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【安倍首相】欧州訪問(イタリア・フランス・ベルギー・ドイツ・イギリス)会談・会見まとめ

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160504 日独共同記者会見

安倍晋三首相は2016年5月1日~7日、昭恵夫人と共に欧州(イタリア・フランス・ベルギー・ドイツ・イギリス)とロシアを訪問している。

SUMMARY
日程 2016年5月1日~5月7日
訪問先 イタリア、フランス、ベルギー、ドイツ、英国及びロシア
目的 1 G7伊勢志摩サミット成功に向け、各国と主要課題についての意見交換
2 一層の関係強化
3 ロシアでは、

平和条約締結問題を含む日露関係全般
国際社会の様々な課題についての意見交換

参考文献:首相官邸
平成28年4月28日(木)午前 菅義偉内閣官房長官記者会見

安倍総理大臣の欧州及びロシア訪問

イタリア(5月1日~2日)

平成28年5月1日(現地時間)、安倍総理は、イタリア共和国のフィレンツェを訪問しました。

翌2日(現地時間)午前、総理は、マッテオ・レンツィ首相と会談を行い、その後共同記者発表を行いました。

日伊首脳会談

160502 レンツィ伊首相と握手する安倍総理

5月2日(月曜日)11時30分から約60分間,安倍内閣総理大臣は,ヴェッキオ宮において,マッテオ・レンツィ・イタリア首相(H.E. Mr. Matteo Renzi, President of the Council of Ministers of the Italian Republic)と日伊首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

1 二国間関係

(1)冒頭,レンツィ首相からは,友人である安倍総理を地元フィレンツェにお迎えでき嬉しい,安倍総理と協力して既に良好な二国間関係を一層強化したい旨述べました。

(2)これに対し,安倍総理から,レンツィ首相の地元フィレンツェを訪問できたことは喜ばしい旨述べました。

(3)両首脳は,国交150周年を迎える本年,政治安全保障経済文化・人的交流といった様々な分野で,すでに良好な日伊関係を一層発展させていくことで一致しました。

(4)特に,両首脳は,日本企業によるイタリアへの大型投資が相次いでいることを歓迎し,両国間で産業協力を一層進めていくことを確認しました。

2 G7伊勢志摩サミットに向けた協力

(1)安倍総理から今月末に開催されるG7伊勢志摩サミットでは,価値観を共有するG7らしい戦略的な議論をし,世界経済テロや難民問題について,G7の結束と力強いメッセージを示したい旨述べました。

(2)これに対し,レンツィ首相からは賛意が示され,今年のG7は世界の諸課題に対処する上で非常に重要なタイミングで開催されるものであり,安倍総理の強いリーダーシップに期待している旨の発言がありました。

(3)両首脳は世界経済を再活性化させるため,G7には,構造改革の加速化に合わせて,機動的な財政出動が求められているとの認識で一致し,伊勢志摩サミットでG7として明確なメッセージを発出することを確認しました。

(4)両首脳は本年と明年のG7議長国として緊密に協力することを確認しました。

フランス(5月2日)

平成28年5月1日午後(現地時間)、フランス共和国のパリを訪問し、フランソワ・オランド大統領と会談を行い、その後共同記者発表を行いました。

日仏首脳会談

160502 日仏首脳会談

5月2日午後7時35分から約50分間,また,午後8時45分から約90分間,訪仏中の安倍内閣総理大臣は仏大統領府においてオランド大統領(H.E.Mr.François Hollande , President of the French Republic)と日仏首脳会談及びワーキング・ディナーを行ったところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭

(1)オランド大統領から,安倍総理の訪仏に対する歓迎の意を表しつつ,重要なイベントであるG7の準備の一環として,世界経済や地域情勢,気候変動等について意見交換したい,仏はG7伊勢志摩サミットの成功に向けて日本を支持している旨述べました。

(2)安倍総理から,仏を3年連続で訪問でき嬉しく,緊密に協力してG7伊勢志摩サミットを成功に導きたい旨述べるとともに,熊本地震の際の連帯の意と弔意の表明に謝意を表しました。

(3)両首脳は,日仏間の「特別なパートナー関係」の下,首脳レベルの頻繁な交流を通じて安全保障・防衛イノベーションアフリカ等の分野での協力を力強く発展させていくことで一致しました。

2 G7伊勢志摩サミット

(1)安倍総理から最大のテーマとなる世界経済テロや難民問題への対応については,G7の結束と力強いメッセージを示したい旨述べた上で,中国の景気減速への懸念,原油価格の低下暴力的過激主義中東からの難民への対応で世界経済は不透明感が増大しており,こうした時こそG7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引しなければならず,また,テロ・暴力的過激主義はG7が先頭に立って取り組むべき最優先課題である旨述べました。

(2)オランド大統領は賛意を表明しつつ,現下の世界経済の状況に鑑みG7サミットで経済成長に焦点を当てることは当然である旨述べました。

(3)両首脳は為替市場の急激な変動は避けるべきであること,構造改革を進めるとともに,機動的な財政政策により効果的に需要を創出する必要があることで一致しました。

3 日仏関係/日EU関係

(1)両首脳は安全保障・防衛原子力文化アフリカ等において更に協力していくことで一致しました。

特に,日仏友好160周年である2018年に日本文化の粋を集め,大規模に紹介する「ジャポニズム2018」をパリで開催することで一致しました。

また,アフリカにおける協力は(ア)持続可能な開発,(イ)保健,(ウ)安全の3つの柱に沿って進めていくことで一致し,本年8月にケニアで開催されるTICAD VI向けて協力していくことを確認しました。

