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第4回アメリカ核セキュリティ・サミット(まとめ)

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2016.04.04追記 全体の概要と評価

160401 米国核セキュリティ・サミット3日目 首脳写真撮影1

160401 米国核セキュリティ・サミット3日目 首脳写真撮影2

50以上の国や国際機関の代表が参加して米ワシントンで開かれていた第4回「核安全保障サミット」が閉幕した。同サミットは「核なき世界」を提唱するオバマ大統領が提唱して2010年から隔年開催されてきたが、今回が最後となる。

オバマ氏は閉幕後の記者会見で、1日に京都大原子炉からの高濃縮ウラン撤去を発表した日本など50カ国で核物質の安全管理が進んでいることを強調
「これらの核物質がテロリストの手に落ちることはない」として、6年にわたる同サミットの成果をアピールした。また国際社会は今後も国連や国際原子力機関(IAEA)などを通じて核テロ防止に向けた取り組みを加速させるとした。

閉幕にあわせて公表されたコミュニケでは、「核テロは国際社会の安全保障に対する最大の挑戦のひとつだ」とし、核物質の安全管理は「永続的な優先課題」であることを確認。また各国が情報共有などの国際協力を進めることでも一致した。さらに国連やIAEAを支援するための行動計画もまとめ、実行に向けた努力を続けることを強調した。

今回のサミットに合わせ、アルゼンチンやスイス、ウズベキスタンが新たに高濃縮ウランを国内から完全に撤去。また核物質の貯蔵や輸送時の防護の義務付けを目的として2005年に採択された改正核物質防護条約も近く発効する見通しとなっている。

出典:産経ニュース 2016.4.2

全体の概要と評価

3月31日~4月1日,米国(ワシントン)において核セキュリティ・サミットが開催され,我が国から安倍総理が出席したところ,概要と評価は以下のとおり。

1 ワーキング・ディナー(31日夜)

(1)「核セキュリティ脅威の認識」をテーマに意見交換が行われ,昨今の頻繁なテロ事件に代表される国際テロ情勢を踏まえ,改めて核テロの脅威が現実のものとならないよう,各国が連携して核セキュリティの強化に努めるべきであることが確認された。

(2)安倍総理からはブリュッセルを始めとする昨今のテロ事件に言及し,全世界の国々が一致団結し,断固としてテロと戦っていくべきであること,また,北朝鮮に関し核実験と弾道ミサイル発射を強行し,挑発的な言動を繰り返すことは看過できず,日本は国際社会と協調し,先般採択された安保理決議と我が国独自の措置を,厳格に履行していく旨述べた。また,サイバー攻撃等の新たな脅威に対する国内の取組を紹介した。

2 オープニング・セッション(1日午前)

「核セキュリティ向上のための国家の取組」をテーマに,各国の取組につき活発な議論が行われた。安倍総理は基調発言者として概要以下のとおり発言。

  • 日本における核セキュリティは、福島原発事故と密接不可分。震災から5周年を迎え、全世界からの支援に改めて感謝。
  • 福島事故の経験を踏まえ、世界で最も厳しいレベルの新規制基準を作成。事故の教訓を世界と共有し、原発の安全性、事故対策の知見を世界に広げていくことが日本の使命。人材育成、各国への支援、安全基準に関する国際協力等を積極的に行っていく。
  • 原子力の平和的利用を将来に亘って継続していくためには完全な透明性の確保が必要。日本は一貫して民生用原子力の透明性の向上について世界をリード。
  • 核物質の最小化・適正管理に関し、日本は「利用目的のないプルトニウムは持たない」との原則を実践。
  • 前回サミットで約束した高速炉臨界実験装置(FCA)の核燃料の全量撤去を、日米で緊密に連携し完了。さらに、京都大学臨界集合体実験装置(KUCA)を低濃縮化し、高濃縮ウラン燃料の全量撤去を行うことを決定。世界の核セキュリティ強化への大きな貢献となるこれらの取組を,日米共同声明の形にまとめ、国際社会に対するメッセージとして発出

