【安倍首相真珠湾訪問】安倍・オバマ演説<日本語・全文>、日米首脳会談<概要>など

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演説の内容だけ知りたい方へ

日米両首脳によるステートメント(演説・声明)の実施 をクリックしてください。該当箇所にスクロールします。


安倍首相は12月26日から27日までアメリカ合衆国ハワイ州オアフ島を訪問しました。
真珠湾(パールハーバー)演説全文、オバマ大統領との最後の日米首脳会談概要などをまとめました。

安倍首相とオバマ大統領の訪問・演説は、世界に対して高いメッセージ性があると思います。
例えば日本の立場としては、中国・韓国(あるいは沖縄も)に対して強い意味があるように感じられます。

菅義偉官房長官は28日午前の記者会見で、安倍晋三首相の米ハワイ・真珠湾での慰霊について「二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの未来に向けた新たな決意を示すとともに、かつて敵国として戦った日米の和解の力を世界に示すことができた」と語った。

オバマ米大統領との首脳会談に関しては「4年間を総括するにふさわしい有意義な会談だった」と強調した。

出典:産経新聞

この訪問は、欧米でも高い関心を集めたようです。

英BBC放送は27日、安倍晋三首相の真珠湾訪問での演説を中継し「歴史的な訪問」と報じた。慰霊を前に放送した特集で、5月のオバマ米大統領の広島訪問や真珠湾攻撃当時の映像も交え、中国や北朝鮮の脅威が強まる中で日米関係は重要性を増していると伝えた。
高級紙タイムズ(電子版)は、今回の訪問で示された日米の良好な関係は軍備増強を続ける中国にとって「警告」になると分析。
27日付の高級紙デーリー・テレグラフは社説で、アジアの緊張が高まる中での訪問は「時宜を得ている」と評価した。

出典:共同通信

CNNテレビなどは、安倍首相とオバマ米大統領が並んで献花する様子や、オバマ氏の演説を生中継した。演説後、両首脳が式典の参列者と握手し、安倍首相が椅子に座った参列者の前にしゃがみ、言葉を交わす場面も映し出された。
AP通信は、安倍首相が演説で「戦争の惨禍を二度と繰り返してはならない」と述べたことなどを速報した。
ニューヨーク・タイムズ紙は首相は哀悼の意を表明したが、「謝罪はしなかった」と報じた。
ウォールストリート・ジャーナル紙は、キャロライン・ケネディ駐日米大使の「(首相の真珠湾訪問は)日米同盟の深さと強さを示すものだ」との言葉などを伝えた。
一方、米議会超党派の対日友好議員連盟「ジャパン・コーカス」の共同議長カストロ下院議員(民主党)は、真珠湾訪問を「歴史的な訪問」とし、「両首脳は、相互信頼の未来に向けた日米の連携で指導力を発揮してきた」と評価した。

出典:産経新聞

米国訪問についての会見

会見を行う安倍総理

平成28年12月26日、安倍総理は、東京国際空港(羽田空港)で会見を行いました。
総理は、米国訪問について、次のように述べました。

真珠湾攻撃から75年目。そして敗戦から71年目。日本国民を代表して日本国総理大臣として、慰霊のためにハワイ真珠湾を訪問します。

そして、戦争の惨禍は二度と繰り返してはならない。この未来への思いを、誓いを、そして和解の価値を、オバマ大統領と共に世界に発信したいと思います。

そして、オバマ大統領とは最後の首脳会談となります。
この4年間を総括する首脳会談にしたいと思いますし、二人で共に取り組んできた様々な課題についても話したい。そして、残された課題、また、さらには、二人で共に強化してきた同盟の価値を二人で世界に発信する。そういう首脳会談にしたいと思います。

主要日程

(1)12月26日(月曜日)

(2)12月27日(火曜日)

国立太平洋記念墓地訪問

国立太平洋記念墓地での安倍総理

安倍総理は,太平洋地域の戦没者等を埋葬する国立太平洋記念墓地を訪問し,ジェイムス・ホートン国立太平洋記念墓地所長の案内で献花台に進み,献花し,黙祷を捧げました。
その後,安倍総理は,芳名帳に氏名を記帳しました。
また,故ダニエル・イノウエ連邦上院議員の墓碑に献花・黙祷を捧げ,日米間の絆の強化に多大なる貢献をされた故人を偲びました。

本訪問には,岸田文雄外務大臣,稲田朋美防衛大臣,萩生田光一内閣官房副長官,衛藤晟一内閣総理大臣補佐官,参議院自民党日ハワイ友好議員連盟の吉田博美会長,松山政司幹事長,堀井巌事務局長,キャロライン・ケネディ駐日米国大使,デービッド・イゲ・ハワイ州知事,ジェリー・マルティネス在日米軍司令官他が同行しました。

マキキ日本人墓地訪問

マキキ日本人墓地での安倍総理

安倍総理は,ホノルル市マキキ地区にあるマキキ日本人墓地を訪問し,早瀬登ハワイ明治会会長及びディーン・アサヒナ・ハワイ日系人連合協会会長から同墓地及び碑の説明を受け,「明治元年移民渡航の碑」,「鎮魂碑」及び「ハワイ日本人移民慰霊碑」にそれぞれ献花し,黙祷を捧げました。
その後,安倍総理は,芳名帳に氏名を記帳しました。
また,安倍総理は,ハワイ明治会及びハワイ日系人連合協会の代表者と言葉を交わしました。

