【G20 2016】杭州サミット概要 安倍首相内外記者会見<全文>
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安倍首相は9月4日~5日、中国の浙江省杭州で開催されたG20サミットに出席しました。
今回はG20サミット2日目の概要と安倍首相内外記者会見、また、サミットに関連した岸田外務大臣の会見をご紹介します。
1日目の流れと日中首脳会談はこちら
G20 杭州サミット出席等
平成28年9月5日(現地時間)、G20(金融・世界経済に関する首脳会合)出席等のため中華人民共和国の杭州を訪問している安倍総理は、「より効果的・効率的な世界経済・金融ガバナンス」を議題としたG20第2セッションに出席しました。
続いて、ブラジル連邦共和国のミシェル・ミゲル・エリアス・テメル・ルリア大統領と会談を行い、その後、「強固な国際貿易・投資」を議題としたG20第3セッションに出席しました。
午後には「包摂的で連結した開発」を議題としたG20第4セッション(ワーキング・ランチ)、「世界経済に影響するその他の課題」を議題としたG20第5セッション及び閉会式に出席し、夕方には、習近平国家主席と会談を行いました。
その後、夜に、内外記者会見を行いました。
安倍首相 内外記者会見
平成28年9月5日
まず冒頭、本日、北朝鮮が、またも弾道ミサイル発射を強行しました。我が国の排他的経済水域に3発ものミサイルが同時に打ち込まれた。これは、例のないことであり、安全保障上の重大な脅威であります。地域の平和と安定を損なう、許しがたい暴挙であり、断じて容認できません。
ここ杭州で、世界のリーダーたちが、平和と繁栄について真剣な議論を行っている、まさにその瞬間に、国連安保理決議に違反するミサイル発射が行われました。国際社会への明確な挑戦であり、北朝鮮に対して、断固抗議します。
G20サミットの場において、直ちに、アメリカのオバマ大統領、そして、韓国の朴槿恵大統領と協議を行い、国連の場も含めて緊密に連携していくことで、完全に一致しました。
先ほどの日中首脳会談におきましても、この問題での連携を強く求めました。日本として、国際社会と手を携えながら、毅然として対応していく考えであります。本年5月、日本にG7の首脳たちが集いました。「新たな危機に陥ることを回避するため、全ての政策対応を行う。」そのことを、伊勢志摩の地で、G7が合意しました。
「成長のエンジン」であった新興国経済が減速する中、世界経済の持続的かつ力強い成長をG7がリードしていく。その決意を、私は議長として、首脳宣言に取りまとめました。
あれから3か月。今回のG20サミットにおいても、最大のテーマは世界経済でありました。
私からは、伊勢志摩サミットにおける議論をベースに、世界経済が大きなリスクに直面している今、国際協調を強化していくべきである。その重要性を強調いたしました。
そして、今回、新興国とも、世界経済への危機感を共有し、全ての政策対応を行っていく必要性で、一致いたしました。財政政策、金融政策に加え、中国を始めとした新興国が、過剰設備などの構造的な問題にも、しっかりと取り組んでいくことで合意できたことは、大きな成果であったと思います。
日本も、G7の議長国として、また、今回のG20における合意を踏まえ、その責任を果たしてまいります。
先般、事業規模28兆円を超える経済対策を決定し、補正予算を編成しました。今月召集する臨時国会で、その早期成立を図るとともに、来年4月に予定されていた消費税率の引き上げを延期し、内需をしっかりと下支えしてまいります。TPPの批准と関連法案の成立も目指します。
秋の臨時国会は、いわば「アベノミクス加速国会」としたい、と考えております。世界的に需要が低迷し、世界経済に弱さが見られる中にあっても、各国が、保護主義などに決して陥ることなく、世界経済の持続的かつ力強い成長のため、協力して行動していく。取りまとめにあたられた、中国の習近平国家主席のリーダーシップに敬意を表します。
中国は、日本にとって、古くからの大切な友人であります。私たちは、共に、地域の平和と繁栄、世界経済に大きな責任を持っています。そのことを十分に自覚し、大局的な観点から、共に、関係改善に努めていかなければなりません。
習近平国家主席とは、この機会を利用して、3度目となる首脳会談を行いました。