3 ワーキング・ランチ(1日昼)

「核セキュリティ強化のための国際的及び組織的な取組」をテーマに,各国からは,核セキュリティ・サミット終了後のIAEAの国際調整における中心的役割に対する高い期待が述べられた。
安倍総理からは,原子力安全や透明性の向上に取り組むIAEAの重要性は一層高まっており,日本はIAEAの核セキュリティ強化に向けた活動が天野事務局長の指導の下で一層発展するよう協力する点を強調した。また,日本のこれまでの核セキュリティ分野での人材育成やG7伊勢志摩サミットや東京オリンピック・パラリンピック等の国際行事を見据えた核テロ防止策の強化について言及した。

4 クロージング・セッション(1日午後)

放射性物質の盗難への対応に関して,具体的なシナリオに基づいた議論が行われたとともに,ISIL等のテロリストの現実の脅威にいかに対応していくかに関し,活発な協議が行われた。
クロージング・セッションでは,首脳コミュニケ,及び今次サミット終了後も引き続き核セキュリティ強化に取り組むための,国連,IAEA等の国際機関・枠組みにおける5つの行動計画が採択された。

5 評価

(1)核セキュリティ・サミット全体の評価

今回が最後となる核セキュリティ・サミットでは,53ヶ国及び3国際機関から約40名の首脳レベルが参加し,ベルギー等におけるテロ事件を踏まえ,ISILを始めとする国際テロ組織による核テロの脅威は,国際社会全体として取り組むべき喫緊の課題であるとの認識を共有し,サミット後,各国が連携して具体的措置を取る必要性を再確認した。

これまで4回の核セキュリティ・サミットを通じて,核テロへの認識向上に加え,核物質防護条約改正については,発効要件である現締約国の3分の2である102か国の締結が得られ,発効する見通しとなったほか,各国における核物質の最小化や防護強化を含め,核セキュリティ強化に向けた世界の取組が促進された。

(2)我が国の貢献・イニシアティブ

核物質の最小化と適正管理に関し,FCAの核燃料の全量撤去を完了し,さらにKUCAの低濃縮化を通じた高濃縮ウラン燃料の撤去を決定したことは,議長国の米国を含む各国から評価された。
G7伊勢志摩サミットや東京オリンピック・パラリンピック等を見据えた核テロ対策の推進を始めとする国内取組は,我が国の世界の核セキュリティ強化に対する具体的貢献を示すことができた。

また,日本が原発事故から得られた教訓を踏まえ,世界の原子力安全に積極的に貢献する意思を示すとともに,原子力の平和的利用の継続のため透明性の確保の必要性を強調した。

さらに,核セキュリティ上の秘匿性の高い情報の共有を可能にするための日米間の国際約束締結に向けた交渉開始を含む日米共同声明を発出したことは,日米核セキュリティ分野における日米間の協力関係を確認するとともに,世界の核セキュリティ強化に対する,日米のリーダーシップを示した。

以下、時系列でご紹介します。

菅義偉内閣官房長官 記者会見

160106 平成28年1月6日 水 午後2 内閣官房長官記者会見 政府インターネットテレビ

出典:首相官邸 平成28年3月29日 午前

安倍総理は、3月30日から4月2日まで、核セキュリティ・サミット出席のため米国を訪問する予定であります。

本件サミットは、世界の安全保障に対する脅威である核テロ対策のため、2010年にオバマ大統領のイニシアティブで開催され、今回が4回目となります。

今後の核セキュリティに関する取組の指針を決定する重要な機会であり、我が国としても核テロ対策に関する国内の取組強化及び国際貢献について積極的に発信する考えであります。

なお、この機会を利用して、日米韓首脳会談を開催をし、北朝鮮の核問題など一層厳しさを増す東アジアの安全保障環境について認識を共有し、国際社会による協力を確認をしたいと思います。また、日韓首脳会談を開催する予定であるとともに、日米首脳会談も実施する方向で今調整を行っているところであります。

1日目(平成28年3月30日・現地時間)