本訪問には,岸田文雄外務大臣,稲田朋美防衛大臣,萩生田光一内閣官房副長官,衛藤晟一内閣総理大臣補佐官,参議院自民党日ハワイ友好議員連盟の吉田博美会長,松山政司幹事長,堀井巌事務局長,キャロライン・ケネディ駐日米国大使,デービッド・イゲ・ハワイ州知事,ジェリー・マルティネス在日米軍司令官他が同行しました。

えひめ丸慰霊碑訪問

えひめ丸慰霊碑での安倍総理

安倍総理は,カカアコ臨海公園内にあるえひめ丸慰霊碑を訪問し,三輪久雄ハワイ日米協会会長から事故及び碑の説明を受け,慰霊碑に献花するとともに,黙祷を捧げました。
また,安倍総理は,オオカワえひめ丸慰霊碑管理協会理事及び同碑清掃ボランティア関係者と言葉を交わしました。

本訪問には,岸田文雄外務大臣,稲田朋美防衛大臣,萩生田光一内閣官房副長官,衛藤晟一内閣総理大臣補佐官,参議院自民党日ハワイ友好議員連盟の吉田博美会長,松山政司幹事長,堀井巌事務局長,キャロライン・ケネディ駐日米国大使,デービッド・イゲ・ハワイ州知事,ジェリー・マルティネス在日米軍司令官他が同行しました。

【参考】えひめ丸慰霊碑
2001年2月9日(現地時間。日本時間10日),愛媛県立宇和島水産高等学校の実習船「えひめ丸」が,急浮上した米国の原子力潜水艦「グリーンビル」に衝突され沈没し,9名(実習生4名,指導教員2名,乗組員3名)が犠牲となった。

えひめ丸慰霊碑は,犠牲者の冥福と世界の海の安全を祈り,愛媛県と米国の人々がこの不幸な出来事を乗り越えるとともに,相互理解を深め,友好親善が促進されることを願い,事故から1年後の2002年2月9日に,カカアコ臨海公園内の小高い丘に建立・除幕された。

飯田房太中佐記念碑訪問

飯田房太中佐の記念碑に献花する安倍総理

安倍総理は,ハワイ最大の米海兵隊基地であるカネオヘ海軍基地内に米側によって建立された飯田房太旧日本帝国海軍中佐記念碑を訪問しました。
安倍総理は,国立公園局のダニエル・マルティネス第二次世界大戦武勲記念史跡主任歴史家から飯田中佐の敢闘精神を称えた記念碑に関する説明を受けた後,献花を行い,黙祷を捧げました。

本訪問には,岸田文雄外務大臣,稲田朋美防衛大臣,萩生田光一官房副長官,衛藤晟一内閣総理大臣補佐官,今津ひろし衆議院議員,武田良太衆議院議員(衆議院自民党日ハワイ友好議員連盟幹事長),中山泰秀衆議院議員,デービッド・バーガー米国太平洋海兵隊司令官,ジェリー・マルティネス在日米軍司令官他が同行しました。

【参考】飯田房太旧日本帝国海軍中佐記念碑
飯田房太中佐は,空母「蒼龍」搭載のゼロ戦パイロットとして真珠湾攻撃に参加,カネオヘ海軍基地を攻撃中,燃料タンクに被弾。燃料切れを意味する手信号を送った後,手を振って,カネオヘ海軍基地格納庫に向かって突入。

米海軍はその敢闘精神を称え,遺体をカネオヘ基地内に丁重に埋葬。真珠湾攻撃30周年の1971年に,オアフ島北東部にあるハワイ最大の米海兵隊基地であるカネオヘ海軍基地の滑走路脇に米側が記念碑を建立し,現在も米海兵隊によって維持・管理されている。

米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)訪問

中央身元鑑定研究所(国防総省捕虜・行方不明者調査局)訪問

安倍総理は,行方不明となった兵士等の消息調査を行う専門機関である米国防総省捕虜・行方不明者調査局(DPAA)の中央身元鑑定研究所を訪問しました。
安倍総理は,マーク・スピンドラーDPAA長官代行から同研究所についての説明を受けた後,ジョン・バード中央身元鑑定研究所長の案内の下,研究所内に保管されている遺骨や消息調査のための鑑定作業等を視察しました。

本訪問には,岸田文雄外務大臣,稲田朋美防衛大臣,萩生田光一内閣官房副長官,衛藤晟一内閣総理大臣補佐官,今津ひろし衆議院議員,武田良太衆議院議員(衆議院自民党日ハワイ友好議員連盟幹事長),中山泰秀衆議院議員,マイケル・スワムDPAA先任上級兵曹長他が同行しました。

日系人との夕食会

日系人との夕食会

安倍総理は,ハワイ在住の日系人団体関係者,米国ハワイ州政府要人等,約1,000名との夕食会に参加しました。

安倍総理は,挨拶の中で,ハワイ州における日系人の歴史を振り返りつつ,日系人による日米関係への大きな貢献に対して改めて感謝の意を表しました。
また,ジョージ・アリヨシ元ハワイ州知事が終戦後に出会った貧しいながらも誇りと優しさを忘れない幼い少年の話に感銘を受けたことや,ハワイが幼少期からあこがれの場所であったこと等を紹介しつつ,特別な日ハワイ関係と日米関係の更なる発展の重要性について述べました。

