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岸田外務大臣と夕食会のドゥテルテ・フィリピン大統領「また呼んで欲しい」

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161025_岸田外務大臣のドゥテルテ・フィリピン大統領との夕食会

161025_岸田外務大臣のドゥテルテ・フィリピン大統領との夕食会

来日したフィリピンのドゥテルテ大統領は25日夜、東京都中央区の日本料理店で岸田文雄外相主催の夕食会に臨んだが、予定時間よりも16分遅れて到着したため、岸田大臣は小雨の中、カサをさして待ったそうだ。

しかし、報道や岸田大臣の会見によると、会食では岸田大臣と意気投合し「来月も良かったら日本に呼んでくれ。そうでなかったら、ぜひ岸田大臣をフィリピンにお招きしたい」「(食事が)素晴らしかった」などと語ったという。

夕食会は約2時間行われた。


これに先立ち、ドゥテルテ氏は東京駅近くのホテルで開かれた在日フィリピン人との集会に出席している。

ドゥテルテ大統領はこのとき、改めてアメリカ批判を行ったようだ。

産経ニュース

米国や欧州連合(EU)を指して「このばかどもは何も分かっていない」と語り、日本に到着早々、ドゥテルテ節を炸裂。

時事通信

フィリピンのメディアによると、大統領は強硬な麻薬犯罪対策への批判を続ける米国などを念頭に、「お前はばかだ。今分かったのか」などと再び暴言を吐いた。

一方、日本に対しては「わが国に最大の支援を実施してくれた」と謝意を表明。日本は居心地が良いとも語り、親日家ぶりをアピールした。

と言いつつ、米国との軍事同盟は今後も維持することを表明しているので、わたしはそれほど心配していない。

それでは、ドゥテルテ大統領来日前の岸田大臣の会見と、夕食会後の会見を記録しておこう。

岸田外務大臣のドゥテルテ・フィリピン大統領との夕食会

本25日,午後8時から約2時間,岸田文雄外務大臣は,ロドリゴ・ドゥテルテ・フィリピン共和国大統領(H.E.Mr. Rodrigo R. Duterte, President of the Republic of the Philippines)との間で夕食会を開催したところ,概要は以下のとおりです(夕食会には,日本側から小田原潔外務大臣政務官他,フィリピン側からペルフェクト・ヤサイ外務大臣(H.E. Mr. Perfecto Yasay, Jr., Secretary of Foreign Affairs)他随行の閣僚が同席)。

1 岸田大臣より,大統領としての初訪日を心から歓迎するとともに,日比国交正常化60周年の記念すべき年に,天皇皇后両陛下のフィリピン御訪問に続いて,ドゥテルテ大統領の訪日が実現したことは誠に喜ばしい旨述べました。ドゥテルテ大統領は,日本を訪問できご招待に感謝する,フィリピンは日本の支援に感謝しており,自分の世代では無理かもしれないが,次の世代ではお返しをしたい旨述べました。

2 夕食会は,日フィリピン両国の友好の歴史やダバオと日本のつながりや大統領の中国訪問を含む地域情勢など様々な話題に話が及び,両国関係の発展に向けた思い等について,忌憚なく語り合う,打ち解けた雰囲気の中での和やかな会合となりました。

出典:外務省

岸田外務大臣会見記録(25日午前・来日前)

(平成28年10月25日(火曜日)8時52分 於:官邸エントランスホール)

ドゥテルテ・フィリピン大統領の訪日

【記者】

フィリピンのドゥテルテ大統領がですね,今日から日本を訪問します。南シナ海の問題ですとか,これまでの過激な発言からですね,アメリカとの関係悪化も懸念されていますけれども,大臣としてはこれまでのドゥテルテ大統領の発言について,どのようにお考えになっていらっしゃるかということと,やはり日本役割というのが非常に大きくなってくると思います。