160331 米国核セキュリティ・サミット1日目 アメリカ合衆国に到着した安倍総理

平成28年3月30日(現地時間)、安倍総理は、第4回核セキュリティ・サミット出席等のためアメリカ合衆国のワシントンD.C.を訪問しました。

総理は、有識者との懇談を兼ねた夕食会を開催しました。夕食会には、世界銀行のジム・ヨン・キム総裁、ロバート・ルービン元財務長官、連邦準備制度理事会(FRB)のアラン・グリーンスパン元議長、ハーバード大学のマーティン・フェルドシュタイン教授及びピーターソン国際経済研究所のアダム・ポーゼン所長が出席しました。

総理は、冒頭の挨拶で次のように述べました。

「本日は、米国そしてひいては世界の経済金融政策の舵取りを担ってきた皆様にお集まりをいただき、大変感謝申し上げたいと思います。
私は、5月に開催される伊勢志摩サミットにおいて議長を務めるわけでありますが、世界経済の持続的な、そして力強い成長に向けて、世界がどのように協調していくことができるかということも含めて、明確なメッセージを出したいと思っております。
米国経済、そして世界経済の分析について、皆様から今日は率直な御意見を、そしてまた分析を承りたい。そしてまた、それをサミットに生かしていきたいと思っておりますので、よろしくお願いいたします。」

安倍総理大臣の世界経済,米国経済に関する有識者との夕食会

160331 米国核セキュリティ・サミット1日目 挨拶す安倍総理

1 安倍内閣総理大臣は,米国時間3月30日19時過ぎより約2時間,駐米日本大使公邸において,世界経済,米国経済に関する有識者との夕食会をとり行いました。

2 夕食会には,ジム・ヨム・キム世界銀行総裁,ロバート・ルービン元財務長官,アラン・グリーンスパン元連邦準備制度理事会(FRB)議長,マーティン・フェルドシュタイン・ハーバード大学教授,アダム・ポーゼン・ピーターソン国際経済研究所所長が出席しました。

3 夕食会では,有識者らから,世界経済,米国経済に関する見方が示されると共に,安倍総理からは,我が国は5月に開催される伊勢志摩サミットで議長国を務めるサミットでは世界経済の持続的な力強い成長に向けて明確なメッセージを発出したい旨述べました。
また,新興国経済の状況や原油市場の動向を含め,今後の世界経済の見通し及びG7等の先進国の役割について活発な議論が行われました。

2日目(平成28年3月31日・現地時間)

平成28年3月31日(現地時間)、第4回核セキュリティ・サミット出席のためアメリカ合衆国のワシントンD.C.を訪問している安倍総理は、アメリカ合衆国のバラック・オバマ大統領及び大韓民国の朴槿恵大統領との3首脳による会談を行いました。

続いて、アメリカ合衆国のバラック・オバマ大統領、大韓民国の朴槿恵大統領及びカナダのジャスティン・トルドー首相とそれぞれ会談を行いました。

その後、オバマ大統領主催ワーキングディナー「核セキュリティ脅威の認識」に出席しました。

日米韓首脳会談

160331 米国核セキュリティ・サミット2日目 日米韓首脳会談1

160331 米国核セキュリティ・サミット2日目 日米韓首脳会談2

3月31日10時50分(現地時間)から約1時間,核セキュリティ・サミットに出席するため米国ワシントンD.C. を訪問中の安倍総理は,コンベンションセンターにおいて,オバマ米国大統領及び朴槿恵(パク・クネ)韓国大統領と日米韓首脳会談を行ったところ,その概要以下の通り。(日本側は萩生田官房副長官他米国側はバイデン副大統領他韓国側は尹炳世(ユン・ビョンセ)外交部長官他が同席。)

1 総論

日米韓三か国を取り巻く安全保障環境が一層厳しさを増す中で,地域の平和と安定に責任を有する日米韓三か国の首脳が一堂に会し,法の支配やルールに基づく行動の重要性を確認するとともに,北朝鮮問題を中心とする様々な地域及びグローバルな問題について有意義な意見交換が行われた。