(2)日EU・EPAについては,本年のできる限り早期の大筋合意のために双方で努力していくことで一致しました。

4 地域情勢・安保理改革

(1)両首脳は北朝鮮の核・ミサイル開発は国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり,拉致・核・ミサイル開発といった諸懸案の解決に向け努力することで一致しました。

(2)両首脳はまた,ウクライナ情勢の改善の唯一の指針はミンスク合意であること,このためウクライナとロシアの双方への継続した働きかけが必要であること,ロシアとの関係では圧力とともに対話を行っていく必要があることで一致しました。

(3)この他,両首脳は中国や中東情勢などについても意見交換を行うとともに,安保理改革実現に向けて協力していくことで一致しました。

ベルギー(5月3日~4日)

平成28年5月4日(現地時間)、ベルギー王国のブリュッセルを訪問している安倍総理は、対日投資セミナーに出席し、スピーチを行いました。

安倍総理によるブリュッセルでのテロ現場における献花

160503 ベルギー 献花する安倍総理

ブリュッセル訪問中の安倍晋三総理大臣は,現地時間3日午前10時45分,ブリュッセルでのテロ事件の現場マルベーク駅において献花を行いました。その際,以下のメッセージを述べました。

「テロの犠牲となられた方々に心からの哀悼の意を表します。日本はベルギーと、そして、ヨーロッパと共にあります。ここに、強い連帯の意を表します。この場所には花が絶えることはありません。テロによって、一人の犠牲もない平和な時代がくることを望む人々の平和への希求の思いがこの場所に集まっている、そう感じました。日本も世界の国々と手を携え、テロの根絶に向けて、テロと闘って参ります。伊勢志摩サミットにおいても、G7の国々とG7の結束を示していきたいと思います。」

日・ベルギー首脳会談

160503 日・ベルギー首脳会談

5月3日正午から約50分間,ブリュッセルを訪問中の安倍総理大臣は,シャルル・ミシェル・ベルギー王国首相(H. E. Mr. Charles MICHEL, Prime Minister of the Kingdom of Belgium)と首脳会談を実施しました。概要は以下のとおりです。

1 冒頭発言

(1)ミシェル首相から,150周年の記念すべき年に安倍総理の訪問を歓迎する,ベルギーでは多くの日本企業が活動している,この機会に二国間関係をより一層発展させていきたい旨発言がありました。

(2)これに対し,安倍総理から,3月のブリュッセルのテロ事件の犠牲者及び御家族にお悔やみ及びベルギーへの連帯の意を伝えました。また,先月の熊本地震の際の連帯の意と弔意の表明に感謝しました。さらに,日本・ベルギー友好150周年の大きな節目を共に祝いたい旨述べ,首脳レベルの訪問を通じて,テロ対策,経済等幅広い分野で日ベルギー関係を発展させていきたい旨述べました。

2 日ベルギー関係

(1)安倍総理から,日本・ベルギー友好150周年において関連事業が開催されることに触れつつ,在留邦人の安全も含めた治安の確保等,ベルギー当局の協力を要請したのに対し,ミシェル首相から,ベルギーにおいて日本人・企業が安全に過ごせるように取り組んでいく旨の発言がありました。

(2)両首脳は,ベルギーとの租税条約改正が実質合意に至ったことを評価しつつ,デジタル・ICT分野を含め,二国間経済関係をさらに深化させていくことで一致しました。

3 テロとの闘い

安倍総理からG7伊勢志摩サミットでもテロ対策は最大のテーマの一つであり,G7として力強いメッセージを発出したい旨述べると共に,テロとの闘いにおける我が国の取組を説明しました。

ミシェル首相は,G7における安倍総理のイニシアティブを支持する旨述べました。

両首脳はテロ対策に関する二国間協議を年内に開催することで一致しました。

4 日EU関係

両首脳は本年のできる限り早期の日EU経済連携協定(EPA)の大筋合意及び戦略的パートナーシップ協定(SPA)交渉の早期妥結に向けて引き続き努力していくことを確認しました。

5 地域情勢

両首脳はウクライナ情勢の改善の唯一の指針はミンスク合意であり,ウクライナとロシアの双方への継続した働きかけが必要であるとの認識で一致したほか,中国及び南シナ海情勢についても意見交換を行いました。

両首脳はまた,8月に開催されるTICAD VIも念頭に,アフリカの開発と発展に向けた協力について協議を行っていくことで一致しました。

対日投資セミナー 安倍総理スピーチ

皆様、おはようございます。安倍晋三です。日本・ベルギーの外交関係樹立150周年に当たる記念すべき年に、ブリュッセルにおいて対日投資セミナーを開催することができ、嬉しく思います。

私は昨日ブリュッセルにやってまいりましたが、昨日、今日と素晴らしいお天気であります。私自身、あまり自慢できることはないのですが、私の行く所が晴れる。日本では「晴れ男」と言われておりますが、その能力を発揮することができて、嬉しく思います。

日本人はベルギーに対して、150年の関係以上に親しみを感じています。例えば日本人にとって、ベルギーのビール、チョコレート、レースは大変身近なものであります。私共一行は特に昨夜、ビールには大変親しんだのではないかと思います。

ベルギーは重要な投資先でもあります。ベルギーに進出している日本企業は228社、ベルギーに住む日本人は約5,400人に上ります。
一方、日本に進出しているベルギー企業は76社、日本に住むベルギー人は約1,180人です。決して多くはありません。ベルギーから日本に対して、更に投資をしていただきたいと思います、本日はそうした思いで、このセミナーにやってまいりました。

アベノミクスにより、日本の投資環境は確実に改善しました。企業収益は過去最高になり、新たに110万人以上の雇用が生みだされました。
コーポレートガバナンスコードは、昨年6月から、2,000社を超える上場企業に適用されるようになりました。
独立社外取締役を選任する企業は、この2年間で倍増しました。