今夕,夕食会を主催されると思いますけれども,この意見交換の場を使ってどのような成果を得たいとお考えでしょうか。

【岸田外務大臣】

本日から27日まで,フィリピン・ドゥテルテ大統領,公式実務訪問賓客として訪日をされます。
日本とフィリピンは今年国交正常化60周年を迎えます。また戦略的な利益を共有する大切なパートナーであると考えます。

今回のドゥテルテ大統領の訪日,これはこうした両国の関係,あるいはパートナーシップ,これを深める意味で大変有意義な訪日であると考えていますし,期待をしています。

その上でドゥテルテ大統領,米国との関係を含め,様々な発言をされておられます。是非,私(大臣)も今日,夕食会を用意させていただいておりますし,明日には首脳会談も予定されています。こういった機会を通じてしっかり意思疎通を図り,ドゥテルテ大統領の考えを直接聞かせていただくことが大切であると考えています。

そしていずれにしましても,フィリピンと日本の関係は大変重要であり,そしてこの両国の関係を安定化させることは,地域や国際社会の平和や安定や繁栄にも直結する関係であると考えます。

両国関係をしっかり確認し,安定化させることを通じて地域や国際社会の平和や安定や繁栄にも貢献をしていきたいと考えています。そういった観点から,ドゥテルテ大統領のお考えもしっかり聞かせていただきたいと考えています。

出典:外務省

岸田外務大臣臨時会見記録(25日夜・夕食後)

(平成28年10月25日(火曜日)22時20分 於:都内)

冒頭発言

【岸田外務大臣】

本日夕刻日本に到着されましたドゥテルテ大統領及び随行の閣僚の方々をお招きして夕食会を開催いたしました。

8月に私がフィリピン・ダバオを訪問させていただいた際に大統領の迎賓館でミリエンダ・セナというフィリピンの伝統的な軽食でおもてなしを受けました。今晩はそのお礼を兼ねて,ドゥテルテ大統領がお好きな日本料理をくつろいだ雰囲気の中で召し上がっていただき,旅の疲れを癒やしていただくためにこのようなあつらえとさせていただきました。

本日の夕食会は社交を目的としたものであり,様々な話題に花を咲かせました。

ドゥテルテ大統領の実直なお人柄,祖国を愛する気持ち,国を発展させたいという強い意欲がよく分かり,国民的人気を得ておられることを改めて認識をいたしました。

そしてドゥテルテ大統領は日本とゆかりの深いダバオの市長を長く務められたことから,日・フィリピン友好の歴史,ダバオと日本のつながり等について,大統領個人の思いについて色々とお伺いすることが出来ました。

私からは,明日の首脳会談で表明する日本の支援策について,その背景等を説明させていただきました。先日の中国訪問の際の率直な印象についてもお話を聞かせていただきました。

また,日本についても大変強い親近感を感じさせる様々なお話を聞かせていただきました。
その中で,是非日本国民に伝えて欲しいと,フィリピン国民は心から日本に感謝している,自分の世代において十分にお返しをすることが出来るかどうか分からないが,次の世代においては必ず日本の国民の皆さんにお返しをさせていただきたい,こういった温かいお言葉もいただきました。

大統領の信念を感じさせるような様々なお話も聞かせていただき,大変波長の合った会話が続きました。個人的な信頼関係も感じさせていただき,大変盛り上がった会合であったと感じています。

最後には,大統領から,来月も良かったら日本に呼んでくれ,というお話がありました。そうでなかったら,是非,岸田大臣フィリピンにお招きしたい,そういった暖かいお言葉もいただきました。

ドゥテルテ大統領は健康に留意されているということであり,健康食品として有名なカスピ海ヨーグルト,そしてそのための器を贈呈させていただきました。

明日の首脳会談を始め,明日からの訪日日程に対応されるにあたりまして有意義な滞在となること,これを心からご期待申し上げたいと思います。
私からは以上です。

質疑応答

【記者】

本日は元々一時間半という予定だと承知していたんですけど,大幅に30分ほど盛り上がったということなんですけれども一番盛り上がった話題というのはどういったことだったんでしょうか。