2 北朝鮮

三首脳は,北朝鮮の核・ミサイル能力の進展は,地域のみならず国際社会全体の安全に対する直接的かつ重大な脅威であるとの認識を共有した。三首脳は,こうした状況に対処するためには,安全保障分野における日米韓協力を一層進めていく必要があり,引き続きあらゆる分野で日米韓の緊密な協力を強化していくことを確認した。三か国の外務・防衛当局間で,具体的な安保・防衛協力を前進させるべく事務方に指示することで一致した。

また,三首脳は,強い内容の安保理決議第2270号の採択によって,各国独自の措置とあいまって,国際社会の断固たる姿勢を示すことができたことを評価し,北朝鮮関連の安保理決議の着実な履行の重要性を再確認した。
さらに,安倍総理から,拉致問題をめぐる日本の立場を説明し,オバマ大統領と朴大統領から改めて,日本の取組に対する理解と支持を得た

3 グローバルな問題

テロ対策や中東情勢,気候変動,バイデン副大統領のガン撲滅イニシアティブ等のグローバルな問題についても意見交換を行った。三首脳は,幅広い分野で日米韓三か国の連携・協力を一層深めていくことが重要であるとの認識で一致し,地域における戦略的利益を共有する日米韓三か国で引き続き緊密に連携・協力していくことを確認した。

日米首脳会談

160331 米国核セキュリティ・サミット2日目 日米首脳会談2

160331 米国核セキュリティ・サミット2日目 日米首脳会談1

3月31日午後12時07分(日本時間では4月1日午前1時07分)から約30分間,ワシントンD.C. 出張中の安倍総理は,オバマ大統領との間で日米首脳会談を行ったところ,概要以下のとおりです。

1 G7伊勢志摩サミット

オバマ大統領から,安倍総理が議長として準備を進めていることに感謝している,米国としても日本が設定する議題を支持しており,G7の場でリーダーシップを発揮してもらいたいとの発言がありました。これに対し,安倍総理からG7伊勢志摩サミットの議長国として,世界経済とテロが最大のテーマとなるとしつつ,特に世界経済の持続的な成長に寄与すべく明確なメッセージを出したい旨発言しました。両者は,G7伊勢志摩サミットへ向けて経済成長の可能性を探ることが重要との認識で一致しました。

2 日米安保

安倍総理から辺野古埋立て承認に関する訴訟について,辺野古が唯一の解決策とする立場は不変であり,「急がば回れ」の考えの下,和解を決断したものである旨説明した上で,辺野古移設を一日も早く完了することにより,普天間返還を実現したい旨述べるとともに,沖縄の負担軽減について,引き続き共に取り組んでいきたい旨述べました。

これに対し,オバマ大統領からは,普天間飛行場の辺野古移設に関する訴訟の和解について,安倍総理の戦略的な判断として理解している,引き続き緊密に協力して取り組んでいきたい旨述べました。

3 TPP

オバマ大統領からTPPは最優先の議会案件として取り組んでいる旨の発言があり,両者は,TPP協定の早期発効を実現すべく,共に努力を続けていくことで一致しました。

4 日韓関係

安倍総理から,昨年末の日韓合意に関する一貫した支持を米国政府が公にしていることに感謝する旨述べました。これに対しオバマ大統領から日韓合意について,改めて支持が表明されました。

日加首脳会談

160331 米国核セキュリティ・サミット2日目 トルドー・カナダ首相と握手する安倍総理

160331 米国核セキュリティ・サミット2日目 日・カナダ首脳会談

3月31日午後1時15分(日本時間では4月1日午前2時15分)から約70分間,核セキュリティ・サミット出席のため米国を訪問中の安倍晋三内閣総理大臣は,ワシントンD.C.でトルドー・カナダ首相(The Right Honourable Justin Trudeau, Prime Minister of Canada)と日加首脳会談(ワーキング・ランチ)を行ったところ,その概要は以下のとおりです。