日本のビジネスコストは決して高くはありません。民間企業の調査によれば、東京の一等地のオフィス賃料と比べて、香港は1.8倍、北京は1.3倍です。アジアの中核都市の中で、日本は割安と言っていいでしょう。

この4月から、法人実効税率を一気に20%台へと引き下げました。2018年度には更に引き下げを実施し、ドイツ並みの水準にいたします。
エネルギー分野においては、電力小売を全面自由化しました。

私は改革の手を緩めることはありません。「世界で最もビジネスしやすい国」を目指す。引き続き改革を断行してまいります。規制・行政手続を、企業の目線に立って抜本的に見直します。

日本はもはや、外国人に閉じた国ではありません。2020年までに、外国人IT人材を3万人から6万人に倍増することを目指します。今後も高度外国人材の受入れを推進してまいります。

日本は、イノベーションに最適な環境を整備します。
再生医療分野では、製品の承認を迅速化した結果、iPS細胞から作った心筋や網膜など、世界初の製品を生み出す動きが次々と出てきています。本社をカリフォルニアから東京に移転した再生医療ベンチャーも現れました。

今月末にはG7伊勢志摩サミットが開催されます。本日のセミナーで市長が登壇される神戸市、つくば市においても、G7の閣僚会合が開催されます。

日本が注目を集めるこの機会に、まずは是非、日本を訪れていただきたいと思います。ベルギーのビールやムール貝は素晴らしいですが、日本のビールや寿司も決して負けないと思います。是非日本で、本場で味わっていただきたい。ムール貝もブラッセルで味わわなければいけない。日本の寿司は日本で味わっていただきたいと思います。

日本へ投資をする企業の皆様のために、ジェトロと在外公館が連携し、全面的に支援する体制も整えています。より良い貿易投資ルールの準備のためにも、日EU・EPAの年内妥結の実現に全力を尽くしてまいります。
最後に申し上げます。是非、日本に、投資を。ありがとうございました。

//www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0504invest_speech.html

ドイツ(5月4日)

160504 庭を散策する両首脳

平成28年5月4日午後(現地時間)、ドイツ連邦共和国のベルリンを訪問し、メーゼベルク城でアンゲラ・メルケル首相と会談を行い、その後共同記者会見を行いました。

両首脳は、共同記者会見後にメーゼベルク城の庭を散策しました。

日独首脳会談

160504 日独首脳会談に臨む両首脳

 

5月4日(水曜日)17時45分から約50分間(現地時間),ドイツを訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,ベルリンから約60kmに位置するメーゼベルク城(独政府迎賓館)において,アンゲラ・メルケル・ドイツ連邦共和国首相(H.E. Dr. Angela Merkel, Federal Chancellor of the Federal Republic of Germany)と会談を行い,さらに19時00分から約2時間,ワーキング・ディナーを実施したところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭

(1)冒頭,メルケル首相から,安倍総理のドイツ訪問に対する歓迎と熊本地震についてお見舞いの言葉があり,世界の平和と安定に向け,G7において日独間でさらに協力を進めたい旨述べました。

(2)安倍総理から,3年連続の訪独をうれしく思う,日独は基本的価値を共有するグローバル・パートナーであり,メルケル首相と協力してG7伊勢志摩サミットを成功に導きたい旨述べました。

2 G7伊勢志摩サミット

(1)安倍総理から世界経済を再活性化させるため,構造改革の加速化に合わせて,機動的な財政出動が求められており,伊勢志摩サミットでG7として一段と強いメッセージを発出したい旨述べました。
メルケル首相が言うとおり,構造改革は最も重要であり,自分もアベノミクスの「三本目の矢」を最も重視しているとして,日本国内での政策について説明しました。

(2)メルケル首相からは,財政出動においては自分はフロントランナーではないが,金融政策,財政政策及び構造改革を同時に進めていくことが重要である旨述べ,特に民間投資喚起の重要性を指摘しました。
また,メルケル首相から,為替の急激な変動は望ましくないとの発言があり,両首脳は為替の安定に向け協力していくことで一致しました。

(3)両首脳は構造改革と財政出動をバランスをとって進めていくことの重要性について完全に一致し,シェルパによる話し合いを経て,伊勢志摩サミットにおいて首脳間でさらに議論を継続し,G7としてのメッセージをまとめることを確認しました。

(4)安倍総理から伊勢志摩サミットにおいて,テロ・中東ロシア・ウクライナ等について議論を行いたいと述べ,特に,国際社会の最優先課題であるテロと暴力的過激主義について,両首脳は普遍的価値を共有するG7が先頭に立って取り組んでいく必要があることを確認しました。

3 二国間関係

(1)安倍総理は日独は基本的価値を共有するグローバル・パートナーであり,アジアと欧州の主要リーダーとして,国際社会の諸課題への対処において重要な役割を担っている旨述べました。

両首脳は,このような認識の下,日本の「平和安全法制」の成立を契機に,日独が連携して,国際社会の平和と安定に一層積極的に貢献していくことを確認し,来月に開催予定の日独外務・防衛当局者間協議を通じた対話を継続していくとともに,本年中にサイバー協議を立ち上げることで一致しました。

(2)両首脳は,日独が科学技術とイノベーションで世界をリードしており,先週,日本の経済産業省とドイツの経済エネルギー省の間でIoTとインダストリー4.0に関する共同声明が発表されたことを歓迎しました。

さらに,メルケル首相から来年のCeBIT(情報通信見本市)への安倍総理の招待と日本のパートナー国としての参加希望が述べられ,安倍総理からは,諸般の事情が許せば出席したい旨述べました。

