2014年の日米間の双方向の物とサービスの貿易額は2,790億ドルであった。米国の日本に対する直接投資残高は1,230億ドルであり,日本は米国に対する直接投資残高が二番目に多い国であり,残高は3,500億ドルに近い。
  • 両国間の強固で成長している二国間投資関係の重要性に留意しつつ,セレクトUSAとInvest Japanとの間の協力及び協働を拡大。
  • 米国のグローバル・エントリー・プログラム(GEP)への日本の参加及び日本の信頼できる渡航者プログラム(TTP)への米国の参加により迅速な旅行を促進。
  • 両国経済の将来の成長のための投資としての高速鉄道開発の重要性を認識しつつ,高速鉄道プロジェクトを含む日米それぞれにおけるインフラ開発についての協力を拡大。
  • 学生,研究者及び議員間交流の増加に向けた取組を含む,人的なつながりの強化を継続。「未来へのカケハシ・イニシアティブ」及び 「TOMODACHIイニシアティブ」並びに大学間パートナーシップ促進のための「チーム・アップ」キャンペーン及び国際交流基金によるプログラムを促し た日米文化教育交流会議の継続的な取組を歓迎。

我々の未来のための科学,技術及びイノベーションの活用

日米両国は,共に,以下の取組を行うため,両国の技術及び資源を活かしている。

科学,技術及びイノベーション

  • 2014年に延長された日米科学技術協力協定に基づき,学術機関,政府系研究開発機関及び産業界と緊密に協力し,日米科学技術協力合同高級委員会を通じて,生物医学研究,ロボット工学,材料研究,計算機・情報科学及び工学技術等の重要な研究課題における両国の協力を拡大。
  • 新しい技術を活用し,イノベーションを進めることで,高齢化社会の課題に対してよりよく対処するための方法を探求するために協働を継続。

宇宙

  • 責任ある,平和的で,安全な宇宙利用の確保へのコミットメントを再確認。
  • 次回会合が年内に東京で開催される予定の政府が一体となって取り組む宇宙に関する包括的日米対話を通じるなどして,広範で包摂的かつ戦略的な視点から宇宙に関する協力を強化。
  • 国際宇宙ステーションの継続運用の重要性を強調し,次回の国際宇宙探査フォーラムに向けた緊密な協力を確保。
  • グローバルな環境及び気候に関する課題に対処するため,気象学及び地球科学を含む宇宙科学及び地球観測の分野における協力を増進。
  • 宇宙航空研究開発機構(JAXA)とアメリカ合衆国航空宇宙局(NASA)との共同のグローバルな降水観測計画並びに炭素観測衛星2号,温室効果ガス観測技術衛星1号及び2号に関する計画についての取極を通じたグローバルな炭素量測定に関する継続した協力を認識。
  • グローバルな気象予測のために必要なデータの利用に空白が生じることを回避するため,地球環境変動観測ミッションの後継ミッションにおいて協力。
  • 宇宙からの測位,航法及びタイミング,強化された宇宙状況監視,海洋監視のための宇宙の利用,宇宙技術の研究開発及びミッション機材の相乗り(ホステッド・ペイロード)の利用に焦点を置きつつ,重要な宇宙システムの抗たん性及び相互運用可能性を強化。
  • 宇宙における責任ある行動及び宇宙の平和的利用を促進するため,宇宙活動に関する国際行動規範のような,透明性及び信頼醸成のための措置を設けるための国際的努力を支持。

サイバー及びインターネットエコノミー

  • サイバー問題及びインターネットエコノミーに関する両国の強固な協力を強化及び拡大。
  • 開かれた,相互運用が可能な,安全で信頼できるサイバー空間,情報の自由な流通を確かなものとするためのインターネット・ガバナンスの複数利害関係者モデル及びフリーダム・オンライン連合により概要が示されたインターネット・フリーダム原則へのコミットメントを再確認。
  • 政府一体となった日米サイバー対話及びインターネットエコノミーに関する日米政策協力対話の次回会合を本年中に開催。国際電気通信連合(ITU)や国連総会等の関連の国際フォーラムに先立ち緊密に調整。
  • 知的財産,企業秘密又は国有企業若しくは商業部門に競争上の優位をもたらすことを意図したビジネスに関するその他の秘匿情報の,国家の支援を受けたサイバーを利用した窃盗を含む,サイバー事案及び脅威に関する情報共有を促進。
  • 2013年の国連情報セキュリティ政府専門家会合の提言に対するコミットメントを再確認。
  • 国家は,平時におけるサイバー空間での国家の行動について追加的で自発的な規範は既存の国際法と両立すべきであることを認識し,これらの規範を 守るべきであることを確認。特に,日米両国は,国家が故意に重要なインフラに損害を与え,又は公衆に対してサービスを提供するインフラの活用を阻害するオ ンライン活動を実施し,又は,そうと知りながら当該オンライン活動を支援すべきでないとの見解を共有。日米両国は,各国の間で幅広く支持されることがサイ バー空間の国際的な安定に貢献するであろうことに留意し,平時における具体的なサイバー規範を特定するために継続して議論することを約束。
  • 2020年オリンピック・パラリンピックの準備に焦点を当てた重要なインフラの保護及びミッション保証に係る政府一体となった協力を強化。
  • 国立標準技術研究所(NIST)の重要インフラのサイバー・セキュリティ改善枠組みに含まれているような原則の促進を通じた重要なインフラのグローバルな強靱性の拡大を追求。
  • サイバー空間における脅威及び脆弱性に関する情報及びサイバー・ミッションのための防衛部隊の編成,訓練及び装備におけるベスト・プラクティスを共有。

