【APEC 2015】フィリピンAPEC 首脳会議概要 | 政治備忘録

【APEC 2015】フィリピンAPEC 首脳会議概要

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151119 APEC 首脳集合写真
11月18日~19日、フィリピン・マニラにおいてAPEC首脳会議が開催されました。

APEC(アジア太平洋経済協力)とは

APEC(Asia-Pacific Economic Cooperation アジア太平洋経済協力)はアジア太平洋地域の21の国と地域が参加する経済協力の枠組みであり(APECメンバーの国・地域は「エコノミー」と呼ばれています),経済規模で世界全体のGDPの6割世界全体の貿易量の約5割世界人口の約4割を占める「世界の貿易センター」として,アジア太平洋地域の持続可能な成長と繁栄に向けて,貿易・投資の自由化,ビジネスの円滑化,人間の安全保障,経済・技術協力等の活動を行っています。

参加国・地域
オーストラリア,ブルネイ,カナダ,チリ,中国,中国香港,インドネシア,日本,韓国,マレーシア,メキシコ,ニュージーランド,パプアニューギニア,ペルー,フィリピン,ロシア,シンガポール,チャイニーズ・タイペイ,タイ,アメリカ,ベトナム

1989年(発足時) オーストラリア、ブルネイ、カナダ、インドネシア、日本、アメリカ合衆国、マレーシア、ニュージーランド、フィリピン、シンガポール、タイ、大韓民国(韓国)
1991年 チャイニーズ・タイペイ(中華民国‧台湾)、中華人民共和国(中国)、中国香港(当時は英領)
1993年 メキシコ、パプアニューギニア
1994年 チリ
1998年 ペルー、ロシア、ベトナム

テーマと日程

テーマ 「包摂的な経済の構築,よりよい世界を目指して」
中心議論  地域経済統合の進展
 中小企業の地域・世界市場への参画促進
 人材開発への投資
 持続可能かつ強靱な地域社会の構築


2015 APEC フィリピン テーマと日程

APEC(アジア太平洋経済協力)
フィリピンAPEC首脳会議(概要と評価)

平成27年11月20日

11月18日及び19日,フィリピン・マニラにおいてAPEC首脳会議が開催され,我が国からは,安倍晋三内閣総理大臣が出席した。アキノ・フィリピン大統領が議事進行を行い,「包摂的な経済の構築,よりよい世界を目指して」というテーマの下,「地域経済統合の進展」,「中小企業の地域・世界市場への参画促進」,「人材開発への投資」,「持続可能かつ強靱な地域社会の構築」を中心に幅広い議論が行われた。会議の成果として,APEC首脳宣言として「包摂的な経済の構築,よりよい世界を目指して~アジア太平洋コミュニティーのビジョン~(PDF)」,附属書として「APEC質の高い成長を強化するための戦略(PDF)」及び「APECサービス協力枠組(PDF)」,また,「多角的貿易体制への支持及び第10回WTO閣僚会議(MC10)に関する独立文書」が発出された。

<首脳会議の日程>

11月 18日 午後 APEC首脳とABACとの対話
太平洋同盟との非公式対話
19日 午前 地域・世界経済に関するセッション
首脳会議第1リトリート「経済統合を通じた包摂的な成長」
午後 首脳会議第2リトリート「持続可能で強靱なコミュニティーを通じた包摂的な成長」

1 首脳会議の概要

(1)第1リトリート:「経済統合を通じた包摂的な成長」

(ア)APEC成長戦略,多角的貿易体制の支持,アジア太平洋自由貿易圏(FTAAP),連結性,グローバル・バリューチェーンの協力,零細・中小企業の地域・世界市場への参加,サービス分野における協力等について議論された。

(イ)各エコノミーから

  • パリで発生したテロ事件を非難するとともに,国際社会が緊密に連携してテロ対策に取り組んでいくこと
  • TPP大筋合意を歓迎すること,また,これを踏まえアジア太平洋自由貿易圏(FTAAP)の実現に着実な一歩が刻まれたこと
  • 第10回WTO閣僚会議(MC10)に向けて精力的な議論を継続すべきであること
  • 昨年の首脳会議で合意された「連結性ブループリント」や「グローバル・バリューチェーン戦略的ブループリント」を着実に実施していく必要があること
  • 議長のフィリピンが主導する中小企業,サービスに係るイニシアティブを支持,歓迎すること などについて意見が出された。

(ウ)安倍総理から,概要以下の点を発言した。

(i)2020年ボゴール目標の達成に向けて,地域経済統合に取り組むとともに,「成長の質」を確保する必要。この観点から,本年の成長戦略の成果を歓迎。

(ii)アベノミクスは,第2ステージ。改訂成長戦略の実行等を通じて,雇用・所得増を図る決意であり,「一億総活躍社会」の実現との目標を掲げている。具体的には,アベノミクスの果実を,女性,若者,障害者などに活躍してもらう政策に振り向けていくことで,成長を実現したい。これらにより,強い経済を実現し,地域の包摂的な成長に貢献。

(iii)「経済面での法の支配の強化」は,質の高い成長と繁栄にとって重要なキーワード。

(iv)多角的貿易体制は世界経済の礎であり,最近の保護主義増加を懸念。特に過剰生産能力が輸出ドライブを生み,保護主義を招いている首脳が保護主義抑止の強い決意を示し続けるべき。年末のMC10では具体的な成果を目指すべき。MC10後,未解決な課題及び時代に即した課題を扱うためのWTO交渉のあり方を検討すべき。ITA拡大交渉,環境物品交渉等の複数国間(プルリ)交渉においてもMC10で目に見える成果を出すべき。