(3)このほか,両首脳は,デュッセルドルフ日本商工会議所設立50周年を歓迎するとともに,中小企業連携日EU・EPAを更に進展させていくことを確認しました。

(4)安倍総理から,緊密な日独関係を一層強化するべく,ガウク大統領を日本に招待したい旨伝達し,メルケル首相からガウク大統領は日本への関心が高く,訪日を楽しみにしている旨述べました。

(5)両首脳は,ベルリン日独センターと日独フォーラムが人的・知的交流における重要なツールであることを確認し,引き続き積極的に活用していくことで一致しました。

4 地域情勢

(1)両首脳はウクライナ情勢東アジア情勢中東情勢難民問題といった地域情勢について幅広く議論し,踏み込んだ意見交換を行いました。

(2)特に両首脳は東アジア情勢について,国際社会における力による一方的な現状変更の試みは,法の支配といった普遍的価値に基づく国際秩序への挑戦であり,受け入れられない点につき一致しました。

また,北朝鮮の核・ミサイル開発地域のみならず国際社会の平和と安全に対する重大な脅威である点を確認しました。メルケル首相からは,先般の日韓合意を高く評価するとともに,これが北朝鮮への対応にも良い影響を与えることを期待している旨述べました。

(3)ウクライナ情勢に関し,安倍総理は,先月訪日したポロシェンコ大統領に対し,ミンスク合意の完全履行と国内改革の加速を求めるとともに,ウクライナが改革を進める限り日本はその努力を後押しする旨述べました。

メルケル首相からは,ノルマンディー・フォーマットでの努力を継続し,ウクライナが状況改善への努力とともに,選挙法改正等の改革を進めていくことが必要であると述べました。
その上で,両首脳はウクライナに加え,シリアやISIL等についても,ロシアが建設的な役割を果たしていくことが重要であるとの認識で一致しました。

5 国連安保理改革

両首脳は国連安保理改革について,G4の連携が重要であるとの認識で一致し,引き続き協力していくことで一致しました。

日独共同記者会見

160504 日独共同記者会見

【安倍総理冒頭発言】

まず初めに、ただいまもメルケル首相から言及がございましたが、先般の熊本地震に際し、メルケル首相、そしてドイツ政府及びドイツ国民の皆様からいただいた連帯の表明に、心から感謝したいと思います。

昨年6月のG7エルマウ・サミットに続き本年、ドイツを訪問できて、嬉しく思いますし、この美しいメーゼベルク城において首脳会談を、そして夕食を共にする機会を得たことを本当に嬉しく思います。

昨年のエルマウ・サミットを力強いリーダーシップで成功に導いたアンゲラに、改めて敬意を表したいと思います。いよいよ今月末には、私が議長を務め、伊勢志摩でG7サミットを開催します。

本日、ここメーゼベルク城の落ち着いた雰囲気の中で、アンゲラとじっくりと意見交換し、伊勢志摩サミットの成功に向けて緊密に協力することで一致をしたこと、大変意義深いと思います。

会談の中では、世界経済について通常の景気循環を超えて危機に陥るリスクを回避し、世界経済を再活性化させるため、G7には構造改革の加速化に合わせて機動的な財政出動が求められており、伊勢志摩サミットでG7として一段と強い、明確なメッセージを発出したいと考えていることをお伝えしました。

アンゲラとは十分な時間をかけて、突っ込んだ意見交換を行いました。この点について、伊勢志摩サミットで引き続き議論を行っていくことで一致をいたしました。G7の首脳の間で議論を行い、世界経済の持続的な成長に寄与すべく、G7として協調して、明確なメッセージを発信したいと考えています。

世界全土に拡大するテロ及び暴力的過激主義は、国際社会の最優先課題であり、また、普遍的価値を共有するG7が先頭に立って取り組んでいく必要があることを確認しました。サミットに向けた連携を強化できたことは、今次訪独の最大の成果であったと思います。

二国間関係について、このあと議論する予定であります。日独は、基本的価値を共有するグローバルパートナーであります。アジアと欧州の主要リーダーとして、国際社会の諸課題への対処において重要な役割を担っています。

このような認識の下、平和安全法制の成立を契機に、日独が連携し、国際社会の平和と安定に一層積極的に貢献していくことを確認したいと思います。

日独は科学技術とイノベーションで世界をリードしています。先週、経済産業省と経済エネルギー省の間でIoTとインダストリー4.0に関する共同声明が発表されたことを歓迎したいと思います。今後も日独で緊密に協力して、「第四次産業革命」を実現させたいと思います。

その他、中小企業連携日EU・EPAを更に進展させていくことを確認しました。今後も年内の妥結に向けて、全力で取り組んでいきます。

また、緊密な日独関係を一層強化するべく、ガウク大統領を日本に招待したい旨、このあとアンゲラにお伝えしたいと思っています。今後、訪日実現に向けて調整を行っていきたいと思います。また、セービットのパートナー国として、来年御招待をいただきました。諸般の事情が許せば、是非実現したいと思っております。

この後の夕食会では、ウクライナ情勢、東アジア情勢、中東情勢といった地域情勢について幅広く議論する予定であります。メルケル首相から率直な意見を伺いたいと思います。

一方的な力による現状変更の試みは、法の支配といった普遍的価値に基づく国際秩序への挑戦であり、受け入れられません。
この認識で完全に一致するアンゲラと、国際社会の平和と安定のために日独が取るべき対応について、突っ込んだ議論を行う機会としたいと思います。

アンゲラは、現在、世界で最も影響力のある政治家の一人であります。難民問題やウクライナ情勢をはじめとした国際社会の諸課題に、連日、獅子奮迅の取組をしておられることに対しまして、改めて敬意を表したいと思います。

本日、メルケル首相と、世界の様々な課題について議論できることは大変有意義であります。今回の訪独を契機に、世界をリードする日本とドイツのパートナーシップを一層強化し、国際社会の平和と繁栄に向けた取組をアンゲラと共に力強く推し進めていきたいと思います。