1 冒頭発言

(1)安倍総理から,昨年11月以来の再会を歓迎しつつ,本年5月の伊勢志摩サミットにトルドー首相御夫妻をお迎えすることを楽しみにしている旨述べた上で,ブリュッセルの爆弾テロ事件を非難するとともに,日本はG7議長国としてカナダを含む国際社会と連携し,テロ対策に積極的に取り組む旨,また,現下の最大の課題は世界経済であり,G7が世界経済の持続的かつ力強い成長を牽引しなければならない,G7には強いコミットメントと政策協調が求められており,伊勢志摩サミットでは明確なメッセージを世界に向けて発信したい,カナダともよく連携していきたい旨述べました。

(2) これに対し,トルドー首相からテロ対策において主要国は連携して取り組む必要がある,5月の伊勢志摩サミットに夫妻で日本を訪問することを楽しみにしており,サミットでは安全保障やテロ対策を含む様々な課題について議論したい,世界経済の成長のためには投資の促進が重要であり,日加で協力していきたい,貿易・投資,科学技術,研究開発を含め,価値を共有する国として,日加のパートナーシップを更に強化していきたい旨述べました。

2 二国間協力関係

(1)安倍総理から日加協力を進展させる高い潜在性を有する安全保障分野での協力を進めていきたい旨述べたのに対し,トルドー首相から過激化対策や市民の保護を含め,安全保障分野で明確な行動をとるために日加間の協力を進めていきたい旨の発言がありました。

(2)安倍総理からカナダからのLNG輸出の早期実現やビジネス環境改善に向けた協力を引き続き期待する旨述べたのに対し,トルドー首相は前向きな結果が得られるよう努力したい旨述べました。また,両首脳はTPPについて国内での議論を進めていくことで一致しました。

(3)さらに,両首脳は科学技術分野での協力や若者の交流の重要性について一致しました。

3 G7伊勢志摩サミット

安倍総理からG7伊勢志摩サミットでは世界経済とテロが最大のテーマとなる旨述べ,両首脳は,世界経済の持続的な成長に寄与すべくG7伊勢志摩サミットで明確なメッセージを出すことで一致しました。

4 東アジア情勢等

両首脳は北朝鮮を含む東アジア情勢等についても意見交換を行い,伊勢志摩サミットにおいて,アジアを含む地域情勢についてもしっかりと議論することで一致しました。

5 国際場裡における協力

両首脳は気候変動問題や軍縮・不拡散についてもやり取りし,これらの分野で引き続き協力していくことで一致しました。

オバマ米国大統領主催ワーキングディナー

160331 米国核セキュリティ・サミット2日目 オバマ大統領主催ワーキングディナー

1 3月31日(現地時間),米国ワシントンを訪問中の安倍総理は,オバマ米国大統領主催のワーキングディナーに出席しました。本ディナーでは,「核セキュリティ脅威の認識」をテーマに,首脳間で率直な意見交換が行われました。

2 各国からは,核テロが依然として世界の安全保障に対する脅威であることを強調すると共に,昨今の頻繁なテロ事件に代表される国際テロ情勢にも言及しつつ,改めて核テロの脅威が現実のものとならないよう,国際社会が連携して核セキュリティ強化に努めるべき等の発言が行われました。

3 安倍総理からは,ブリュッセルを始めとする昨今のテロ事件に言及し,全世界の国々が一致団結し,断固としてテロと戦っていくべきである旨述べた上で,北朝鮮に関し,核実験弾道ミサイル発射を強行し,さらに挑発的な言動を繰り返すことは看過できない,日本は国際社会と協調し,先般採択された安保理決議と我が国独自の措置を,厳格に履行していく旨述べました。また,サイバー攻撃といった新しい脅威に対し,国内の取組として情報セキュリティ強化や,無人航空機の原子力施設の上空の飛行を禁止する法律の制定等を率先して進めていること,核セキュリティに万全を期すため,各国や国際機関と一層連携していくことが不可欠である旨を述べました。

3日目(平成28年4月1日・現地時間)

