拉致被害「国民大集会」安倍首相挨拶<全文>と「救う会」の方向転換 | 政治備忘録

拉致被害「国民大集会」安倍首相挨拶<全文>と「救う会」の方向転換

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国民大集会で挨拶する安倍総理

北朝鮮による拉致被害者の家族会や支援組織「救う会」などは9月17日、東京都千代田区で、国民大集会を開催。

安倍総理は拉致被害者御家族との懇談を行い、「最終決戦は続いている 制裁と国際連携で全員救出実現を!国民大集会」に出席。挨拶で次項のように述べた。

また、「救う会」の西岡力会長は「拉致を理由とした ‘制裁の解除’ はカードとして利用できる」と語った。下のリンクの記事の通り、救う会は今年2月、日本独自の制裁措置を「要求が全面的に受容された」と歓迎していた。

あれから7ヶ月。これは事実上の方向転換と言ってもよいのではないと思う。

【北朝鮮制裁】日本独自措置、救う会「要求が全面的に受容された」
政府は核実験と事実上の長距離弾道ミサイル発射を強行した北朝鮮に対する日本独自の制裁措置を決定。制裁内容は家族会・救う会の要求を反映させた。

「国民大集会」安倍首相挨拶

国民大集会で挨拶する安倍総理

国民大集会の開催に当たり、一言、御挨拶申し上げます。

14年前の今日、平壌で日朝首脳会談が行われ、金正日国防委員長(当時)が公式に拉致を認めました。

首脳会談の後、両首脳が署名した『日朝平壌宣言』では、『日朝間の不幸な過去を清算し、懸案事項を解決し、実りある政治、経済、文化的関係を樹立することが、双方の基本利益に合致するとともに、地域の平和と安定に大きく寄与するものとなる』との認識が共有されています。

しかしながら、北朝鮮は、今日に至っても、なお、国際社会の呼びかけに応じず、本年に入ってからも2回の核実験を強行し、21発の弾道ミサイルを発射するという挑発行動を繰り返しています。この北朝鮮の暴挙に対し、国際社会が一致して、断固たる対応をとることが求められております。

拉致問題に至っては、無事祖国への帰還を果たせたのは、北朝鮮に囚われた被害者の内、わずか5名の方と、その御家族の方々のみに過ぎません。未だ多くの同胞が、北朝鮮に残され、救出を待ち侘び、お年を召された御家族が愛する肉親との再会を切望しています。

こうした厳然たる事実に向き合う時、私は、拉致問題の解決に当初から取り組んで来た政治家の一人として、また、日朝首脳会談に官房副長官として同席した者として、痛恨の極みであります。

我が国は、日朝平壌宣言の精神を一貫して堅持しています。北朝鮮には、拉致、核、ミサイルといった諸懸案の解決に誠実に取り組むことを改めて強く求めます。

拉致問題は安倍内閣の最重要課題です。拉致問題の解決なくして日朝関係の改善はありません。そして、全ての拉致被害者の帰国や真相究明等がなされない限り、拉致問題が解決したとは決して言えないことを、改めて強調したいと思います。『拉致問題は安倍内閣で解決する』との立場にいささかの変わりもありません。

政府は、拉致問題の解決に向け、『対話と圧力』、『行動対行動』の原則の下、米国、韓国を始め、中国、ロシア等の関係国や国連との緊密な連携を図りつつ、全力を尽くして参ります

北朝鮮の指導部には、日朝平壌宣言の精神に今一度立ち返り、これ以上徒に時間を費やすことは、歴史的責務の放棄であり、何ら利益とならないばかりか、日朝関係に拭い難い禍根を残してしまうことに思いを致し、対話を通じ、拉致問題の早期解決を実現するよう強く求めてまいります。

被害者の方々と御家族の皆様が抱き合う日が訪れるまで、私の使命は終わりません。我々は、常に、拉致被害者、そして御家族の皆様と、共にあります。

この集会に先立ち、先ほど、御家族の皆様と懇談する機会をいただきました。御家族の皆様からは、何ら進展のないまま歳を重ねていく現状への強い憤りと、一刻も早く肉親に会いたいという切実な思いを改めてお伺いをいたしました。