サミットにおいては、先程申し上げましたような課題や、今メルケル首相が挙げられた女性の活躍、あるいは保健の問題、衛生の問題等、様々な課題について議論したいと思いますが、サミットの舞台となる伊勢志摩では、日本の美しい自然や文化や伝統に、是非触れていただきたいと思います。
今月末の伊勢志摩サミットにおいて、伊勢志摩にアンゲラをお迎えできることを楽しみにしております。

//www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0504germany.html

英国(5月5日)

160505 日英首脳による日本企業視察

平成28年5月5日(現地時間)、安倍総理は、英国のロンドンを訪問しました。

総理は、デービッド・キャメロン首相と会談及び共同記者会見を行いました。
次に、総理は、内外記者会見を行いました。
続いて、キャメロン首相と共に、日本企業が建設した鉄道車両基地の視察を行った後、英国首相迎賓館を訪問し、庭を散策した後、日英首脳会談を行いました。

日英首脳会談

160505 日英首脳会談

5月5日10時50分から約1時間,安倍内閣総理大臣は英首相官邸においてデービッド・キャメロン首相(The Rt Hon David Cameron MP, Prime Minister of the United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland)と日英首脳会談を行ったところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭

(1)キャメロン首相から,安倍総理の3度目の訪問を歓迎する,G7伊勢志摩サミットに向けて意見交換を行うと共に,経済安全保障強固な二国間関係についても議論したい旨述べました。また,熊本地震の犠牲者等に対する哀悼の意を表しつつ,協力の申し出がありました。

(2)安倍総理から,哀悼の意の表明に謝意を表しつつ,統一地方選挙当日という英国にとって重要な日にお会い出来て嬉しい,キャメロン首相と緊密に協力してG7伊勢志摩サミットを成功に導きたい,今回の訪英を通じて,日英の強固なパートナーシップを更に発展させたい旨述べました。

2 G7伊勢志摩サミット

(1)安倍総理から,価値観を共有するG7らしい戦略的な議論をしたい,最大のテーマとなる世界経済テロや難民問題への対応について,G7の結束と力強いメッセージを示したい旨述べ,キャメロン首相から賛意が表明されました。

(2)世界経済について,両首脳は,G7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引していくことで一致し,金融政策機動的な財政出動構造改革それぞれの国の事情を反映しつつ,バランスよく協力して進めていくことが重要であるという点で一致しました。

(3)両首脳はまた,テロ・暴力的過激主義がG7が先頭に立って取り組むべき最優先課題であることで一致しました。

3 日EU関係

(1)安倍総理から英国のEU残留・離脱に関する国民投票に関し,本件は英国民が決めることであるとした上で,強いEUに英国がいることが良い,英国がEUのメンバーであることは日本から英国への投資にとっても最善である等説明し,日本の国益の観点から英国のEU残留が望ましいという考え方を伝え,EU残留を支持するキャメロン首相から謝意が表明されました。

(2)両首相は本年の出来る限り早期の日EU・EPA大筋合意及びSPAの早期妥結に向けて,双方が柔軟性を示しつつ,リーダーシップを発揮していくことで一致しました。

4 日英二国間関係

(1)安倍総理から英国が日本を「アジアにおける最も近しい安全保障パートナー」と位置づけたことを評価しつつ,日英連携を更に進めたい旨述べたのに対し,キャメロン首相から賛意が示されました。

(2)両首脳は,ダイナミックな戦略的パートナーである日英両国の関係が進展していることを評価しつつ,経済安全保障・防衛分野を始めとする幅広い分野で協力を一層進めていくことを確認しました。

日英共同記者会見

160505 日英首脳会談2

【安倍総理冒頭発言】

 まず、先般の熊本地震に際し、デービッドより、そして英国政府及び英国国民の皆様からいただいた連帯の表明に、心から感謝申し上げたいと思います。
 エリザベス女王陛下が、先月90歳の誕生日を迎えられたことに対し、心より祝意を申し上げます。日本の皇室と英国の皇室の交流は、日英関係の基盤であります。

 2年前に、ここ首相官邸でデービッドと会談し、ダイナミックな戦略的パートナーシップに関する日英共同声明を発表しました。再度英国を訪問することができて、大変嬉しく思います。英国の皆様による温かい歓迎に感謝申し上げたいと思います。

 私が議長を務めるG7伊勢志摩サミットに向けて、デービッドと緊密に連携し、成功に導きたいと思います。
 伊勢志摩サミットでは、世界が直面する様々な課題について、価値観を共有するG7らしい戦略的な議論を行いたいと思います。特に最大のテーマとなる世界経済、そしてテロへの対応について、G7の結束と力強いメッセージを示していく考えです。G7の結束力、これをしっかりと示していきたいと思います。こうした私の考え方を、今日デービッドに支持をいただき、大変有意義な会談となりました。

 会談の中では、世界経済について通常の景気循環を超えて危機に陥るリスクを回避し、世界経済を再活性化させるため、G7には構造改革の加速化に合わせて機動的な財政出動が求められており、伊勢志摩サミットでG7として一段と強いメッセージを発出したいと考えていることを、お伝えをいたしました。

 デービッドと金融政策、機動的な財政出動そして構造改革を、それぞれの国の事情を反映してバランスよく進めていくことが重要である、という点で認識を共有できたと考えています。この点については、今回の欧州訪問で会談を行ったイタリア、フランス、そしてドイツの首脳も同様であります。

 もう一度申し上げますが、機動的な財政出動、構造改革をそれぞれの国の事情を反映しつつ、バランスよく、かつ協力して進めていくことが重要である、という点で認識を共有できたと考えています。