また地域情勢については,政治的な南シナ海の問題ですとか,アジア太平洋地域でのアメリカのプレゼンスですとかこういった話というのも出たんでしょうか。

【岸田外務大臣】

内容,中身においてはですね,様々な話題それぞれにおいて盛り上がったと感じています。そして,地域情勢についても,先日の中国訪問の印象など様々な話が出ました。
しかし本日の会合の趣旨は社交でありますので,具体的な地域情勢等におけるやりとり,これは控えさせていただきたいと思います。

明日,日・フィリピン首脳会談が予定されています。首脳間において,是非,率直な意見交換が行われることを期待したいと思います。

【記者】

今日午後,到着されてから,フィリピン人コミュニティとの懇談というイベントがあったんですけれども,その場でもドゥテルテ大統領が反米的な発言をされたということなんですが,アメリカとの関係ですとか,そういった話は特に今日においては行われなかったんでしょうか。

【岸田外務大臣】

様々な地域情勢について話題は及びました。しかし,具体的なことについては,今日の会合の趣旨から考えまして,少なくとも私の方からは控えたいと思います。

【記者】

どの話題が一番長く時間をとったのでしょうか。

【岸田外務大臣】

それぞれの話題,大統領はそれぞれ熱弁を振るっておられました。大変思いのこもったお話で,興味深いお話をたくさん聞かせていただきました。

【記者】

また来月にでも,日本に来たいと仰っていらっしゃったということなんですけれども,特に今日の料理で,これがおいしいですとか,これが気に入ったとか,そういったお話はされたのでしょうか。

【岸田外務大臣】

それぞれ楽しんでおられました。お酒もほどほどに召し上がっておられました。

【記者】

お酒というのは地元のお酒なんでしょうか。

【岸田外務大臣】

はい。日本酒は私の地元,広島から取り寄せました。

【記者】

明日,首脳会談控えていまして,明日は懸案である中国,アメリカ等々,首脳間で意見交換されると思います。その明日に向けて,大臣の今回の夕食会,明日に向けたステップというか,その手応えというのは大臣どうお感じですか。

【岸田外務大臣】

大統領として初めてドゥテルテ大統領に訪日いただきました。首脳会談を通じて,首脳間の信頼関係,是非しっかりと,より一層深めていただきたいというふうに思いますが,それにつけても,訪日全体の印象,日本に対する好印象,これが大事だと感じます。

訪日直後,到着直後,こうした夕食会を,催させていただき,そして大統領に大変喜んでいただいたと受け止めています。

今回の訪日が,大統領にとって,良い印象,良い思い出となることにつながる夕食会であって欲しいと,心から願っております。

【記者】

大統領から中国訪問の印象のお話があったということですが,具体的にどういったお話を。

【岸田外務大臣】

詳細は控えます。

【記者】

大統領の方から,日本にお返しをしたいと,自分の世代じゃないかもしれないけれども,将来世代かもしれないけれども,これはどういったことを念頭に大統領は仰っていたのか,もう少し具体的に・・・・

【岸田外務大臣】

日本に対して信頼している,日本に対して感謝をしている,そういった話の延長で,そういった話が出てきたと記憶しています。

【記者】

何か具体的に触れられたわけではない・・・・

【岸田外務大臣】

具体的な詳細は控えます。

出典:外務省

おまけ 有本香氏による速報

日本政府高官の話がどこまで信用できるかは置いといて、ドゥテルテ大統領は世間で言われているほど暴言だけの人ではないですよね。きっと。

それに彼の発言は、言い方はともかく内容は大筋において矛盾していないと思います。

ただ、フィリピンでは多数の市民がアメリカ軍駐留に反対するデモを行いました。
反米感情も理解できるけど、アメリカ批判はほどほどにしたほうが、フィリピンにとっても日本にとっても良いと思います。

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