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平成二十八年 歌会始御製御歌

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平成二十八年歌会始御製御歌

御製


戦ひにあまたの人の失せしとふ島緑にて海に横たふ

天皇皇后両陛下は、昨年四月、慰霊のためパラオ共和国を訪問された。この御製は、先の戦争の激戦地ペリリュー島で西太平洋戦没者の碑にご供花になり、引き続いて、そのそばから見えるアンガウル島に向かって拝礼された時のことをお詠みになったもの。

皇后陛下御歌


夕茜(ゆふあかね)
に入りゆく一機若き日の吾がごとく行く旅人やある

夕方の茜色に染まる方角へと進んでいく飛行機をご覧になりながら、お若い頃お一人で欧米を旅されていた頃を思い出されあの一機にも、自分と同じような旅する若者が乗っているのだろうかと想像され、お詠みになっています。

皇太子殿下


スペインの小さき町に響きたる人々の唱ふ復興の歌

皇太子殿下には、平成二十五年六月にスペイン国を御訪問になりました。このお歌は、その折に訪れたコリア・デル・リオ市のビセンテ・ネイラ小学校の玄関ホールで、人々が、東日本大震災からの復興を願って作られた日本の合唱曲「花は咲く」を歌ってお出迎えした時の御印象をお詠みになったものです。

皇太子妃殿下


ふるさとの復興願ひて語りあふ若人たちのまなざしは澄む

皇太子同妃両殿下には、昨年の十月、福島県に二年ぶりにお出かけになり、東日本大震災からの復興の様子をご視察になりました。その折、地域の復興を支え、社会に貢献する若者を育てることを目指して創立された県立ふたば未来学園高等学校をご訪問になり、地域の課題への取組についてのグループ学習の様子を御覧になり生徒たちとお話になりました。このお歌はそのときの生徒たちの真摯で清々しい目差の御印象をお詠みになったものです。

文仁親王殿下


日系の人らと語り感じたり外つ国に見る郷里の心

秋篠宮殿下は、昨年十月末から十一月初めに「日本ブラジル外交関係樹立百二十周年」の行事に出席されるため、妃殿下と共にブラジル国をご訪問になりました。その折に、たくさんの日系人とお会いになりましたが、二世や三世の人たちの中にも随所に「日本」をお感じになることが多々あり、そのことをお詠みになりました。

文仁親王妃紀子殿下


海わたりこのブラジルに住みし人の詩歌(しいか)
に託す思ひさまざま

秋篠宮妃殿下は、昨秋、殿下と共にブラジル国をお訪ねになり日系人の俳句や短歌にふれる機会がありました。その折に、日本から遠く離れたブラジルの地にお住まいの日系人の方々が日本語の詩歌に託された様々な思いを感じられ、このお歌にお詠みになりました。

眞子内親王殿下


広がりし苔(こけ)の緑のやはらかく人々のこめし思ひ伝はる

眞子内親王殿下は、昨年十一月にJCI世界会議金沢大会へご臨席のため石川県へお成りになりその折に小松市の日用苔の里を訪ねられました。庭一面に広がる鮮やかな緑の苔をご覧になり、また、苔のやわらかさにふれられて、心を込めて苔の世話をしている人々の思いが伝わってくるように感じられたことを、このお歌にお詠みになりました。

佳子内親王殿下


若人が力を合はせ創りだす舞台の上から思ひ伝はる

佳子内親王殿下は、昨年九月に鳥取県で開催された「第二回手話パフォーマンス甲子園」へご臨席になり、出場チームの手話による歌唱、演劇、ダンスなどの発表をご覧になりました。舞台の上で一体となりパフォーマンスを披露する高校生たちの思いが伝わってきたことをお詠みになりました。

正仁親王妃華子殿下


人と人思はぬ出会ひに生涯の良き友となり師ともなりなむ

寬仁親王妃信子殿下


東北の再会かなへし人々の笑みと涙に心やすらけく

毎年お出ましになられていた宮城県・東北新生園コスモスゲートボール大会でございましたが、諸般の事情によりお出ましが叶わず、お気に遊ばしておられた妃殿下を療養所の皆様が笑顔と涙で迎え入れていただいたことをお歌にお詠みになりました。

彬子女王殿下


百歳をむかへたまひし祖父宮に導かれこし人生の道

彬子女王殿下には、女性皇族としてご公務のほか様々なご活動に励まれていらっしゃいます。中でも昨年十二月に百歳の百寿を迎えられた祖父宮である三笠宮殿下と所縁のある中近東文化センターのご活動に関わられるようになりました。このお歌は、古代オリエント史の研究者であられる三笠宮殿下に導かれ、研究者の道を歩み始めたご自身の人生に改めて思いを致され、お詠みになったものです。

憲仁親王妃久子殿下


「げんきですやまこし」といふ人文字を作りし人ら健やかであれ

平成十七年七月二十九日、新潟県中越地震の被害により避難生活をされていた旧山古志村の方たちと越後丘陵公園にてお会いになりました。そこで「げんきですやまこし」の人文字が、披露されました。十年たった今、皆様が元気に過ごされていることを願って詠まれたものです。

承子女王殿下


鳥たちの声に重なる原宿の人の気配と日暮の合図

都心とは思えないほどの自然に囲まれた明治神宮の森で、鳥の声に重なって、時折かすかに聞こえる山手線の発車音や原宿のにぎわいの音がとても心地よく、ふと気が付くと閉門時刻を知らせる日暮れの放送が流れていました。そのような情景を詠まれたものです。

絢子女王殿下


出雲路へ集ひし人の願ひ事縁の行方は神のみが知る

神在月に出雲大社で執り行われる縁結び大祭に、日本全国から集まってきた人々を見て、また歴史博物館で見た神々が話し合いを行いながら、人々の縁を結び合わせている絵巻物がとても面白く、その絵巻物を思い出しながら、この歌をお詠みになりました。

出典:宮内庁

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