 この点について、伊勢志摩サミットで引き続き議論を行っていくことでも一致をいたしました。G7首脳の間で議論し、世界経済の持続的な成長に寄与すべく、G7として協調して、明確な力強いメッセージを出すことでも一致をいたしました。

 テロ暴力的過激主義対策も重要であります。G7として、テロ、暴力的過激主義対策にリーダーシップを発揮していくことについても、デービッドと一致をいたしました。

 さらに、日EU関係についても議論を行いました。日本は、EUのゲートウェイである英国との関係を重視しています。この観点から、日EU・EPA及びSPAの早期妥結の重要性をキャメロン首相と再確認できたことは、大変心強いと思います。

 この後、キャメロン首相と共にノースポールの車両基地を視察いたします。英国には、約1,000社の日本企業が進出をし、約14万人の雇用を創出しています。そうした強固な日英経済関係の現場をデービッドと共に確認し、更なる経済関係強化につなげていきたいと思います。

 今晩は、英国首相迎賓館であるチェッカーズに泊まり、日英関係や、アジアウクライナ・ロシア等の地域情勢、安保理改革等のグローバルな課題について、デービッドとじっくりと議論を行うことを楽しみにしています

 特に、北朝鮮東シナ海南シナ海など、アジアのますます厳しさを増す安全保障環境について認識を共有し、地域の平和と安定のため、日英で連携を強化していきたいと思います。

 法の支配を始めとする基本的価値を共有する日英両国は、国際社会の平和と安定に責任を有する大国であり、アジア及び欧州において、それぞれ最も緊密な安全保障のパートナーであります。

 このような日英関係の下、アジア、欧州、地球規模の課題について、キャメロン首相と緊密に連携して対応していきたいと思います。日本としても、テロ対策中東情勢ウクライナ情勢等、欧州が特に関心の高い問題に対して積極的に貢献していく考えであります。

 サミットの舞台となる伊勢志摩では、日本の美しい自然や伝統や文化にも、是非触れていただきたいと思います。
 今月末のG7伊勢志摩サミットにデービッドをお迎えできることを楽しみにしております。

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内外記者会見(5月5日)

【安倍総理冒頭発言】

本日5月5日は、日本では子どもたちの健やかな成長を願う国民の祝日であります。
次の世代を担う子供たちのために、より良い世界を築く。これは、政治家たる者の共通の務めであります。そして、世界中のどの国のリーダーもその決意は変わらない、と信じます。

3週間後に、日本の伊勢志摩で開催するG7サミットは、その「決意」を「行動」へと移す。世界が直面する様々な課題に、力を合わせて立ち向かう。その大きな一歩を踏み出す場にしたいと考えています。
自由、民主主義、人権、法の支配といった基本的な価値を共有し、世界の平和と繁栄を牽引してきたG7には、その大きな責任があります。

先ほど会談を行ったキャメロン首相とも、フランスのオランド大統領やイタリアのレンツィ首相とも、さらには、ドイツのメルケル首相とも、その使命感と責任感を共有できたことは、今回の欧州訪問の大きな収穫でありました。

首脳たちからは、先月の熊本地震について、犠牲となった方々への哀悼の意と、被災された方々へのお見舞いの言葉をいただきました。

この5月5日を、自宅を失って、残念ながら、避難した体育館の中で迎えた子供たちがたくさんいます。しかし、先週訪れた避難所では、不自由な生活の中にあっても笑顔を絶やさず、励ましあい、助け合いながら復興に向けて頑張る、被災者の皆さんがいました。その思いに応えるため、政府も現在、復興対策に全力を挙げているところです。

被災地である九州の熊本や大分は、日本が世界に誇る観光地であります。今回も、日本の投資先としての魅力、観光地としての魅力を、各首脳に目一杯アピールしました。ベルギーでは、神戸市の久元市長や、つくば市の市原市長の参加を得て、日本の「地方」が持つ魅力を発信いたしました。どうか、ヨーロッパの皆さんも、今年の夏休みには日本に、そして九州にお越しいただきたい。豊かな自然や、温泉を満喫していただきたいと思います。力強く復興が進む姿を、その目で確かめていただければ大変嬉しく思います。

改めて、この場を借りて、ヨーロッパを始め、世界中から寄せられた、被災地へのエール、心温まる支援の数々に対して、心からの御礼を申し上げたいと思います。国境を超えた「絆」は、被災地の人々を大いに勇気づける、大きな「力」となっています。

これほどまでに相互依存が高まった世界にあって、今日、私たちは自然災害を始めとして、様々なリスクを共有し、共に立ち向かわなければならない。そうした時代を迎えています。

ベルギーでは、あの非道なテロが行われた現場に足を運び、犠牲者の御冥福をお祈りし、献花をいたしました。暴力的過激主義は、今や、世界の平和と繁栄に対する大きな脅威となっています。中東から欧州へと押し寄せている難民への対応も、政治問題であるだけでなく、世界経済にも大きな影響を及ぼす課題であります。

こうしたリスクの高まりに加えて、昨今の原油価格の下落は、資源国を始め新興国の経済に、大きな打撃を与えています。さらに、過剰設備や不良債権の問題が指摘されるなど、中国の景気減速への懸念も背景に、年明け以降、世界的に市場が大きく変動しており、世界経済の不透明さが増しています。

世界経済の「下方リスク」と「脆弱性」が高まっている。こうしたリスクに、G7が、いかにして協調して立ち向かうことができるかが、伊勢志摩サミットの最大のテーマであります。
G7がリードして、世界経済の持続的かつ力強い成長への道筋を示す。政策協調への力強いメッセージを打ち出さなければならなりません。