(v)大筋合意が成立したTPPにより作られる新たな経済秩序は,FTAAPにおいて,ルールづくりのたたき台となる。RCEP交渉も加速化させたい。

(vi)地域経済統合は中小企業にとっても世界市場への参加を踏み出すチャンス。日本は投資環境改善や自然災害等に対する強靱性向上に取り組んでいる。また,中小企業ファイナンスの強化に貢献していく。

(vii)日本は,海洋の連結性向上の取組など,昨年合意された「連結性ブループリント」のフォローアップを主導。本年5月,「質の高いインフラパートナーシップ」を発表。アジア向けのインフラ分野の円借款の更なる活用ADBとの連携枠組みに向けた取組推進,リスクマネーの積極的な供給を内容とする。

(viii)フィリピンが主導するサービス協力枠組みを支持。高度な製造業を呼び込むためには,研究開発,デザイン,マーケティング,メンテナンス,修理など製造業関連サービスを伴わなければならず,日本はそのための行動計画をとりまとめた。その実施をテコとして,地域の貿易・投資の拡大を図っていきたい。

(2)第2リトリート:「持続可能で強靱なコミュニティーを通じた包摂的な成長」

(ア)人材開発,女性の活躍推進,農村開発,食料安全保障,都市化,エネルギー強靱性,災害対策などについて議論された。

(イ)各エコノミーから

  • 経済成長を図るためには,人材開発が重要であり,技能研修など先進エコノミーからの支援が必要
  • 人口減少が予想される中,スキル人材の確保,労働需給バランスのミスマッチの解消を図ることが重要
  • 女性の活躍推進は,さらなる経済成長にとって重要であり,子女教育や,女性が社会的地位を占める割合を向上させる取組など,様々なエンパワメント施策を実施
  • 議長のフィリピンが主導する災害リスク削減枠組を歓迎
  • 国連防災会議でまとめられた「仙台防災枠組」は重要であり,日本の防災管理のノウハウを学びたい
  • COPは,単なる気候変動問題,災害問題ではなく,経済対策の側面が強い,COP21で野心的で長期的なターゲットに合意する必要などの意見が出された。

(ウ)安倍総理から,概要以下の点を発言した。

(ⅰ)「一億総活躍社会」はアベノミクス第2ステージの重要なキーワード。その実現を目指し,政策パッケージのとりまとめを実施中。

(ii)女性の活躍推進は,地域の更なる経済発展につながるもの。日本は女性の採用・登用を促進する法律の整備,「女性が輝く社会に向けた国際シンポジウム(WAW!)」の開催,女性管理職の割合向上を目指すAPECの取組など通じて,「女性が輝く社会」の実現に貢献。

(iii)東日本大震災から約5年となるが,災害からの復興は依然として重要な課題。APEC初の包括的な災害削減枠組の策定を歓迎。国連防災会議でとりまとめられた「仙台防災枠組」に従い,取組を進める。また,世界津波の日制定を国連で提案

(iv)自然災害等に対するバリューチェーン強靱性向上に向けた取組や「質の高い電力インフラ・イニシアティブ」を実施中。

(v)テロはバリューチェーンをはじめ安全な経済活動への大きな脅威。日本は違法な資金活動や水際対策をはじめとする包括的なテロ対策強化を図っており,乗客予約記録(PNR)の活用を含め,APECにおけるテロ対策関連の取組を歓迎。

2 ABACとの対話

151119 APEC 首脳とAPECビジネス諮問委員会(ABAC)委員との対話

APEC首脳と各エコノミーのAPECビジネス諮問委員会(ABAC)委員との対話が行われた。ABAC委員からの質問に対し,安倍総理からは,TPPによって構築される経済秩序は,今後,RCEPや,その先のFTAAPにおいて,ルールづくりのたたき台となることを説明した。また,インフラファイナンスに関し,増大するインフラ需要に対応するためには,民間資金の活用が鍵となることや,民間投資のリスクを緩和することが重要であることを説明したうえで,安倍総理が本年5月に発表した「質の高いインフラパートナーシップ」について説明した。

3 太平洋同盟との非公式対話

太平洋同盟(コロンビア,チリ,ペルー,メキシコ)首脳と,APEC首脳の非公式対話が行われた。安倍総理からは,アジア初のオブザーバー国である日本は,太平洋同盟を中南米の重要なパートナーとして位置づけているとして,APEC,太平洋同盟それぞれの枠組みでの日本の取組を紹介しつつ,両枠組みにおける取組の親和性に鑑み,対話・連携の強化を後押ししたい旨発言した。

4 評価

(1)自由貿易の礎である多角的貿易体制について,独立した首脳文書という形で,これまでWTOが果たしてきた多角的貿易体制への貢献を確認するとともに,MC10の成功に向けた政治的メッセージを発出することができた。

(2)FTAAPについて,TPPの大筋合意に触れつつ,現在進行している地域的な取組を基礎として,包括的で質の高い自由貿易協定として追求されるべきと再確認されたことは大きな成果。

(3)2010年に横浜で策定された「APEC成長戦略」を強化し,「質の高い成長」に焦点を当てた新たな戦略枠組みに合意できた。またサービス分野の協力枠組に合意するなど,サービス貿易自由化に関して議論を前進させることができた。

(4)質の高いインフラ投資の重要性について,首脳レベルで再確認することできた。

(5)最近のパリにおけるテロ事件を受け,あらゆるテロ行為を非難するメッセージを打ち出すことができた。

(6)「一億総活躍社会」,アベノミクス第2ステージの取組,女性活躍推進,「質の高いインフラパートナーシップ」,防災などの経済成長や質の高い成長を図るうえで,我が国が重視する取組について,APEC首脳やAPEC地域のビジネスリーダーに対してアピールすることで,「包摂的な成長」という本年の議論に大きく貢献することができた。

出典:外務省、首相官邸

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