平成28年4月1日(現地時間)、第4回核セキュリティ・サミット出席のためアメリカ合衆国のワシントンD.C.を訪問している安倍総理は、オープニング・セッション「核セキュリティ向上のための国家の取組」に出席しました。その後、ヨルダン・ハシェミット王国のアブドッラー2世・イブン・アル・フセイン国王陛下と会談を行い、写真撮影に臨みました。

午後には、アルゼンチン共和国のマウリシオ・マクリ大統領、カザフスタン共和国のヌルスルタン・ナザルバエフ大統領及びインドのナレンドラ・モディ首相とそれぞれ会談を行いました。

160401 米国核セキュリティ・サミット3日目 米国核セキュリティ・サミット・オープニングセッション2

160401 米国核セキュリティ・サミット3日目 米国核セキュリティ・サミット・オープニングセッション1

オバマ大統領演説

オバマ氏が日本の撤去を称賛「歴史上、最大規模の取り組みだ」

出典:共同通信 2016.4.2

オバマ米大統領は1日、ワシントンで開かれた核安全保障サミットの全体会合冒頭で演説し、日本について「500キロを超える高濃縮ウランやプルトニウムの撤去計画を進めており、歴史上、最大規模の取り組みだ」と称賛した。

オバマ氏は核物質がテロ組織の手に渡らないよう国際社会が政治的な機運を維持していくことが重要だと強調。核テロ阻止のためにもイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)壊滅に向けて「あらゆることをやる」と述べた。

日・ヨルダン首脳会談

160401 米国核セキュリティ・サミット3日目 日・ヨルダン首脳会談2

1日午後0時6分(現地時間)から約30分間、核セキュリティ・サミット出席のため訪米中の安倍晋三内閣総理大臣は、アブドッラー2世・ヨルダン・ハシェミット王国国王と会談を行ったところ、概要は以下のとおりです。

1 二国間関係

(1)全般
冒頭、アブドッラー国王から、再会を歓迎するとともに、日本からの素晴らしい支援への感謝や両国間の様々な生産的な協議について言及がありました。これに対し、安倍総理大臣から、シリア危機、難民、ISILなど困難な状況の中で中東地域の安定を支えるヨルダンの努力を常に支持している旨伝達しました。その上で、両首脳は、両国間で幅広い分野において一層協力を進めていくことで一致しました。

(2)経済協力
安倍総理大臣から、地域安定の要であるヨルダンを支えるため、本年2月には、難民支援のためのヨルダン向け約6500万ドルを含む約3.5億ドルの支援、3月には廃棄物処理及び水分野で日本製品を供与すべく約1700万ドルの無償資金協力を決定した旨伝達しました。
これに対し、アブドッラー国王からは、言及のあった水分野の支援を含め日本からの変わらぬ支援に繰り返し謝意が表されました。

2 地域情勢

両首脳は、シリアや中東和平を含む現下の中東・北アフリカ情勢について意見交換を行い、引き続き緊密に連携していくことで一致しました。

日・アルゼンチン首脳会談

160401 米国核セキュリティ・サミット3日目 日・アルゼンチン首脳会談

4月1日(金曜日)午後15時18分から午後15時42分(現地時間)まで,核セキュリティ・サミット出席のためワシントン滞在中の安倍総理大臣は,マクリ(H.E. Mr. Mauricio Macri)アルゼンチン大統領と会談したところ,概要は以下のとおりです。

1 冒頭

(1)安倍総理大臣から,マクリ大統領就任及び新政権発足に対する祝意を表明するとともに,同大統領が就任直後から導入している開放自由経済政策,アルゼンチンの国際経済,国際舞台への復帰に日本の支持と期待を表明しました。

(2)マクリ大統領から,両国は長い歴史を有し価値を共有する重要な関係であり,これを機に両国の関係を強化していきたい旨述べました。

2 二国間政治関係

(1)両首脳は,今後両国間でハイレベルの対話や往来を促進していくことに合意しました。

(2)両首脳は,地域や国際問題について協力を緊密化することを目的に,両国の高級事務レベルによる政策協議を再開することに合意しました。

3 二国間経済関係

(1)両首脳は,アルゼンチン経済のポテンシャルへの日本企業の期待が高い中で,両国経済界の対話の場である日亜経済合同委員会の重要性を確認しました。また,両国政府主導で,経済界の参加も得て協議の枠組みを立ち上げ,投資・貿易の発展やビジネス環境の改善の取組を進めることに合意しました。