これに対し,デビッド・イゲ・ハワイ州知事から,安倍総理の真珠湾訪問は大変意義深いとして安倍総理の訪問を歓迎するとともに,家族のような日ハワイ関係が更に強化されることについての期待が述べられました

このほか,ハワイ在住の日系人を代表してアリヨシ元ハワイ州知事からも歓迎の意が表され,日米関係の強化のみならずアジア太平洋地域の平和と繁栄に対する安倍総理の貢献に謝意が述べられました。また,著名な音楽家であるジェイク・シマブクロ氏によるウクレレ演奏が行われ,夕食会は非常に和やかな雰囲気の中で実施されました。

安倍首相挨拶

日系人との夕食会で挨拶する安倍総理

皆様こんばんは。アローハ。皆様にこうして『アロハ』と言っていただけますと、気持ちが大変温かくなってまいります。

このハワイには、明治元年以来、多くの方が日本から大きな夢を抱いて移住してこられました。ところが炎天下のサトウキビ・プランテーションでの労働の過酷さは想像以上であり、当初の夢がはかなくついえるほど、厳しい現実に直面したと伺っております。

しかし、一世の方々は、その苦労すらを『仕方がない』という言葉で耐え忍び、次世代の子供たちに、自らの夢と希望を託したと聞いています。私は本日、マキキ墓地に立ち寄り、このハワイの先人たちの人生に思いをはせました。

75年前の真珠湾攻撃を境に、日系人は二つの祖国が敵味方に分かれる境遇に置かれました。日系人部隊である第100歩兵大隊・第442連隊戦闘団の勲功は有名です。多くの日系二世の方々が、自分を育ててくれた『恩義』のある国に『忠誠』を尽くし、また、『家族』を守るために死力を尽くし戦われた事実に心揺さぶられます。

昨年5月に訪米した際にも、日系人部隊記念碑(Go For Broke)におきまして献花を行いました。本日、改めて、全ての日系二世ベテランの方々に心からの敬意を表します。

今日は、アリヨシ元知事御夫妻もお越しいただいております。私の父の友人でもあります。アリヨシ元知事が知事時代から大事にしてこられた言葉が『おかげさまで』という感謝の気持ちを表す言葉であると承知しております。

アリヨシさんは終戦間近に入隊し、そして敗戦後の日本に占領軍の一員としてやってこられました。その時、勤務しておられたビルの前には、いつも何人かの貧しい、両親を戦争で失った靴磨きの少年たちがたむろしていたそうであります。一人の、みすぼらしい服を着て、しかしいつも真面目に仕事をする少年のことを気に入ったアリヨシさんは、ある日いつもおなかをすかせている彼に同情して、キッチンでサンドイッチを作って彼に渡したそうであります。そのサンドイッチを少年に『おなか減っているんでしょ、食べなさい』と渡したら、その少年はそれをナプキンに包んで大事そうに靴箱にしまったそうであります。『恥ずかしがらなくていいんだよ。今すぐここで食べていいよ』とアリヨシさんが言ったら、その少年は『頂いたこのサンドイッチは家でおなかをすかせている妹と二人で分けて食べます』と言って、深々と礼儀正しくお辞儀をしたそうであります。みすぼらしい姿、そしていつもおなかをすかせている少年が、しかし決して妹への優しさを忘れずに礼儀正しく対応する。その姿を見て感動したそうであります。

戦争に敗れ、焼け野原でみじめになったこの日本の姿に衝撃を受けていたアリヨシさんは、どんなに貧しくても誇りと礼儀を、そして優しさを忘れない少年を見て、自分にもこの少年と同じ日本人の血が流れている、その日本人の血を誇りに思うことができた、と言っておられました。

私はこの話を2011年、あの3.11東日本大震災の後、来日されたアリヨシさんからお伺いをし、本当に励まされる思いでありました。あの1945年当時の、日本と日本人のあの誇りを忘れない気持ち、私たちはその思いで再びこの震災から立ち上がらなければいけない。そう心に誓ったことを、今、思い出しております。

多くの日系人の皆様は、日本人としてのルーツに誇りを持ち、同時に母国米国への忠誠と矜持を持ち、様々な困難を乗り越えてこられたことと思います。日系人の皆様のハワイへの、そしてアメリカへの御貢献。そして日米の懸け橋として大きな役割を果たしてきていただいたことに対しまして、日本国総理大臣として御礼と感謝を申し上げたいと思います。

私にとってハワイというのは常に憧れの地でありました。私の祖母の従姉妹が戦前、移民した地であります。ハナコさんという、日本では当時よくある名前なんですが、山口県から移民の一人としてやってきて、ナカタさんという方と結婚して、そしてその後、よく私どもにハワイのいろんな素晴らしい、おいしいものを送っていただきました。当時はまだ日本は貧しかったんですが、彼女が送ってくれたお菓子のレイ。チューインガムやチョコレートがたくさん入ったレイを送っていただいたことを今でも覚えております。そのレイを私と兄と取りあって、それが切れてしまった。ずっと一日泣いていたことを今でも思い出しております。こんなおいしいものをハワイの人たちは毎日食べているのか。絶対行きたいと思っておりました。そして私は実物のパイナップルというのを、このナカタハナコさんに送っていただいて初めて見ることができました。父も母も私も兄も缶詰のパイナップルしか見たことがありませんでしたから、どうやって食べていいか、みんなそれをしばらく眺めていたのを思い出しております。

