「シャーマン発言」めぐる米韓の反応と「リッパート駐韓米大使襲撃事件」
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国務次官発言をめぐる韓国の反応に対し、アメリカ国務省は「少し驚いている」と吐露したが、日本人から見ると「いつも通りの韓国」だ。
最後の「駐韓米大使襲撃事件」は、この「シャーマン国務次官発言」とは直接的な関連性はない気がするが、関連性を唱える識者や新聞社の記事があるので、一応記載した。なお、この事件については次の記事「【韓国】 マーク・リッパート駐韓米大使 襲撃事件」で詳しくまとめた。
もしこれも関連性があるとすれば、いつもの韓国を通り越している。国際社会では、過激派やテロ組織が増え、年々テロ事件も増えているが、なんだか暗澹たる思いだ。
1.2月27日 シャーマン国務次官の発言
シャーマン米国務次官(政治担当)は、戦後70年をテーマにしたワシントンのカーネギー国際平和財団での講演で、「勿論、愛国的感情というものは依然として利用可能であり、どこの政治指導者にとっても、かつての敵を貶すことで安っぽい賞賛を得るのは難しいことではない。(Of course, nationalist feelings can still be exploited, and it’s not hard for a political leader anywhere to earn cheap applause by vilifying a former enemy. )」などと発言。
また、慰安婦を「Sex Slave」ではなく「Comfort Women」と表現した。
シャーマン国務次官 略歴
ウェンディ・ルース・シャーマン (Wendy Ruth Sherman)
アメリカ合衆国の政治家、外交官。
1949年生まれ。1967年から1969年までスミス大学に在籍、1971年にボストン大学で学位を取得。1976年にメリーランド大学で社会福祉の修士号を取得。国務次官補(議会担当)、国務省参事官、国務次官(政治担当)を歴任。アジア問題、特に朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)問題に関する経験が豊富。
2.韓国の反応
慰安婦問題の解決などを日本に強く要求する朴槿恵大統領に対し、暗に自制を求めたものと受け止められ、「日本寄りの発言だ」などの反発が出た。
3.3月2日 米国務省 ハーフ副報道官の釈明
記者会見で、「(発言は)特定の国や指導者に関するものではない」と発言し、「地域の特定の指導者(朴大統領)に向けられた発言だと解釈されていることに少し驚いている」と吐露。
4.3月3日 韓国外務省報道官の発言
定例会見で、「先週末、在韓米国大使館と米国務省を通して、歴史問題に関する米国の立場に変わりがないことを確認した」などと述べた。
5.3月3日 米国務省の表明
韓国メディアなどに対し、慰安婦問題に絞った補足の見解を表明。
見解は、慰安婦を「性的な目的の女性の売買」と表現し、人身売買だとの認識を示した。
また、過去の植民地支配などを謝罪した「村山談話」と、慰安婦募集の強制性を認めた「河野談話」が、「近隣諸国との関係を改善する重要な章になった」と強調した。
6.3月5日 ソウル 駐韓米大使襲撃事件
市民団体「ウリマダン独島守護」代表を自称するキム・ギジョン容疑者(54)が会合に出席したリッパート米国大使(42)の顔を刃物で切りつけた。
近くのテーブルに座っていたキム容疑者が突然立ち上がり、最前列のテーブル席の大使に歩み寄りあいさつを求め、いきなり刃渡り約25センチの果物ナイフで切りつけた。
「オバマはなぜ変節したのか」「米帝(米国帝国主義)」などと叫ぶ声が聞こえたという。
周囲にいた数人の男性らが飛びかかってキム容疑者を組み伏せる間も「きょうテロを行った。『ウリマダン』代表だ。チラシを作った。戦争訓練に反対するチラシだ」などと叫んでいた。
切りつけられ出血した右ほおをハンカチで押さえながら、随行者とともに建物の外まで数十メートル歩き、パトカーに乗り込んで近くの病院に向かった。足取りはしっかりしていたが、顔面は蒼白だった。
大使は病院で応急処置を受けた後、ソウル市内のほかの大学病院に移り、2時間半に渡って顔や左腕に負った傷の手術を受けた。担当医によると、筋肉や神経にも損傷があり、感覚異常などの後遺症が残る可能性があるという。
要点
・襲撃犯は、5年前にも重家俊範駐韓日本大使(当時)にコンクリート片を投げつける事件を起こし、懲役2年、執行猶予3年の判決を受けたことがある。
・「オバマはなぜ変節したのか」「米帝(米国帝国主義)」「きょうテロを行った。『ウリマダン』代表だ。チラシを作った。戦争訓練に反対するチラシだ」などと叫んでいた。
・大使は右頬からあごにかけて長さ10センチ以上、深さ3センチの傷を負い、約80針を縫う手術をした。
参考
・現在、定例の米韓合同軍事演習「キー・リゾルブ」が3月2~13日までの日程で行われている。米韓両軍の野外機動訓練「フォールイーグル」も3月2日~4月24日の日程で実施中。
・リッパート駐韓米大使は、オバマ大統領の側近。オバマ政権でも屈指のアジア通として知られ、大使就任後は気さくに韓国市民との交流に努めてきた。
最初にも述べたが、最後の「駐韓米大使襲撃事件」は、「シャーマン国務次官発言」とは直接の関連性はない気がするが、関連性を唱える識者や新聞社の記事があるので、一応記載した。なお、この事件については次の記事「【韓国】 マーク・リッパート駐韓米大使 襲撃事件」で詳しくまとめた。
慰安婦問題に関しては、安倍政権になってアメリカ側の理解が進んだように思う。
民主政権時には、慰安婦の話になるとアメリカは中韓側の話を手放しで採用しているように見えた。そして、中韓のロビー活動の活発さ、日本のロビー活動の大幅な遅れに対する話が盛り上がった。
その後、丁寧に日本の立場を説明してきたのだろう、徐々に真実が伝わっているように感じる。
8年かけて行った米政府調査で慰安婦に対する「奴隷化」の証拠が一点も発見されなかったのも大きな理由かもしれない。