エネルギー

  • 原子力は温室効果ガスの排出削減に貢献する重要なベースロード電源であるとの共通認識に基づき,民生用原子力に係る研究開発,核セキュリティ, 廃炉及び環境管理,緊急事態管理,原子力安全及び規制等の分野を含む民生用原子力協力を,日米二国間委員会を通じて強化。福島第一原子力発電所及びその周 辺地域の廃炉・除染活動に貢献してきた米企業及び米エネルギー省(DOE)の国立研究所による専門家ワークショップ,技術交流及び関与を継続。
  • 日米エネルギー戦略対話及び日米エネルギー政策対話を含む,戦略的意義及び技術面での協調に関する二国間での議論を通じ,エネルギーに関する対話を促進。
  • 液化天然ガス(LNG)のグローバルな追加的供給が日本及びその他の戦略的パートナーに資することから,将来の米国からのLNG輸出の見通しを歓迎。
  • 2014年の核セキュリティ・サミット(NSS)を受け,また,2016年に開催予定の次回NSSの成功に向けて,様々なイニシアティブに関し て共同の取組を継続。特に,2016年に日本の高速炉臨界実験装置から全ての高濃縮ウラン燃料及びプルトニウム燃料を撤去するために協働。
  • 原子力損害の補完的な補償に関する条約が4月15日に発効したことを歓迎し,他国の参加を奨励するため協働。
  • エネルギー及び関連分野の研究開発における協力に係る実施取極や二酸化炭素回収・貯留(CCS)分野での協力に関する協力覚書,沖縄ハワイ間の クリーン・省エネルギー開発と展開に関するパートナーシップの延長に係る署名によって,また,クリーンエネルギー大臣会合やアジア太平洋経済協力 (APEC)における協働によって,低炭素社会構築のためのクリーンエネルギー技術分野における二国間及び多国間の協力を強化。
  • メタンハイドレートの調査に関する日米の科学協力を継続。

地域及びグローバルな安定を促進するための協力

日米両国は,安全で安定した環境が,両国が共に行う全ての重要な取組を可能とすることを認識し,以下の分野で取り組む。

国連平和維持活動(PKO)

  • 米国のアフリカ平和維持部隊迅速対応パートナーシップ並びに国連及び日本によるアフリカ施設能力早期展開支援プロジェクト等を通じた平和維持能力構築に係る両国の協力を拡大。

海洋安全保障

  • 航行及び上空飛行の自由並びに海洋紛争の平和的解決を含む国際法の尊重を促進。
  • アジア太平洋地域における海上保安及び海洋安全保障のための能力構築支援を調整。
  • アジア海賊対策地域協力協定(ReCAAP)を通じた海賊行為及び船舶に対する武装強盗への地域的協力を強化。

テロ・暴力的過激主義対策

  • テロリストの活動及び暴力的過激主義に対して包括的に対処。
  • 暴力的過激主義対策に関する閣僚級会合(CVEサミット)の主催並びにコミュニティへの働きかけ及び強靱性に関するグローバル基金(GCERF)の設立といった米国のイニシアティブを支持。
  • 中東及びアフリカ地域における国境管理への能力強化支援を通じたテロ対策強化,中東における安定及び繁栄に向けた外交強化,所得格差の軽減及び若者の雇用と教育の促進を通じた過激主義を生み出さない社会の構築に向けた支援といった日本の取組を支持。