なすべきことは、明確です。
アベノミクスの「三本の矢」を、もう一度、世界レベルで展開させることであります。

自由な競争の中から、新しい技術革新が生まれ、そして、新しい付加価値が生まれます。構造改革を推し進め、「良いものが良い」と評価される、自由で公正な市場を創らなければなりません。そのためにも、日本は、TPP日EU・EPAの実現を急いでいます。

多くの専門家は、今年、更なる景気悪化と、世界的な需要の低迷を見込んでいます。安定した成長軌道を目指し、この低迷した状況から、一気呵成に抜け出す。「脱出速度」を上げていくためには、金融政策だけでなく、財政政策においても、機動的な対応が強く求められています。新興国を中心に、質の高いインフラや環境分野での投資を、一層拡大していくことも必要です。

イギリスを代表する保守政治家、チャーチル首相の言葉がよみがえります。
「『行動』を起こすことを、私は、まったく恐れない。
恐れるのは、ただ無為に時を過ごすことだけだ。
(I don’t worry about action, but only inaction.)」

世界経済が抱えているリスクが顕在化し危機に陥る、その前に、私たちは「行動」を起こさなければならなりません。私たちG7に、今、求められていることは「行動」であります。

1か月ほど前、ワシントンで、オバマ大統領やカナダのトルドー首相と一致した、この認識を今回ヨーロッパの友人たちとも共にすることができた、と考えています。

明日、私は、ロシアを訪問します。
ロシアともまた、世界が直面する様々な課題に立ち向かう関係を築きたい。ウクライナ問題においても、シリア情勢、また、北朝鮮の問題においても、その解決のためには、ロシアの建設的な関与が不可欠であります。幅広いテーマについて、プーチン大統領と話し合う予定であります。

日露間では、戦後70年以上を経た今も、平和条約が締結されていないという異常な状態にあります。プーチン大統領との首脳会談は、今回で13回目となりますが、この問題は、首脳同士の直接のやりとりなくして、解決することはできません。北方四島の帰属の問題を解決し、平和条約を締結する。その共通の目標に向かって、胸襟を開いて、率直な会談を行いたいと考えています。

隣国である、日本とロシアの両国民は、長い歴史の中で、深い友情を培ってきました。現在の異常な状態を解消し、経済分野を始め、日露の協力が秘めている大きな可能性を、現実のものとする。その道筋について、プーチン大統領と話し合いたいと思います。
私からは、以上であります。

【質疑応答】


(NHK 原記者)

伊勢志摩サミットで機動的な財政出動について強いメッセージを発したいとおっしゃられていますが、今般会談されましたイタリア、フランス、EU、今日会談されたイギリス、昨日のドイツとの間では温度差が見られるように感じました。総理の御認識はどのようなものでしょうか。また、そうした認識の違いを今後、どのように埋めていこうとお考えでしょうか。
また、為替について伺います。こうした世界経済の状況の中で為替の変動で円高が進んでおりまして、日本企業への影響も懸念されています。G7サミットで為替について議論されたり、具体的な対応について検討される予定はありますでしょうか。

(安倍総理)

今回、各国首脳会談において、私は、世界経済について通常の景気循環を超えて、危機に陥るリスクを回避し、世界経済を再活性化させるため、G7には、構造改革の加速化に合わせて、機動的な財政出動が求められていること、そのため、伊勢志摩サミットでG7として一段と強い、そして明確なメッセージを発出したいと考えていることを各国首脳にお伝えしました。この点について、手応えをしっかりと感じとることができました。それが、今回の一連の首脳会談の大きな成果だと思います。

すなわち、金融政策、機動的な財政政策、構造改革をそれぞれの国の事情を反映しつつ、バランス良く協力を進めていくことが重要であるという点で各国首脳と一致できました。今申し上げた点においては、イタリアのレンツィ首相、そしてフランスのオランド大統領、そしてドイツのメルケル首相、英国のキャメロン首相と一致することができました。

伊勢志摩サミットにおいては、首脳が一堂に会して、さらに、今申し上げた共通の認識をベースに、議論を深め、G7として明確な力強いメッセージを発出していく。そのことで一致しました。

そして、為替についてでありますが、まず為替の水準については、総理大臣として言及を差し控えたいと思います。その上で申し上げれば、為替の急激な変動は、例えば我が国の貿易関連企業に大きな影響を与えるなど、望ましくはありません。

足下の為替市場では、急激で投機的な動きが見られていますが、G20でも、為替市場における過度の変動や無秩序な動きは、悪影響を与え得るものであり、為替レートの安定が重要との認識が確認されています。オランド大統領、そしてメルケル首相とも、為替の安定は重要であり、急激な変動は望ましくないということについて一致をしたところであります。為替市場の動向を、注意深く良く見て、必要に応じて対応したいと思います。

また、伊勢志摩サミットでは、世界経済の課題について幅広く議論をしていくことになりますが、その中で、必要に応じて、為替についても議論されることになるのではないかと思います。

(BuzzFeed アルベルト・ナルデッリ(Albert Nardelli)欧州担当編集委員)

安全保障、ウクライナ、あるいは中東の問題等について、現在のG7とロシアとの関係に鑑み、目に見える成果が上げられると考えているか。

(安倍総理)

今回、例として挙げられました安全保障に関わる課題、これはシリアの問題もそうですし、そしてテロの問題もそうですし、また難民の問題もそうだと思います。そしてウクライナ、また、ロシアとの問題、また、南シナの問題等もあると思います。

G7というのは、自由や民主主義、そして人権、法の支配、普遍的価値を共有する国々であります。正に私たちが集まって議論していく、そして、今申し上げたような課題にしっかりと立ち向かい、メッセージを出していくことが求められていますし、それがG7にとって責任でもあろう、とこのように思います。

