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第48回アジア開発銀行(ADB)年次総会 麻生副総理総務演説 全文

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昨日の記事に書いた通り麻生太郎財務相は4日、世界67の国と地域が加盟するアジア開発銀行(ADB)のすべての加盟国が参加する総会で、アジア向けインフラ投資強化のための新たな投資拡大策を表明しました。
関連【麻生財務相】アジア向けインフラ投資強化、4日午後発表へ

やはり、明らかに AIIB に対抗する内容になっています。
最後に演説のポイントをまとめましたので、よかったらご覧ください。

参考【AIIB】「アジアインフラ投資銀行」とは? わかりやすく簡単なまとめ

第48回ADB年次総会 日本国総務演説

第48回アジア開発銀行(ADB)年次総会における麻生副総理総務演説

(平成27年5月4日(月) 於 アゼルバイジャン・バクー)

冒頭

総務会議長、総裁、各国総務並びにご列席の皆様、

アゼルバイジャン政府及びバクーの皆様の温かい歓迎に心より感謝申し上げます。

はじめに、ネパールの地震によって、多くの方が命を落とされるなど深刻な被害を受けられたことに対し、心からのお見舞いを申し上げます。日本は国際緊急援助 隊の派遣や緊急援助物資の供与を行ってきました。これに加え、日本として1,400万米ドルの緊急無償資金協力を行うことを表明しました。今後も国際的に 協調しながら、切れ目なく被災地のニーズに応じた復旧・復興のための支援を実施していく所存です。この点で、日本はネパールが歓迎するのであれば、ADB や他の関心のある開発パートナーと協力して、来るべき復旧・復興段階に向けた支援国会合を共催する用意があります。被災地の一刻も早い回復をお祈りしま す。

ADB はアジア地域の開発金融機関としてアジアを支えてきましたが、今後も、ADB がアジアの発展のためにより一層大きな役割を果たしていくことを、私は強く確信しています。

アジアの持続的かつ包摂的な成長に向けた ADB の取組みと、その ADB を支える日本の取組みについて、本日、私の考えを述べたいと思います。

ADBの融資能力の強化及び組織面の強化

ADBはアジアの膨大な資金ニーズに応えるために、様々な取組みを行っています。

第一に、アジア開発基金(ADF)と通常資本財源(OCR)の統合です。私はこの革新的な統合案を構想当初より強く支持してきました。本案実現に尽くした中 尾総裁に、あらためて、感謝申し上げます。ADFとOCRの統合により、ADBは限られた資金を効率的に活用してアジアの膨大なニーズに効果的に対応して いくことが可能となります。統合は、ADB のみならず、開発金融機関の歴史上最も革新的な出来事の一つと言えます。

第二に、ADB は、民間セクター向け支援を大きく拡大していくことを目指しています。長期的な経済成長に民間の活力は不可欠であり、ADBによる民間セクター育成につながる支援は極めて有益です。

第三に、ADB は、クライアントのニーズに対応するために、手続迅速化の取組みを行っています。

日本として、ADB がこうした機能強化の取組みを引き続き実施していくことを強く期待します。具体的には、ADF-OCR 統合に伴いADB の事業量は今後、確実に拡大することが予想され、とりわけ、民間セクター向け支援の拡大のために、一層の体制強化が必要です。こうした体制強化及び手続迅 速化を進めていく観点から、多面的かつ大胆な組織改革を行い、十分な職員と運営資金源の確保を行うことが必要と考えます。日本は ADB のこうした取組みを全力でサポートします。

インフラ投資

次に、インフラ投資について述べます。

インフラは持続的な成長の基盤となるものであり、日本はインフラ投資促進のために、“Quality Infrastructure Investments”(「質の高いインフラ投資」)、つまりアジアに中長期的に望ましい成長をもたらす、良質なインフラ投資を促進するための、新たなイニシアティブを推進します。具体的には以下の4つの政策パッケージからなります。

第一に、日本の官民一体となって、アジア地域向けのインフラ投資の量的拡充を図ります。その際、政策ツールを総動員し、より一層の迅速化も図ります。

第二に、良質なインフラ投資を国際的スタンダードとして促進することです。環境や現地コミュニティと調和し、技術移転や人材育成を促し、債務持続可能性に配慮したインフラ投資に関して、日本の知見や経験を国際社会に積極的にインプットしてまいります。良質なインフラは初期投資が多少高くても、長い目で見れ ば、受益国の国民負担の軽減と高い開発効果につながります。

第三に、PPP インフラ投資を促進するための JICA と ADB の協働枠組みの創設です。この構想を実現すべく、日本は ADB への人材、知識、及び資金面でさらなる貢献を行っていきます。

第四に、JBIC 等の財務面や人材面での体制強化です。これを通じ、高効率石炭火力発電や新幹線といった世界最先端の日本の技術・ノウハウをより一層活用して、アジアにおけるインフラ投資を推進していきます。

日本は、以上の政策パッケージを通じて、アジアの持続的な成長に貢献していく所存です。

2017 年横浜総会

ADB は1966年の設立以来、アジアの貧困削減、経済発展に欠くことのできない存在であり、今後ともこの地域の最重要パートナーとして活躍することが求められております。

このような中、ADB は、2017 年にその歴史の中で重要な節目となる第50 回目の年次総会を開催することとなります。

本日の総務会において、同総会を横浜で開催することについて決定をいただいたことに感謝の意を表します。

質の高い都市環境が整備されている横浜は、アジア諸国の主要な課題の一つである都市運営のノウハウを有しており、ADB との間でも都市開発分野での協力の覚 書を締結しています。その意味で、横浜はアジアと ADB の未来について議論する場所として最も適していると確信しております。日本は、この記念すべき同総 会に向けて、しっかりと準備を進めて行く所存です。

結び

中尾総裁率いるADBが、クライアントのニーズにより効果的に応えていき、この地域の持続的かつ包摂的な成長に重要な役割を果たし続けることを期待しております。

御清聴ありがとうございました。

(以上)

出典:財務省

演説のポイント

良質なインフラ投資促進のための「4つの政策パッケージ」

1.日本の官民一体となったアジア地域向けのインフラ投資の量的拡充

政策ツールを総動員し、より一層の 迅速化 も図る。

2.良質なインフラ投資を国際的スタンダードとして促進

環境や現地コミュニティと調和し、技術移転や人材育成を促し、債務持続可能性に配慮したインフラ投資に関して、日本の知見や経験を国際社会に積極的にインプット する。良質なインフラは初期投資が多少高くても、長い目で見れば、受益国の国民負担の軽減と高い開発効果につながる

3.PPP インフラ投資を促進するための JICA と ADB の協働枠組みの創設

日本は ADB への 人材、知識、及び資金面でさらなる貢献を行う

icon-check-square PPP=官民パートナーシップ (public–private partnership)
icon-check-square JICA=独立行政法人国際協力機構 (外務省所管の独立行政法人。政府開発援助(ODA)の実施機関の一つであり、開発途上地域等の経済及び社会の発展に寄与し、国際協力の促進に資することを目的としている。)

4.JBIC 等の財務面や人材面での体制強化

高効率石炭火力発電や新幹線といった世界最先端の日本の技術・ノウハウをより一層活用して、アジアにおけるインフラ投資を推進 する。

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