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【G20 2015】アンタルヤ・サミット(概要・骨子・テロとの闘いに関する声明まとめ)

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151115 G20アンタルヤ・サミット 公式記念撮影(代表撮影)

2015年11月15~16日、トルコ・アンタルヤでG20アンタルヤ・サミットが開催された。

G20アンタルヤ・サミット(概要)、G20アンタルヤ・サミット 首脳コミュニケ(骨子)、テロとの闘いに関するG20声明をまとめた。

G20アンタルヤ・サミット(概要)

151115 G20アンタルヤ・サミット ワーキング・ランチ

2015年11月15-16日,トルコ・アンタルヤにて開催されたG20アンタルヤ・サミットに安倍総理が出席したところ,概要以下のとおり。

平成27年11月17日

1  議論の概要

(1)総論

本年の議長国であるトルコは,経済成長の実現に向けて,3つの「I」(Inclusiveness (包摂性),Implementation(実施),Investment (投資))を優先事項として取り上げ,これを中心に議論を深めてきた。サミットでは,強固で持続可能かつ均衡ある経済成長の実現に向けた具体的な取組につき首脳間で率直な意見交換を行い,首脳会合後に首脳宣言(骨子(PDF)英文(PDF)仮訳 )を採択した。
また,首脳宣言と併せ,G20全体のGDPの水準を2018年までに2%以上引き上げるための取組に関し,各国の個別のマクロ経済政策や成長戦略の現状と今後の計画を記載した「アンタルヤ行動計画」等が発表されるとともに,「テロとの闘いに関するG20声明」が発出された。 また,G20首脳は,日本時間14日(土曜日)午前6時頃パリにおいて発生したテロ事件を強く非難するとともに,フランスとの連帯の意を表明した。
各議題についての議論の概要は以下のとおり。

(2)世界経済,成長戦略,投資戦略,雇用

世界経済については,成長戦略の実施を通じた強固で持続可能かつ均衡ある経済成長の実現の重要性につき一致した。
安倍総理から,世界経済の議論の中で中国経済の安定的でバランスのとれた成長は,世界経済の安定に資するものであり,中国には,過剰生産設備の解消を始め,経済のインバランスや構造的な諸課題の解決に向けた改革努力が求められている旨発言。
また,安倍総理から,G20各国には包括的な成長戦略の実施や構造改革の取組強化が求められていることに言及しつつ,女性の活躍推進を含むアベノミクスの進捗,特に新たに発表した「第2ステージ」の取組を紹介し,世界経済の成長へ貢献していく決意を述べた。さらに,今般大筋合意に至ったTPPは成長戦略の核であり,生産性向上や産業活性化などを通じて,日本の成長につながることを期待する旨述べた。安倍総理から,本年5月に日本が公表した「質の高いインフラパートナーシップ」の進捗状況を簡単に紹介し,日本として,引き続き質の高いインフラ投資を推進していく旨説明。

(3)金融規制,国際課税,腐敗対策,IMF改革

(ア)金融規制:成長を支える上で金融システムの安定性の向上が重要であるとの認識で一致し,巨大銀行の破綻時の総損失吸収力(TLAC)等の主要な金融規制改革を完了させたことを確認した。また,金融規制改革の影響を引き続き注視することで一致した。安倍総理からは,金融規制改革の適切な実施が重要であり,持続的な成長を実現する観点から,規制の効果の検証をしっかり行うことが必要である旨発言した。

(イ)国際課税BEPS(税源浸食・利益移転)プロジェクトの合意の実施及び非居住者の金融口座に係る自動的情報交換の開始の重要性につき一致した。安倍総理から,BEPSプロジェクトの最終報告を歓迎するとともに,合意を着実に,高い質を維持したままで実施する努力を後押ししたいと発言。また,全ての国に対して,自動的情報交換の枠組みに加わるよう呼びかけた。

(4)開発,気候変動

(ア)開発:2030アジェンダの支持・実施,特に低所得開発途上国(LIDCs)への支援の重要性につき一致した。安倍総理から,開発の観点からも質の高いインフラ投資が重要であることを強調し,保健分野を含む開発問題に積極的に貢献する旨表明した。

(イ)気候変動:COP21の成功に向けた強いメッセージを発出することの重要性を確認した。安倍総理から,排出削減に向けた野心向上の仕組みの必要性を指摘し,日本としても合意形成のために建設的に関与していく旨表明した。