その意味におきましては、特にテロについては、我々はG7において、テロ対策の行動計画について示していきたいと思っています。大切なことは、G7が結束力を示し、そうした課題にしっかりと取り組んでいく、私たちが創り上げてきた世界の秩序に対する挑戦、そうした動きに対して私たちが答えを出していく、そして処方箋を示していくことが求められていると思いますし、伊勢志摩サミットにおいては明確なメッセージを出したい。

先ほど経済分野において明確な力強いメッセージを出したいと、このように申し上げましたが、安全保障においても、しっかりとした力強いメッセージを示し、G7の結束力を示したいと思います。

(日本テレビ 矢岡記者)

明日行われます日露首脳会談についてお伺いいたします。安倍総理としては、北方領土問題の解決、平和条約の締結を目指すとともに、今回各国と議論されたようにウクライナ問題、シリア問題、G7一体となったメッセージを出す役割もあります。日本の総理大臣としての立場、そしてG7サミット議長としての立場と、どうバランスを取って、明日のプーチン大統領とのトップ会談に臨むお考えでしょうか。お聞かせください。

(安倍総理)

戦後70年経っても平和条約が締結されていない状況は異常な状態である、この認識はプーチン大統領と一致をしていることであります。北方領土問題は首脳間のやり取りなくして解決はしません。北方四島の帰属の問題を解決をし、平和条約を締結するとの基本方針に基づいて、プーチン大統領と直接話し合い、領土問題の解決に向けて粘り強く取り組んでいく考えであります。
そして、日本とロシアは、最も可能性を秘めた二国間関係であります。産業経済や国民生活の面でも互いに協力を深め、この可能性を実現させる工夫も重要であります。プーチン大統領とはこうした面も含め胸襟を開いた対話を行っていきたいと、このように思います。正にこの可能性を現実化させるためにも,平和条約の締結が必要であります。そうしたこともしっかりと念頭に置きながら、プーチン大統領と議論したいと思います。

また、プーチン大統領とは、シリア、ISIL、ウクライナ、北朝鮮、イラン等について、ロシアの建設的関与を得ていくことも重要であることについても、率直に話し合いたいと思います。

そしてまた、プーチン大統領の訪日についてでありますが、これを有意義なものとすべく、引き続き最も適切な時期を探っていきたい。このように思います。

もちろん私はG7の議長国であります。議長国として、G7の枠組み、そして結束はしっかりと守っていきたいと思っています。

(ブルームバーグ通信 アレックス・モラレス(Alex Morales)記者)

米国は最近、為替政策に関するウォッチリストに日本を載せたが、これに対する見解を伺う。更に円高が進めば、介入を行うのか、また、G7サミットの前に介入を行う可能性はあるか。
さらに、トランプ大統領が実現した場合、日本は建設的に協力できると思うか。

(安倍総理)

まず、為替については先ほど申し上げた通りでありまして、為替の急激な変動は、我が国の貿易関連企業に大きな影響を与えるわけでありまして、望ましくないわけであります。足下の為替市場では、急激で投機的な動きがみられています。G20でもそうですが、為替市場における過度の変動や無秩序な動きは、悪影響を与え得るものであり、為替レートの安定が重要との認識が確認されているということであります。今後とも為替市場の動向を、注意深く良く見て、必要に応じて対応したいと思います。

そして、アメリカの対応についてでありますが、日米の貿易において黒字であることに鑑みて指定されているわけでありまして、我々が恒常的に為替に対して影響を与えているわけではない、ということであります。

そしてまた、米国の大統領選挙についてでありますが、米国大統領選そのものについてコメントすることは差し控えたいと思いますが、その上で申し上げれば、地域の安全保障環境が一層厳しさを増す中、日米安保体制を中核とする日米同盟は、アジア太平洋の平和と繁栄の礎であり、そしてそのことは今後も変わりはないであろうと思います。

誰が大統領になるにせよ、日米同盟の重要性がますます増している、日米同盟の役割がますます重要になっている中、米国の新たな政権とも今後とも引き続き緊密に連携しながら、日米同盟を更に深化、強化させていくように努力していきたいと思います。そのことがアジア太平洋地域の平和に資することになろうと思います。

(テレビ朝日 吉野記者)

今回の歴訪では、新興国経済ですとか南シナ海の問題もテーマとなったかと思います。この問題は今後サミットでもテーマとなると思うのですが、いずれにしてもこれは中国とも密接に関わる問題なのだろうと思います。
ただ今後、秋のG20は中国が仕切ることになるわけなのですが、G20に今回のテーマをどうつなげていくか。その辺のお考えをお聞かせください。

(安倍総理)

中国を始めとする新興国の景気減速への懸念、そして原油価格の低下、地政学的なリスクなども背景に世界経済の下方リスクが高まっています。こうした時こそ、G7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引しなければなりません。
G7伊勢志摩サミットでは明確なメッセージを世界に向けて発信をして、秋のG20につなげていきたいと考えています。

南シナ海の問題につきましては、広島で行われたG7外相会合でも充実した議論が行われました。自由で開かれた海洋は、国際社会の繁栄の礎でもあります。そうした観点から、G7伊勢志摩サミットでは法の支配と平和的解決の重要性について、各国首脳と認識の一致を見たいと考えています。

そして9月には、中国の杭州で行われるG20サミットがありますが、杭州で行われるこのG20サミットにおいては日中首脳会談も行いたいと考えています。新興国経済や南シナ海の問題はいずれも重要なテーマであり、G7サミットの成果を基に世界の平和と繁栄に対する中国の建設的な関与を働きかけていきたいと考えています。

//www.kantei.go.jp/jp/97_abe/statement/2016/0505naigai.html

ロシア

長くなったので別のページにまとめました。
下のリンクからご覧ください。

【安倍首相】ロシア訪問、プーチンとの首脳会談など概要まとめ

出典:首相官邸外務省

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