確かに隣国ゆえに様々な課題・問題はあります。意見が異なる課題もあります。しかし、困難な課題があるからこそ、話し合う。先ほどの首脳会談では、様々な分野、様々なレベルでの対話を進めていくことで合意しました。東シナ海を、平和・協力・友好の海とするため、防衛当局間による「海空連絡メカニズム」の協議を加速することでも一致しました。
「戦略的互恵関係」という大きな原則の下に、これからも対話を重ねてまいります。
「晴れて方(まさ)に好(よ)く」、「雨も亦(また)奇なり」。
「本物」は、いかなる状況でも、その輝きを失うことはありません。古来、絶景を称えられてきた西湖を、今回訪れることができました。心温まるおもてなしをいただいた杭州の皆様に、心から感謝申し上げたいと思います。
私は明日、ラオスへと向かいます。この半月ほどで、リオデジャネイロ、ナイロビ、ウラジオストク、杭州、そしてビエンチャン。地球2周分の距離を動き、積極的な外交を展開しています。スーパーマリオのように、土管でワープできれば一瞬ですが、そういうわけにもいきません。
不透明感を増す世界経済、地域紛争、テロ、難民。世界は今も、様々な課題に直面しています。そうした課題の解決に、日本は「積極的平和主義」の旗を掲げ、リーダーシップを発揮してまいります。世界の平和と繁栄に貢献していく決意であります。
南シナ海の問題を始め、ASEANも様々な課題に直面しています。いかなる時においても、また、課題が複雑であればあるほど、私たちは原則に立ち戻ることが重要です。
いかなる紛争も、力の行使や威嚇ではなく国際法に基づいて、平和的・外交的に解決しなければなりません。
法の支配を貫徹し、この地域の平和と安定、そして将来にわたる繁栄を確かなものとする。東アジアサミットでは、そうした地域の未来について、ASEANの友人たちと共に、しっかりと語り合いたいと思います。
私からは、以上です。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg14150.html
出典:首相官邸
岸田外務大臣会見
日中首脳会談
【記者】
まず,昨日行われました日中首脳会談の受け止め,ご所感をお願いします。そして中国の海洋進出に明確に総理は抗議されましたが,今後,中国は自制するとお考えでしょうか。
【岸田外務大臣】
5日,日中首脳会談が行われました。そして両首脳は戦略的互恵関係の考え方に基づいて,対話と協力を推進する,そして来年の国交正常化45周年,そして再来年の日中平和友好条約締結40周年,こうした年を見据えながら交流を拡大していく,そして相互の信頼を高め,国民感情を改善していく,こういった点について一致をいたしました。
そして東シナ海についてですが,東シナ海については安倍総理から一方的に緊張を高める行動をなくし,状況を改善するよう求めました。これに対しまして習近平(しゅう・きんぺい)主席からは,東シナ海の平和と安定を維持していく旨の発言がありました。そして両首脳は,防衛当局間の海空連絡メカニズムの協議を加速化し,東シナ海資源開発に関する「2008年合意」に基づく交渉の再開について協議をしていく,こうしたことで一致をいたしました。東シナ海の状況については,こうした両首脳間の協議,また一致した点,こういったものも念頭に状況を注視していきたい,このように考えます。
【記者】
東シナ海の共同開発についてですが,今回の事務レベル協議の日本側の目指すゴールというのはどのようなものでしょうか。そして海空連絡メカニズムも含めてですね,今後の見通しはいかがですか。
【岸田外務大臣】
今回ですね,資源開発の方については9月14日に広島で高級事務レベル海洋協議を開催し,その機会に東シナ海資源開発に関する「2008年合意」に基づく国際約束締結に関する交渉の再開,これについて協議をする,こういった点で一致をしています。9月14日の高級事務レベル海洋協議の議論を見守っていかなければならないと思いますが,「2008年の合意」,これにつきましては2010年に第1回の会合が行われた後,一度も行われていません。こうした中で交渉再開できるかどうかについて,高級事務レベル海洋協議の機会に協議をするということになったことは,一定の進展であると受け止めています。