その憧れの地ハワイに、こうして総理大臣として訪問でき、素晴らしい日系人の皆様と、我々日本人が皆誇りに思っているハワイの日系人の皆様と、こうして楽しい一夜を迎えられることは、私の喜びでございます。

そして今日は日系社会に御縁のある、また日本にゆかりのある多くの皆様に御列席をいただいております。ハリス司令官にもお越しいただいております。そして河野統幕長が来ておりますが、河野さんのお父さんが真珠湾の作戦に潜水艦に乗って参加した人物であります。お父さんは正にこの真珠湾の攻撃に参加をしたわけでありますが、御子息の河野さんは日米の同盟を強化するその絆の中心にいる役割を果たしています。

明日、オバマ大統領と共に真珠湾を訪問し、そして慰霊と和解の力を日米にそして世界に示したいと思っております。これからも日米は『希望の同盟』として、地域や世界の様々な課題に共に立ち向かい、共に取り組んでいきたいと思っています。

本日、この催しを共催いただきましたイゲ知事御夫妻には、心から御礼を申し上げたいと思います。お父様は第100歩兵大隊所属の日系三世であり、そしてお母様は私の故郷、同じ山口県の出身であります。改めて心から御礼を申し上げまして、そして今日様々な地域から時間をかけてお越しをいただきましたことに改めて深甚なる感謝を申し上げまして、私の御挨拶とさせていただきたいと思います。

それでは、乾杯の音頭をとるということでございますので、皆様の御長寿と御健康を祈念いたしまして、杯を上げたいと思います。

真珠湾ビジターセンター訪問

真珠湾ビジターセンターを視察する安倍総理

安倍総理は,真珠湾ビジターセンターを訪問し,2つの展示館において,国立公園局のダニエル・マルティネス第二次世界大戦武勲記念史跡主任歴史家から展示物について説明を受けました。

本訪問には,岸田文雄外務大臣,稲田朋美防衛大臣,萩生田光一内閣官房副長官,衛藤晟一内閣総理大臣補佐官他が同行しました。

【参考】真珠湾ビジターセンター
真珠湾ビジターセンターには,2つの展示館が併設されている。「戦争までの道のり」と題する展示館では,太平洋戦争に至るまでの情勢等について,「攻撃(Attack)」と題する展示館では,真珠湾攻撃等に関する内容を展示している。

日米首脳会談

オバマ米国大統領と握手する安倍総理

(1)冒頭

安倍総理から,この4年間,オバマ大統領と共に努力し,日米同盟は経済,安全保障,人的交流を含む幅広い分野で協力が深化したことを心から感謝する旨述べたところ,オバマ大統領からは,地域と国際社会のために貢献するという共通の目標のために安倍総理と共に協力できたことを嬉しく思う旨述べつつ,同盟の中核は友情である,自分の故郷であるハワイに総理を迎えて最後の首脳会談をできることを嬉しく思うとの発言があり,これからも日米同盟が,これまで以上に盤石となることを期待している旨の発言がありました。

また,安倍総理から,5月のオバマ大統領の歴史的な広島訪問は「核兵器のない世界」に向けた力強いメッセージを発信し,戦後70余年の日米同盟の強さを象徴するものとして,多くの日本人に感動をもたらす素晴らしいものだったと述べました。これに対し,オバマ大統領からは,広島訪問は最も力強い思い出の一つである旨述べ,引き続き,「核兵器のない世界」に向けて取り組む決意が表明されました。

さらに,安倍総理から,この4年間のオバマ大統領との協力の締めくくりとして,慰霊のために真珠湾を訪問する,日米同盟はかつてないほど盤石であることを本当に嬉しく思う旨述べ,オバマ大統領からは,安倍総理による真珠湾訪問の決断を心から歓迎する旨発言があり,両首脳は,今回の真珠湾訪問を,二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの決意を未来に向けて示すとともに,日米の和解の価値を発信する,歴史的に意義ある機会にするとの思いを共有しました。

(2)アジア太平洋地域情勢

(ア)北朝鮮

北朝鮮について,両首脳は,かつてなく強力な安保理決議の履行が重要との認識で一致しました。

また,安倍総理から日韓及び日米韓の安全保障協力に対するオバマ大統領の協力に謝意を表明したところ,オバマ大統領からは,これから米国も韓国も過渡期を迎えるが,米国としても日韓関係が昨年末の慰安婦合意により進展していることを高く評価している,日米韓の協力が引き続き強化されることを期待している旨の発言があり,両首脳は日米韓で緊密に連携していくことの重要性について一致しました。

(イ)東アジア情勢

安倍総理から,日中関係改善に向けたオバマ大統領の理解と支持に感謝する旨述べつつ,尖閣諸島について,日米安保条約第5条の対象になること,日本の施政を損なおうとするいかなる一方的行動にも反対するとのメッセージは力強いものである旨述べました。また,先週末,中国空母が初めて「第一列島線」を通過し西太平洋へ進出したことについて,両首脳は,中長期的観点からも注視すべき動向であるとの認識で一致しました。

