【全国戦没者追悼式】天皇陛下のおことば・安倍首相式辞<全文>
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70回目の終戦記念日の15日、政府主催の全国戦没者追悼式が日本武道館で開かれ、天皇、皇后両陛下や遺族ら約7000人が参列しました。
天皇陛下は、おことばで「さきの大戦に対する深い反省」に戦没者追悼式で初めて言及されました。
安倍晋三首相は式辞で「戦争の惨禍を決して繰り返さない」と不戦を誓いました。
天皇陛下のおことば(全国戦没者追悼式)
平成27年8月15日(土)(日本武道館)
「戦没者を追悼し平和を祈念する日」に当たり,全国戦没者追悼式に臨み,さきの大戦において,かけがえのない命を失った数多くの人々とその遺族を思い,深い悲しみを新たにいたします。
終戦以来既に70年,戦争による荒廃からの復興,発展に向け払われた国民のたゆみない努力と,平和の存続を切望する国民の意識に支えられ,我が国は今日の平和と繁栄を築いてきました。戦後という,この長い期間における国民の尊い歩みに思いを致すとき,感慨は誠に尽きることがありません。
ここに過去を顧み,さきの大戦に対する深い反省と共に,今後,戦争の惨禍が再び繰り返されぬことを切に願い,全国民と共に,戦陣に散り戦禍に倒れた人々に対し,心からなる追悼の意を表し,世界の平和と我が国の一層の発展を祈ります。
Address by His Majesty the Emperor on the Occasion of the Memorial Ceremony for the War Dead
(August 15, 2015)
On this Day to Commemorate the War Dead and Pray for Peace, my thoughts are with the people who lost their precious lives in the last war and their bereaved families, as I attend this Memorial Ceremony with a deep and renewed sense of sorrow.
Seventy years have passed since the end of the war, and our country today enjoys peace and prosperity, thanks to the ceaseless efforts made by the people of Japan towards recovery from the devastation of the war and towards development, always backed by their earnest desire for the continuation of peace. When I look back on the arduous and sincere steps taken by the people in the course of this long postwar period, I cannot help but be overcome with deep emotion.
Reflecting on our past and bearing in mind the feelings of deep remorse over the last war, I earnestly hope that the ravages of war will never be repeated. Together with all of our people, I now pay my heartfelt tribute to all those who lost their lives in the war, both on the battlefields and elsewhere, and pray for world peace and for the continuing development of our country.
安倍総理大臣式辞
平成27年8月15日、天皇皇后両陛下御臨席の下、安倍総理は、日本武道館で行われた「全国戦没者追悼式」に参列しました。
毎年8月15日は、先の大戦において亡くなられた方々を追悼し平和を祈念するため、「戦没者を追悼し平和を祈念する日」とされています。
式典には、安倍総理を始め、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、関係団体の代表、遺族の方々など約6500人が参列し、先の大戦における全戦没者に対して追悼の誠をささげました。
安倍総理の式辞の後、正午の時報を合図に参列者全員で1分間の黙とうをささげ、続いて天皇陛下がおことばを述べられました。その後、衆議院議長、参議院議長、最高裁判所長官、戦没者遺族代表が、それぞれ、追悼の辞を述べ、参列者による献花が行われました。
天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、戦没者の御遺族、各界代表多数の御列席を得て、全国戦没者追悼式を、ここに挙行致します。
遠い戦場に、斃れられた御霊、戦禍に遭われ、あるいは戦後、遥かな異郷に命を落とされた御霊の御前に、政府を代表し、慎んで式辞を申し述べます。
皆様の子、孫たちは、皆様の祖国を、自由で民主的な国に造り上げ、平和と繁栄を享受しています。それは、皆様の尊い犠牲の上に、その上にのみ、あり得たものだということを、わたくしたちは、片時も忘れません。
七十年という月日は、短いものではありませんでした。平和を重んじ、戦争を憎んで、堅く身を持してまいりました。戦後間もない頃から、世界をより良い場に変えるため、各国・各地域の繁栄の、せめて一助たらんとして、孜々たる歩みを続けてまいりました。そのことを、皆様は見守ってきて下さったことでしょう。
同じ道を、歩んでまいります。歴史を直視し、常に謙抑を忘れません。わたくしたちの今日あるは、あまたなる人々の善意のゆえであることに、感謝の念を、日々新たにいたします。
戦後七十年にあたり、戦争の惨禍を決して繰り返さない、そして、今を生きる世代、明日を生きる世代のために、国の未来を切り拓いていく、そのことをお誓いいたします。
終わりにいま一度、戦没者の御霊に平安を、ご遺族の皆様には、末永いご健勝をお祈りし、式辞といたします。
平成二十七年八月十五日
内閣総理大臣 安倍晋三
出典:宮内庁、首相官邸