オバマ氏が最後の一般教書演説「世界の警察をやめながら、世界を導く」 | 政治備忘録

オバマ氏が最後の一般教書演説「世界の警察をやめながら、世界を導く」

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アメリカのオバマ大統領は12日夜(日本時間13日午前11時すぎ)、アメリカ議会の本会議場で上下両院の議員などを前に一般教書演説を行った。

一般教書演説は、大統領が今後1年間のアメリカの内政・外交の施政方針を示すもので、オバマ大統領は任期最後の一般教書演説となる。

そのなかでオバマ大統領は、深刻な不況を克服したことなど過去7年間の成果を強調するとともに、イスラム教スンニ派過激組織ISなどによるテロへの対策に全力を尽くす決意を表明。

オバマ大統領は乱射事件を踏まえ、銃の購入者に対する身元調査を拡大するなどの新たな銃規制強化策を、残り1年間の任期における重要課題と位置付けている。

銃犯罪の阻止を訴えるとともに、演説で大統領が訴える政策に関係する人物を来賓として招くための傍聴席の1つを凶弾に倒れた犠牲者のための空席とし、哀悼の意を表した。

オバマ米大統領、最後の一般教書演説

銃規制強化

オバマ大統領は「この7年間の進展を可能にしたのはわれわれの勇気だ。われわれがともに行った選択の結果だ」と述べ、事実上の国民皆保険を目指した医療保険制度改革の実現など、大統領就任以降の成果を強調。

そして、「まだやらなければならない仕事を前進させるため、私は働きかけを続ける」と述べて、銃による犯罪から子どもたちを守ることを挙げ、銃規制の強化に取り組んでいく考えを強調した。

大統領選、トランプ氏を強く批判

また、ことし11月に行われる大統領選挙に向け、就任前から訴えてきた「チェンジ(変革)」に触れ、「政治過程の変革は、誰が選ばれるかではなくどのように選ばれるかだ。米国人が求めるときにだけ変革は実現する」と述べた。

そして、「われわれは人種や宗教で人々を標的にする政治を拒絶しなければならない。それは間違っている」と述べ、野党・共和党で支持率がトップのトランプ氏がメキシコからの移民やイスラム教徒に対する過激な発言を繰り返していることを念頭に強く批判した。

党派対立の解消を

そのうえで、「われわれが望む未来は手の届くところにある。われわれがともに取り組み、建設的な議論を行い、政治を立て直せば実現する」と述べ、党派対立を乗り越え、結束して前進するよう呼びかけた。

アメリカは地上で最も強力な国家、史上最強軍

オバマ大統領は「われわれの敵が強さを増し、アメリカが弱くなっているという論調が聞かれる。しかしアメリカは地上で最も強力な国家であり、われわれの軍は歴史上、最強だ。

あらゆる重要な問題について、人々が頼って来るのは中国やロシアではない。われわれだ」と述べ、国際社会でアメリカの影響力が低下しているという指摘は当たらないと反論。

世界の警察をやめながら、世界を導く

そして、オバマ大統領は「世界の警察官であることをやめながら、いかにしてアメリカの安全を維持し、世界を導いていけるかということだ」と述べ、同盟国や友好国などと役割や負担を分担しながら指導力を発揮するべきだという考えを改めて強調した。

テロとの戦い

さらに、「第1の優先課題は、アメリカの国民を守り、テロリストのネットワークを追い詰めることだ。アルカイダと過激派組織ISは、われわれの直接の脅威だ。アルカイダのオサマ・ビンラディン容疑者の殺害に成功したように、正義は成し遂げられる」と述べ、先月、カリフォルニア州で乱射テロ事件が発生し、国民の間にテロへの不安が広がるなか、対策に全力を尽くし、ISの壊滅を目指す考えを強調。

また、アメリカがテロ組織と関係がある疑いで大勢の外国人を収容してきた、キューバにあるグアンタナモ収容所について、「閉鎖に向けた作業を続ける。施設の維持には多額の予算がかかり、不必要であり、施設の存在はわれわれの敵を駆り立てるだけだ」と述べ、収容所の閉鎖を目指す決意を改めて示した。

TPP、早期承認を

オバマ大統領は、去年10月に大筋合意に達したTPP=環太平洋パートナーシップ協定について、協定の発効に向け承認の手続きを急ぐよう議会に審議を促した

TPPによって1万8000に上る品目の関税が削減され、アメリカからの輸出が増えることになる、と指摘。さらに、「TPPによってアジアのルール作りは中国ではなく、アメリカが担うことになる」と述べ、アジアでの主導権を握るうえでもTPPは極めて重要だと強調した。

一方、リーマンショックでアメリカ経済が深刻な不況に陥っていた2009年からこれまでの7年間の大統領としての経済運営について、「1400万人以上の新たな雇用を産み出し、自動車産業は過去最高の業績となった。今のアメリカはかつてないほど好調で、世界で最も強じんな経済になった」と述べた。

その一方、富や所得が一部の層に集中し、格差が拡大していることなどを課題に挙げ、最低賃金の引き上げや、所得の低い世帯に対する減税措置、2年制のコミュニティー・カレッジといわれる学校の授業の無償化の実現などに意欲を示すとともに、効率を高めるインフラ投資の推進なども打ち出した。

世界の課題、同盟国などに責任分担を

外交政策について「地球規模の懸念については、世界の国々にも共に取り組むよう促し、応分の負担をさせる」と述べ、アメリカ1国で世界の課題に対処するのではなく、同盟国や友好国にも責任の分担を求める考えを改めて強調。

功績のアピール

そして、「イランを核保有国にさせないため、制裁と規律ある外交を組み合わせた結果、イランは核開発を後退させ、世界は新たな戦争を免れた」と述べ、イランの核開発問題でみずからの手腕が最終合意に導いたとアピール。

また、「50年にわたる孤立化政策はキューバの民主化に失敗し、アメリカの中南米での影響力を後退させた。だからこそ、われわれは、外交関係を回復し、旅行や商取引の扉を開き、キューバ国民の生活向上にかじを切った」と述べ、キューバとの国交回復を歴史的な成果だと強調した。

さらに「200近い国を導いて、歴史上最も野心的な地球温暖化対策の合意をまとめた」と述べ、フランスで開かれた地球温暖化対策の国連の会議、COP21で議論を主導したことを自身の外交の重要な成果の1つと位置づけた。

アジア政策については、TPP(環太平洋パートナーシップ協定)の合意をアピールしたが、核実験を強行した北朝鮮や、南シナ海で人工島を造成する中国との対立、それに日米関係などについては、直接の言及はなかった。

参考文献:NHK・産経新聞

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