また,両首脳はインド太平洋を自由で開かれたものとし,地域の安定と繁栄を確保するためには,日米印,日米豪などの同盟ネットワークを広げることが重要との認識を共有(ブログ主:アジアの民主主義セキュリティダイアモンド構想参照)しました。

(3)日米関係

(ア)総論

安倍総理から,日本の「積極的平和主義」と米国のリバランス政策を連携させ,日米協力の新たな可能性を開拓するために,この4年の間で私達が共に成し遂げたことを誇りに思う旨述べつつ,この成果は,両首脳が日米同盟の強化を通じて地域・世界の平和と安定に貢献するとの信念を共有し,日米関係を常に前進させる好循環を作ってきたからに他ならない旨述べました。

これに対し,オバマ大統領より,G7伊勢志摩サミットの時が象徴的であるが,安倍総理とはG7における協力,イラク,アフガニスタン,気候変動,エボラ,各地域における安全保障の問題等について極めて緊密な協力を進めてきた,これは安倍総理の強力なリーダーシップを背景に信頼できる最高のパートナーシップを築くことができた賜である旨の発言がありました。さらに,オバマ大統領より,不確実性が高まるこの世界において,基本的価値を共有する日米がしっかりと連携を続けることが,国際社会に安心感を与えるものとなる旨の発言がありました。

両首脳は日米同盟は,自由・民主主義・法の支配等の基本的価値を共有する国々との連携を強化し,地域における同盟ネットワークを構築する土台を築くことができたとの認識を共有し,日米同盟を更なる高みに押し上げることの重要性について一致しました。

(イ)TPP

安倍総理から,オバマ大統領とTPPを共にまとめたことは大きな成果であり,発効には至らなかったが,日本は自由貿易の旗をしっかり掲げ,引き続き自由貿易を後退させてはならないとの考えであり,新政権に対しても粘り強く働きかけていきたい旨述べました。

これに対し,オバマ大統領からは,TPPに関する理解を増進し,今後とも推進すべく,引き続き努力していきたい旨の発言がありました。

(ウ) 沖縄

オスプレイの事故について,安倍総理から,本件事故の発生は遺憾であり,負傷者をお見舞いしたいとした上で,更に安全確保と情報提供を求める旨発言し,オバマ大統領からは,引き続き緊密に意思疎通していく旨の発言がありました。

また,安倍総理から,沖縄の本土復帰後最大規模となる北部訓練場の過半返還がオバマ政権の下で実現したことを歓迎しつつ,これにより県内の米軍施設の面積が約2割減となり,負担軽減に大きく貢献するものであり誠に意義深い旨述べました。

さらに,安倍総理から普天間飛行場の辺野古移設が唯一の解決策との立場は不変である旨述べ,先週の県敗訴の最高裁判決を受け,沖縄県知事は埋立て承認の取消しの取消しを行い,国は27日に工事を再開した,今後,政府として工事を着実に進めていきたい旨述べました。

オバマ大統領からは,沖縄の負担軽減に協力していく旨の発言があり,両首脳は,軍属に関する補足協定が実質合意に至ったことを歓迎しました。

アリゾナ記念館訪問

アリゾナ記念館での安倍総理

安倍総理は,オバマ大統領と共にアリゾナ記念館を訪問しました。

両首脳は,ハリー・ハリス米太平洋軍司令官の誘導により慰霊の間へ進み,戦死した戦艦アリゾナの乗組員の氏名が刻まれている大理石の壁に面して献花するとともに,黙祷を捧げました。

その後,両首脳は,慰霊の吹抜けから海底に沈む戦艦アリゾナを臨みながら,花びらを水面に散らし,慰霊しました。

日米両首脳によるステートメント(演説・声明)の実施

ステートメントを実施する安倍総理1

米国訪問 日米両首脳によるステートメント両首脳は,真珠湾のキロ埠頭において,アリゾナ記念館及び戦艦ミズーリを背に,安倍総理,オバマ大統領の順でステートメントを行いました。

安倍総理は真珠湾攻撃の際に犠牲となった方々を始めとする,先の大戦の全ての犠牲者に対し哀悼の誠を捧げ,二度と戦争の惨禍を繰り返してはならないとの決意と和解の力を力強く発信しました。

また,オバマ大統領は日米同盟は,戦争による最も深い傷さえも友情と恒久平和に取って代わられることを想起させるものであること,また,最も厳しい敵対関係にあった国同士が,最も強い同盟関係を結ぶことができること,平和という果実は,戦争による略奪をはるかに上回るものであり,これが神聖な真珠湾の揺るぎない真実である旨述べました。

参列者と言葉を交わす安倍総理

参列者と言葉を交わす安倍総理

両首脳は,ステートメントを行った後,真珠湾攻撃の生存者に歩み寄り,それぞれ言葉を交わしました。

安倍首相 ステートメント「和解の力」<全文>

POINT
真珠湾攻撃から始まった先の大戦で命を落とした人々に哀悼の誠をささげる。
戦争の惨禍は二度と繰り返してはならず、不戦の誓いを貫いていく。
日米同盟は「希望の同盟」。日米を結びつけたのは「和解の力」。
パールハーバーが和解の象徴として記憶されるよう願う。