一刻も早く、被害者を御家族の下に取り戻すべく、引き続き全力を尽くしてまいります。

繰り返しになりますが、北朝鮮にしっかりと国際社会と共に圧力をかけていく。そして、現在の北朝鮮の政権が、今の政策を変えない限り、北朝鮮の未来を切り開いていくことはできない、そう認識させ、そののちに交渉によって解決するしか道はないわけであります。我々はしっかりと一致結束をしながら、交渉に臨むべく、まずはしっかりと国際社会と手を携えて、圧力をかけていかなければならないと、こう考えております。

明日から私も国連総会出席のためにニューヨークに参りますが、国連の場においても拉致問題の解決の必要性をしっかりと訴えていきながら、国際社会の連携を強めていきたい、こう考えている次第でございます。

大切なことは、国民の声を一つにまとめながら、北朝鮮に『拉致問題を解決せよ。』、『日本人を日本に戻せ。』との声を強くしていくことではないか、このように思う次第でございます。私もその先頭に立って戦い抜いていく決意でございます。

一日も早い拉致問題の解決に向けて、全力を尽くしていくことをお誓い申し上げまして、私の挨拶とさせていただきたいと思います。ありがとうございました。」

出典:首相官邸

北朝鮮の核実験に抗議する家族会・救う会声明

これは「全国大集会」を控えた9月9日、加藤勝信・拉致問題担当大臣に大臣室で面会し、家族会・救う会から手渡された声明だ。
(参加者:家族会から飯塚繁雄代表 救う会から西岡力会長、島田洋一副会長、平田隆太郎事務局長)

本日、北朝鮮が核実験を行った。わが国と世界の安全を脅かす暴挙であり強く抗議する。

一方、同じ北朝鮮が多くの拉致被害者を数十年にわたり不法に抑留し続けており、いつ被害者を危険な目に遭わせるかわからない状況がつづいている。

わが国政府は全ての被害者の安全確保と早急な帰国を最優先課題としている。
核実験暴挙があった現時点でも、被害者を取り戻す努力は続けられなければならない。

わが国がかけている制裁は国連安保理決議が求める水準を大きく上回る厳しい制裁だ。国連制裁は核とミサイルを理由にしているが、わが国はそれに加えて拉致問題をも理由に明記しているからだ。核実験暴挙への抗議を強めることと、拉致を理由にかけている強力な制裁をカードとして全被害者救出のための実質的協議を行うことは矛盾しない

安倍晋三首相はこの間、世界各国との首脳外交などを通じて、拉致被害者救出がいかに重大な問題であるか説明してきた。それに加え、北朝鮮の人権侵害の被害者には世界各国の無辜の民が多数存在するという認識も広がってきた。まさにそのような成果を最大限活用して、核問題で世界と連携して対北圧力を強めつつも、拉致被害者帰国のための実質的協議を進めてほしい。

彼の地で多くの被害者が助けを待っている。どのような情勢下でも被害者を見捨てることは許されない。むしろ核問題でかかる強い圧力をてことして、拉致被害者救出を先行させることも可能だ。政府の一層の努力を強く求める。

平成28年9月9日
北朝鮮による拉致被害者家族連絡会代表 飯塚繁雄
北朝鮮に拉致された日本人を救出するための全国協議会会長 西岡力

以上

出典:救う会全国協議会

冒頭でも書いたが、「全国大集会」においても、「救う会」の西岡力会長が「拉致を理由とした ‘制裁の解除’ はカードとして利用できる」と強調し、核・ミサイル問題も重要だが「拉致問題は人の命がかかっている緊急の課題なので先行して解決してほしい」「核開発に直接使われない食糧支援といったものであるなら、容認しようという雰囲気がつくれる状況になっている」と訴えたそうだ。

家族会と救う会は、これまで対北朝鮮制裁の発動を求めてきた立場だ。西岡会長は「これまでやってきたことはこれからのためだ」と語ったそうだが、事実上の方向転換と言ってよいだろう。

北朝鮮に対する見方として、最近では「核開発を手放すことはあり得ない」という説が定着してきた。救う会の方向転換は、残された時間が少ないことから判断された、苦渋の選択なのだろう。

また、横田滋さん(83)は体調不良で集会を欠席。早紀江さんは「老いを感じ、どこで倒れるか心配だが、最後まで頑張る」と語った。

こうして書いていて、本当に涙が出ます。

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