持続可能な開発を世界中で促進するための協働

日米両国は,持続可能な開発,繁栄及び平等をグローバルに推進するために,以下の共同の取組を行う。

開発協力

  • 第3回開発資金国際会議の成功を確保するため,両国の開発パートナーとの相互の協力・調整を強化。
  • ミレニアム開発目標のモメンタムを活かし,極度の貧困の撲滅及び持続可能なグローバルな開発の促進のための強力な手段として機能する,野心的なポスト2015年開発アジェンダに関する国際的な合意を追求。
  • 食料安全保障の改善,保健と教育の支援,電気へのアクセスの増加及びアフリカ開発会議(TICAD)の目的と成果を促進するために,アフリカを含む,グローバルな開発における協力を促進する。
  • ミャンマー,デンマーク及び国際労働機関(ILO)と共に,労働の権利に関連する環境改善のため2014年11月に開始した「ミャンマーにおけ る基本的な労働の権利と労働慣行の促進イニシアティブ」という新たなパートナーシップを通じて,ミャンマーの改革の取組を支援するため協働を継続。
  • 支援総額のうちより多くの額を,後発開発途上国,低所得国,小島嶼開発途上国(SIDS),陸地に囲まれた開発途上国,脆弱で紛争の影響を受けた国を含む,支援の必要性が最も高く,公的財源を国内調達する能力が最も低い国に対して割り当てることの重要性を強調。
  • 第3回国連防災世界会議の成果及び日本の内閣府と米国土安全保障省連邦緊急事態庁との間で2014年12月に署名された協力覚書を踏まえ,東南アジア諸国連合(ASEAN)の防災分野における能力構築のための協力を含め,防災分野における協力を更に推進。

環境及び気候変動

  • パリにおける国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)における気候変動合意の成功に向けて,二国間及び多国間で協力。
  • 2度目標を念頭に,米国が3月31日に発表した2025年には温室効果ガスの排出量を26~28%削減するとの2020年以降の削減目標に留意 し,日本ができる限り早期に,かつCOP21に十分先立ち,野心的な目標を提出する意思を持っていることを確認。日米両国は,低炭素経済への移行を加速化 させていく必要性を認識。
  • 緑の気候基金(GCF)といった適切な措置により,気候変動に脆弱な国々の支援において協力。
  • ハイドロフルオロカーボン(HFC)削減のためのモントリオール議定書改正の採択を支持。
  • 本年,違法・無報告・無規制(IUU)な漁業の撲滅のための共同の取組を通じたものを含め,海洋漁業資源の保存及び持続可能な利用並びにそれによる世界的な食料安全保障に係る協力に関する声明を発表。
  • 環太平洋パートナーシップ(TPP)協定において海洋生物資源に関する強固な規定を確保するために協働。
  • 地球環境ファシリティ(GEF)と協働した協力の可能性を追求することで水銀に関する水俣条約の目的に貢献するために取り組む。
  • 大気質の水準の改善や認定のため,地元政府との間で可能な協力を構想しながら,アジア太平洋地域における大気汚染の緩和のために取り組む。
  • パートナー国が環境教育プログラムを形成し実施できるよう支援する上で協力。
  • この環境分野での協力を前進させるため,米環境保護庁長官が日本の環境大臣と会談するために予定している本年後半の東京訪問を十分に活用。

女性・女児のエンパワーメント

  • エチオピアにおけるビジネス開発プログラムや,米国のアフリカ女性起業家プログラム(AWEP)及び日本のビジネス・ウーマン起業家プログラム (BWEP)等の活動を通じたビジネス間のネットワーク形成事業といった活動により,東南アジア及びアフリカの女性の能力強化において協力。
  • 「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW!)」と平等な未来パートナーシップ(EFP)と間の協力を歓迎。
  • PROMOTEプログラムにおけるアメリカ合衆国国際開発庁(USAID)と国際協力機構(JICA)との間の協力を通じたものを含め,アフガニスタンの女性及び女児に対する研修及びエンパワーメントを支援。
  • コミュニティに基づいた日本の「みんなの学校」(School for All)概念,米国の「女子に教育を」(Let Girls Learn)イニシアティブ,ピースコー(Peace Corps)及び日本の青年海外協力隊との間の協力関係の更新,東南アジア等において日米それぞれの二国間協力プログラムに対し更に焦点を当て資源を割り 当てること,NGOの活動への支援等を通じて,国際的に女児の教育を支援。

国際保健

  • 世界エイズ・結核・マラリア対策基金を通じたものを含む感染症対策及び母子保健の推進により国際保健分野において協力。
  • 西アフリカにおけるエボラ出血熱の流行を完全に終結させ,被害を被った国々における持続可能な保健システムを再建し,アジア太平洋地域における保健システム強化のためエボラ危機から学んだ教訓を得るために協力を継続。
  • 世界健康安全保障アジェンダ(GHSA)を前進させるため,米国は30か国と協力し,日本はパートナー国が感染症の脅威を予防し,発見し,迅速 に対応できるよう,自らがコミットしたGHSAの目標及びアクション・パッケージを達成し,世界保健機関(WHO)の国際保健規則の完全な実施に向けて前 進させるため,3~5か国とパートナーとなることを前向きに検討。日米両国は,共に,又はパートナー国と共に,パートナー国を決めるべく,これらの共通の 目標に向けて世界健康安全保障における能力構築を同調させるために協力。

日米両国のパートナーシップは,両国の国民及び世界に対し,平和と繁栄,健康と環境保護及び先進技術をもたらす。日米両国のこれまでになく緊密なつながりに即して,こうした取組は深化し拡大し続けるであろう。

出典:外務省

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