オバマ大統領、ハリス司令官、御列席の皆様、そして、全ての、アメリカ国民の皆様。パールハーバー、真珠湾に、今、私は、日本国総理大臣として立っています。

耳を澄ますと、寄せては返す、波の音が聞こえてきます。降り注ぐ陽の、やわらかな光に照らされた、青い、静かな入り江。
私の後ろ、海の上の、白い、アリゾナ・メモリアル。
あの、慰霊の場を、オバマ大統領と共に訪れました。
そこは、私に、沈黙をうながす場所でした。
亡くなった、軍人たちの名が、記されています。
祖国を守る崇高な任務のため、カリフォルニア、ミシガン、ニューヨーク、テキサス、様々な地から来て、乗り組んでいた兵士たちが、あの日、爆撃が戦艦アリゾナを二つに切り裂いたとき、紅蓮(ぐれん)の炎の中で、死んでいった。
75年が経った今も、海底に横たわるアリゾナには、数知れぬ兵士たちが眠っています。

耳を澄まして心を研ぎ澄ますと、風と、波の音とともに、兵士たちの声が聞こえてきます。
あの日、日曜の朝の、明るく寛(くつろ)いだ、弾む会話の声。
自分の未来を、そして夢を語り合う、若い兵士たちの声。
最後の瞬間、愛する人の名を叫ぶ声。
生まれてくる子の、幸せを祈る声。
一人ひとりの兵士に、その身を案じる母がいて、父がいた。愛する妻や、恋人がいた。成長を楽しみにしている、子供たちがいたでしょう。
それら、全ての思いが断たれてしまった。
その厳粛な事実を思うとき、かみしめるとき、私は、言葉を失います。
その御霊(みたま)よ、安らかなれ――。思いを込め、私は日本国民を代表して、兵士たちが眠る海に、花を投じました。

オバマ大統領、アメリカ国民の皆さん、世界の、様々な国の皆さん。
私は日本国総理大臣として、この地で命を落とした人々の御霊に、ここから始まった戦いが奪った、全ての勇者たちの命に、戦争の犠牲となった、数知れぬ、無辜(むこ)の民の魂に、永劫の、哀悼の誠を捧げます。

戦争の惨禍は、二度と、繰り返してはならない。
私たちは、そう誓いました。そして戦後、自由で民主的な国を創り上げ、法の支配を重んじ、ひたすら、不戦の誓いを貫いてまいりました。

戦後70年間に及ぶ平和国家としての歩みに、私たち日本人は、静かな誇りを感じながら、この不動の方針を、これからも貫いてまいります。
この場で、戦艦アリゾナに眠る兵士たちに、アメリカ国民の皆様に、世界の人々に、固い、その決意を、日本国総理大臣として、表明いたします。

昨日、私は、カネオヘの海兵隊基地に、一人の日本帝国海軍士官の碑(いしぶみ)を訪れました。
その人物とは、真珠湾攻撃中に被弾し、母艦に帰るのを諦め、引き返し、戦死した、戦闘機パイロット、飯田房太中佐です。
彼の墜落地点に碑を建てたのは、日本人ではありません。攻撃を受けていた側にいた、米軍の人々です。死者の、勇気を称え、石碑を建ててくれた。
碑には、祖国のため命を捧げた軍人への敬意を込め、日本帝国海軍大尉(だいい)と、当時の階級を刻んであります。

The brave respect the brave.
勇者は、勇者を敬う。

アンブローズ・ビアスの、詩(うた)は言います。
戦い合った敵であっても、敬意を表する。憎しみ合った敵であっても、理解しようとする。
そこにあるのは、アメリカ国民の、寛容の心です。

戦争が終わり、日本が、見渡す限りの焼け野原、貧しさのどん底の中で苦しんでいたとき、食べるもの、着るものを惜しみなく送ってくれたのは、米国であり、アメリカ国民でありました。
皆さんが送ってくれたセーターで、ミルクで、日本人は、未来へと、命をつなぐことができました。
そして米国は、日本が、戦後再び、国際社会へと復帰する道を開いてくれた。米国のリーダーシップの下、自由世界の一員として、私たちは、平和と繁栄を享受することができました。
敵として熾烈に戦った、私たち日本人に差し伸べられた、こうした皆さんの善意と支援の手、その大いなる寛容の心は、祖父たち、母たちの胸に深く刻まれています。
私たちも、覚えています。子や、孫たちも語り継ぎ、決して忘れることはないでしょう。

オバマ大統領と共に訪れた、ワシントンのリンカーン・メモリアル。その壁に刻まれた言葉が、私の心に去来します。
誰に対しても、悪意を抱かず、慈悲の心で向き合う。
永続する平和を、我々全ての間に打ち立て、大切に守る任務を、やり遂げる。
エイブラハム・リンカーン大統領の、言葉です。
私は日本国民を代表し、米国が、世界が、日本に示してくれた寛容に、改めて、ここに、心からの感謝を申し上げます。

あの「パールハーバー」から75年。歴史に残る激しい戦争を戦った日本と米国は、歴史にまれな、深く、強く結ばれた同盟国となりました。
それは、いままでにもまして、世界を覆う幾多の困難に、共に立ち向かう同盟です。明日を拓く、「希望の同盟」です。