(2)安倍総理から,マクリ大統領のリーダーシップでメルコスールが域外に開かれた機構となることを期待し,日・メルコスールの対話を活性化していきたい旨述べました。

4 国際場裡における協力

両首脳は,テロや北朝鮮情勢等について意見交換するとともに,地域の平和と安定に向けた協力を確認しました。安倍総理より,日本の国際協調主義に基づく「積極的平和主義」と「平和安全法制」の取組を説明し,マクリ大統領より,国際平和に関する全ての分野において日本と協力したい旨述べました。

日印首脳会談

160401 米国核セキュリティ・サミット3日目 日・インド首脳会談

1 安倍総理は,4月1日16時40分から17時00分までの間,核セキュリティ・サミット出席のため訪問中のワシントンにて,ナレンドラ・モディ・インド首相との間で会談(両首脳間で6回目)を行いました。

2 冒頭,安倍総理から,「コルカタでの高架道路落下事故の犠牲者にお悔やみを申し上げる。昨年12月の訪印時のもてなしに感謝する。モディ首相のリーダーシップの下,発展を続けるインド経済は,世界の成長のけん引役である。世界経済の不透明感が増す中で,持続的かつ力強い成長を実現するため,主要国の政策協調が求められており,インドとも良く連携していきたい。」と述べました。
これに対し,モディ首相から,総理のお言葉に感謝する旨,昨年12月の訪印,ヴァラナシ訪問の成功を誇りに思う旨述べました。

3 その後,両首相は,「日印新時代の幕開け」となった昨年12月の安倍総理インド訪問の結果を着実にフォローアップし,年内にも予定されるモディ首相の訪日の成果につなげるため,二国間関係強化について意見交換したほか,地域情勢や国際的課題について更なる連携強化を目指して,率直な意見交換を行いました。

4 特に,テロとの戦いについては,安倍総理より,「ブリュッセルやラホールでの爆弾テロに強い衝撃と憤りを覚える。卑劣なテロを断固非難する。日本はG7議長国として,テロ・暴力的過激主義対策強化に積極的に取り組む。」と述べました。モディ首相からG7のテロへの取組みに期待が示されるとともに,具体的なテロ事案にしっかりと対処することの重要性が示されました。

5 東シナ海や南シナ海情勢については,安倍総理から「東シナ海や南シナ海において,現状を変更し,緊張を高める一方的行動を深刻に懸念する」と述べました。モディ首相から,相互依存の深まる国際社会において,国際法に従った対応が必要であり,日本の考えを支持する旨述べました。

6 軍縮・不拡散については,安倍総理から,「「核兵器のない世界」の実現に向け,インドと共に取り組みたい。原子力協力を進めていく上で,インドによる軍縮・不拡散分野の取り組みは重要。日本はNPT普遍化,CTBT早期発効,FMCT早期交渉開始を重視。対話を続けて行きたい」と述べました。

7 最後に,日印両国が協力してアジアや世界の平和と繁栄を牽引していく必要があることで一致し,安倍総理より,本年のモディ首相訪日を楽しみにしている旨述べました。

第4回米国核セキュリティ・サミット(2日目午後の結果)

1 4月1日(現地時間),核セキュリティ・サミットの午後のセッション及び閉会セッションが行われました。

2 午後のセッションでは,放射性物質の盗難への対応に関して,具体的なシナリオに基づいた議論が行われたとともに,ISIL等のテロリストの現実の脅威にいかに対応していくかに関して活発な協議が行われました。

3 その後,引き続いて行われたクロージング・セッションでは,これまでの核セキュリティ・サミットの成果と今後の核セキュリティ強化への決意を示す首脳コミュニケと, 国連,IAEA等の国際機関・枠組みにおける5つのアクション・プランが全会一致で採択され,閉会しました。

出典:首相官邸外務省

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