そして東シナ海については,平和・協力・友好の海とする,あるいは東シナ海の平和と安定を維持していく,こうしたやり取りが両首脳間で行われています。是非,こうした首脳間のやり取りを念頭に状況を引き続き注視していきたい,このように思います。【記者】
海空連絡メカニズムについては,もう最終段階になっているのでしょうか。
【岸田外務大臣】
海空連絡メカニズムにつきましても,東シナ海の現状・現場の状況を考えますときに,こうした協議の場,これは大変重要なものであると考えます。昨年11月のソウルでの李克強(り・こくきょう)総理との会談でも海空連絡メカニズム早期運用開始に向けて,互いに積極的に努力をしていく,こういった点で一致をしています。今回は習近平主席との間で早期運用開始のために協議を加速する,こういったことで一致をしたということです。これは有意義なことであると思っています。
【記者】
海空連絡メカニズムについて追加でお伺いしますが,早期運用開始に向けて協議加速化で一致をしたということなんですけれども,日本側としてはその時期については,例えば年内とか,ある一定程度の目処をもって交渉に臨まれるのでしょうか。
【岸田外務大臣】
これは相手のある話です。早期に運用開始をする,できるだけ早期に運用が開始されるよう努力する,日本としては当然そういったことで努力をしていきたいと思います。
日露首脳会談
【記者】
今度は日露についてお聞きします。プーチン大統領が北方領土問題について,日ソ共同宣言に沿って交渉を進めていくことを表明されました。岸田大臣のその受け止めをお願いします。
【岸田外務大臣】
まず,プーチン大統領の発言,承知しております。2日のウラジオストクで行われました日露首脳会談においては,この北方領土問題について両首脳間で時間をかけて,そして真剣な中にも打ち解けた雰囲気で,「新しいアプローチ」に基づく交渉を具体的に進めていく道筋が見えてくるような議論が行われたと承知をしています。是非,こうした首脳間のやり取りを受けて,我が国の基本的な立場であります四島の帰属の問題,これを解決して平和条約を締結していく,こうした立場に立って,引き続き粘り強く交渉していかなければならないと考えます。
【記者】
プーチン大統領が12月に訪日するわけですけれども,外務大臣として,それに向けて取り組むことを教えてください。
【岸田外務大臣】
12月15日にプーチン大統領が訪日する,こういった点について両首脳間で一致をし,これを明らかにしたわけですが,日程はそう明らかにされたものの,協議の中身等については,これからしっかり様々なレベルにおいて準備をし,協議をしていかなければならないと考えます。是非,こうした日程もにらみながら様々なレベルで準備をしっかりと進めていきたいと考えます。
【記者】
日露について戻ってお伺いしますけれども,プーチン大統領の訪日時期について決まったわけですが,今回,ウラジオの会談では道筋が見えてくるような会談であったというお話でした。12月に向けて,12月の段階ではどのような成果を日本政府としては期待していますか。
【岸田外務大臣】
この中身については,首脳会談でもありますので,今の段階で何か予断を持って申し上げるのは控えたいと思いますが,12月の訪日が大きな成果につながるべく,これからしっかり努力をしなければならないと思っています。11月にも日露の首脳間で会うという話も出たと承知をしています。こうした首脳会議の日程も見ながら,様々なレベルでしっかりと準備をしていかなければならない課題です。私(大臣)自身も,そして外務省としましてもしっかり努力をしていきたい,このように思います。
パリ協定
【記者】
パリ協定についてなんですけども,米中で批准しましたけれども,これに関して日本としてどう受け止めているのか,日本としてこの枠組みにどういうふうに責任を負っていくのか,併せて日本側の批准のスケジュール,どう描いていらっしゃるのか・・・。
【岸田外務大臣】
パリ協定につきましては,我が国も大変重要であると重視をしております。そして先日のG7伊勢志摩サミットの首脳宣言の中にも,本年中の同協定の発効という目標に向けて取り組みつつ,早期妥結を目指しているところです。具体的な締結時期については,今,検討中ではあります。国会への提出についてもできるだけ早期に行いたいとは思っております。
出典:外務省