私たちを結びつけたものは、寛容の心がもたらした、the power of reconciliation、「和解の力」です。

私が、ここパールハーバーで、オバマ大統領とともに、世界の人々に対して訴えたいもの。それは、この、和解の力です。

戦争の惨禍は、いまだ世界から消えない。憎悪が憎悪を招く連鎖は、なくなろうとしない。
寛容の心、和解の力を、世界は今、今こそ、必要としています。

憎悪を消し去り、共通の価値の下、友情と、信頼を育てた日米は、今、今こそ、寛容の大切さと、和解の力を、世界に向かって訴え続けていく、任務を帯びています。
日本と米国の同盟は、だからこそ「希望の同盟」なのです

私たちを見守ってくれている入り江は、どこまでも静かです。
パールハーバー。
真珠の輝きに満ちた、この美しい入り江こそ、寛容と、そして和解の象徴である。

私たち日本人の子供たち、そしてオバマ大統領、皆さんアメリカ人の子供たちが、またその子供たち、孫たちが、そして世界中の人々が、パールハーバーを和解の象徴として記憶し続けてくれることを私は願います。  そのための努力を、私たちはこれからも、惜しみなく続けていく。オバマ大統領とともに、ここに、固く、誓います。
ありがとうございました。

オバマ大統領 ステートメント<日本語訳・全文>

POINT
安倍首相の真珠湾訪問は、和解の力と日米両国民の同盟関係を物語る歴史的な行動だ。
日米同盟はかつてなく強固だ。
平和から得られるものは戦争で得られるものより多く、和解は報復よりも大きな見返りをもたらす。

安倍総理、きょうの総理のご出席、そして心のこもった演説は、和解の力、そしてアメリカ国民と日本国民の同盟の強じんさを証明する歴史的なもので、アメリカ国民を代表して感謝申し上げます。

きょう、この日は、戦争による最も深い傷さえも、友情と平和の道につながるのだということを思い起こさせます。
ご列席の皆様、米軍関係者、そして、何より、真珠湾攻撃の生存者の方々、及びその大切なみなさまへ。アロハ!

アメリカ国民、特にハワイを故郷とする人たちにとって、この真珠湾は神聖な場所です。
未だ嘆き悲しむこの湾に献花するとき、私たちは、永遠の天国へと向かった2400人を超えるアメリカの愛国者たち、父や夫、妻や娘のことを思います。
毎年12月7日になると、いつもより少しだけ姿勢を正すオアフの守護者たちに、私たちは敬礼をし、ここで75年前に示された勇姿に思いをはせるのです。

12月のその日、夜が明けると、楽園はこれまでにないほど魅力的でした。
真珠湾の水は温かく、現実と思えないほど青く澄み切っていました。
水兵たちは食堂で食事をしたり、教会に行く準備をしたり、こぎれいな白いズボンとTシャツで身支度をしたりしていました。

湾には、艦船が整然と停泊していました。カリフォルニア号、メリーランド号、オクラホマ号、テネシー号、ウエストバージニア号、ネバダ号。そして、アリゾナ号の甲板では、海軍の音楽隊が演奏の準備をしていました。

その朝、兵士たちは、肩に記された階級を超えて、それぞれの胸に宿る勇気を示しました。彼らはこの島のあらゆる場所で、訓練弾や古いライフル銃までをも使って、あらゆる手を尽くして防衛に当たりました。
あるアフリカ系アメリカ人の食堂の給仕係は、ふだんであれば清掃の役割しか与えられていませんでした。しかし、この日、司令官を安全な場所に連れて行き、そして弾薬がなくなるまで対空砲を撃ち続けたのです。

私たちは、ウエストバージニア号の1級砲撃手であったジム・ダウニングのようなアメリカ人を誇りに思います。真珠湾に駆けつける前、彼の新妻は彼の手に聖書の言葉の一節を握らせました。「永遠なる神はなんじの拠り所、その永遠なる胸に抱かれて」というものです。

ジムは戦艦を守るために戦い、同時に、倒れた人たちの名前を記録しました。
家族にその事実を伝えることができるようにするためです。彼は、「人がする当然のことだ」と言いました。

私たちはハリー・パンのようなアメリカ人を記憶しています。彼はホノルル出身の消防士で、荒れ狂う火を前に、最後まで献身的に、燃える戦闘機の消火に取り組みました。彼は戦傷したアメリカの軍人に授与される「パープルハート」勲章を、民間人の消防士として受賞しました。

私たちは、2時間以上にわたって、50口径のマシンガンを撃ち続け、20回以上も負傷し、最高位の軍人の勲章、名誉勲章を受章したジョン・フリン上等兵曹のようなアメリカ人に敬意を表します。

私たちは、戦争がいかに私たちの恒久的な価値観を試すのかということをじっくり考えなければなりません。日系アメリカ人でさえ、戦争中、自由を奪われたのかということを。
アメリカ史上、最も勲章を受けた部隊は、日系アメリカ人2世による部隊、442連隊と第100歩兵大隊だったことを。

442連隊には、私の友人であり、ハワイ人としての誇りをもつ、ダニエル・イノウエさんがいました。私が生まれてからのほとんどの間、ハワイ選出の上院議員を務め、ともに上院議員を務めたことを誇らしく思います 。
彼は、名誉勲章や一般市民としては最高位となる「自由勲章」の受章者というだけでなく、その時代の最もすぐれた政治家でもありました。

ここ真珠湾での、第2次世界大戦のアメリカの最初の戦いが、国民を目覚めさせました。ここで、多くの点で、アメリカは成熟しました。私の祖父母を含む多くの世代のアメリカ人は、戦争を求めませんでした。しかし、戦争に背を向けることをせず、それぞれの持ち場で役割を果たしました。

そして75年後、真珠湾攻撃の生存者は、時間の経過とともに少なくなっています。この場で私たちが思い出す勇者は、私たち国民の心に永遠に刻まれています。

真珠湾と第2次世界大戦の退役軍人のみなさん、可能な方は、立ち上がるか、手を上げてください。みなさんの功績に感謝しています。

国の本質は、戦争において試されますが、平時において定義されます。
先の大戦は、数万ではなく、数千万の命が失われた人類史上、最も恐ろしい出来事の1つです。大平洋で展開された悲惨な戦闘が終わり、アメリカと日本は友情と平和を選びました。過去、数十年にわたり、私たちの同盟は、両国をより繁栄させました。

同盟は、国際秩序を構築し、それによって新たな世界大戦を防ぎ、多くの人々を極度の貧困から救うことができました。

今日、アメリカと日本の同盟は、共通の国益のみならず、共通の価値に基づいて結ばれ、アジア太平洋の平和と安定の礎となっており、世界が前進していく力となっています。

私たちの同盟は、いまだかつてないほど強固なものになりました。よい時も悪い時も、私たちはお互いを支え合ってきました。5年前を思い出してください。津波が日本を襲い、東京電力福島第一原子力発電所が「炉心溶融」、いわゆるメルトダウンとなったとき、アメリカ軍は、われわれの日本の友人を助けました。

そして、アメリカと日本は、アジア太平洋地域と世界における安全保障を強化するために協力しています。海賊を後退させ、疾病と戦い、核兵器の拡散を遅らせ、戦争で荒廃した土地での平和を維持しています。

ことし、真珠湾の近くでは、世界最大の海上軍事演習が行われ、日本の自衛隊は世界の20余りの国とともに参加しました。この演習には、アメリカ海軍の軍人を父に、日本人を母に持つハリー・ハリス司令官が率いるアメリカ大平洋艦隊も参加しました。ハリー司令官は横須賀で生まれましたが、彼のテネシーなまりから、それはわからないでしょう。ハリー司令官、あなたの卓越したリーダーシップに感謝します。

そのような意味で、私たちがここにいるのは、それは政府と政府の関係からだけでなく、両国の国民による絆があるからです。安倍総理がここにいることは、国と国、そして人と人との間に何が可能であるかということを気づかせてくれます。戦争は終わらせることができます。最も激しく対立した敵どうしは、最も強い同盟関係を築くこともできます。平和という果実は、戦争による略奪をはるかに上回るものです。これが神聖な真珠湾のゆるぎない真実です。

憎しみの炎が最も強く燃えさかる時も、部族間の争いがあるときも、私たちは内向きになってはいけないということを、この場所は思い起こさせます。自分たちとは異なる人々を、悪者扱いする衝動に抗わなければならなりません。ここでの犠牲や戦争に対する怒りは、われわれの中にある、神聖な輝きを探すことを思い出させてくれます。

これは、日本の友人の言葉を借りれば「オタガイノタメニ」、つまり「相手とともにあって、相手のために尽くす」よう努力することを求めています。これは、ミズーリ号のウィリアム・キャラハン船長による教訓です。彼は、彼の船が攻撃を受けた後も、日本人パイロットの遺体を、アメリカ人の水兵が縫製した日本の国旗で覆い、軍葬儀の礼を行うよう指示しました。

そして今度は、何年もあと、真珠湾を再訪した日本人パイロットによる教訓です。彼は、アメリカ海軍のラッパ手と友人となり、軍葬の際に流される曲を演奏してもらうように依頼し、毎月、記念館に、アメリカの犠牲者と日本の犠牲者にそれぞれ1本ずつのバラの花を飾ることになりました。

この教訓は、東京で勉強しているアメリカ人であろうと、全米で勉強している日本の若者であろうと、がんの解明に取り組んだり気候変動と闘ったり、星を探査したりしている日米の科学者であろうと、日々の生活の中で、最も平凡な方法で学ぶことができることを示しています。また、野球のイチロー選手のように、マイアミのスタジアムを明るくし、アメリカ人と日本人が共有する誇りによって元気づけられいます。アメリカ人と日本人は平和と友情で結ばれています。

国として、そして人として、われわれは、私たちが引き継ぐ歴史を選ぶことはできません。しかし、そこからどのような教訓を学び、どのように私たちの未来を描くかということは選ぶことができます。

安倍総理、私は友情の精神に基づき、日本人の人々がいつも私を歓迎してくれたのと同様に、あなたをここに歓迎します。私たちはともに、戦争よりも平和によって多くのことを勝ち得ることができ、報復よりも和解がより多くの報償をもたらすというメッセージを、世界に対して送ることができることを期待します。

この静かな港で、私たちは亡くなられた方々に対して敬意を表し、日米両国が友人として勝ち得たすべてことに対して感謝します。

神が戦没者をとこしえの胸に抱え、退役軍人を見守り、皆が私たちのために番をしてくださいますように。私たちに神の御恵みを。ありがとうございます。

出典:NHK

その他出典:外務省首相官邸

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