(5)貿易,エネルギー

(ア)貿易:首脳間で,貿易は経済成長及び開発の原動力であり,WTOは多角的貿易体制の基盤であるとの認識で一致した。また,第10回WTO閣僚会議(MC10)の成功を目指するとともに,保護主義抑止のコミットメントを再確認した。
安倍総理からは,TPPの大筋合意が多角的貿易体制の強化につながることへの期待を表明しつつ,TPPによって構築される経済秩序が,経済連携における今後のルールづくりのたたき台となり,21世紀の世界のスタンダードになっていくものであることを紹介。一方で,保護主義措置の増加に懸念を表明し,各国が実践をとおしてWTOの下での法の支配を徹底すべしと呼びかけた。また,MC10における具体的な成果を目指すとともに,その後のWTO交渉のあり方を検討すべきと述べた。

(イ)エネルギー:エネルギー・アクセスやエネルギー効率の向上がエネルギー安全保障上重要であることを確認した。安倍総理から,現実的かつバランスの取れたエネルギーミックスの実現の重要性を表明し,エネルギー分野における日本の貢献について理解を促進した。特に,日本は,エネルギー効率を向上させ,原子力を重要なベースロード電源として活用するとともに,再生可能エネルギーを更に普及させること,世界最高レベルの高効率火力発電技術や省エネ機器の普及を通じ,世界のエネルギー効率向上と気候変動対策に貢献することを説明。

(6)テロ,難民

(ア)テロパリにおけるテロ事件を強く非難するとともに,G20が協調してテロ対策を行うことで一致した。安倍総理から,各国のテロ対処能力の向上とともに,テロの根底にある暴力的過激主義への対策や過激主義を生み出さない社会構築の重要性を強調し,日本の取組を説明した。

(イ)難民難民問題は国際社会全体の喫緊の課題であることを確認した。安倍総理からは,難民問題に関する日本の考え方及び支援策を発信し,解決に向け,国際社会が全力で後押しすべき旨強調した。特に,全ての人々が安心して暮らせる民生の安定やインフラ整備・人材育成等の重要性を発信した。

2 今後のG20サミット

来年は中国が,翌2017年はドイツがG20サミットを開催する予定。

【参考】G20アンタルヤ・サミット

(1)日程・場所

2015年11月15日-16日 (於:トルコ・アンタルヤ)

(2)参加国・国際機関

(ア)G20 : G7(日本,カナダ,仏,独,伊,英,米,EU),露,アルゼンチン,豪,ブラジル,中国,インド,インドネシア,韓国,メキシコ,サウジアラビア,南アフリカ,トルコ。
(イ)招待国 : スペイン,マレーシア(ASEAN議長国),ジンバブエ(アフリカ連合(AU)議長国),セネガル(アフリカ開発のための新パートナーシップ(NEPAD)運営委員会議長国),シンガポール,アゼルバイジャン。
(ウ)国際機関 : 金融安定理事会(FSB),国際労働機関(ILO),国際通貨基金(IMF),経済協力開発機構(OECD),国際連合(UN),世界銀行(WB),世界貿易機関(WTO)。

G20アンタルヤ・サミット 首脳コミュニケ(骨子)

平成27年11月17日

1 世界経済・成長戦略

  • 成長戦略の適時の,かつ,効果的な実施が最優先事項。成長目標の3分の1以上を達成。
  • 調整された成長戦略及び主要コミットメントの実施計画から成るアンタルヤ行動計画を策定。
  • 強固で,持続可能な,かつ,均衡ある成長を達成するため,健全なマクロ経済政策を協力的に実施(機動的に財政政策を実施,金融政策では行動を注意深く測定し,明確に説明)。
  • 成長が,包摂的で,多くの雇用を伴い,かつ,社会の全ての層の利益となることを確保。
  • 労働市場から取り残されてしまう若者の割合を2025年までに15%削減する目標に合意。

2 インフラ投資・貿易の促進

  • 投資促進のため,投資エコシステムを改善し,効率的で質の高いインフラを育み,中小企業を支援する国別投資戦略を策定。G20/OECDコーポレート・ガバナンス原則を承認。
  • 保護主義的措置を停止し,後退させるという長期にわたるコミットメントを再確認。多角的貿易体制に引き続きコミットし,機能を改善するために協働するとの我々の決意を再確認。

3 より強固で強じんな世界経済の構築・国際機関の強化

  • 金融システムの安定性向上は成長を支える上で極めて重要。グローバルなシステム上重要な銀行の総損失吸収力(TLAC)についての国際基準を最終化。金融規制の枠組みの頑健性を確保するための我々の行動・決定による影響並びに規制改革の実施を監視。
  • G20/OECD税源浸食・利益移転(BEPS)プロジェクトの成果を支持。
  • 民間部門における清廉性と透明性に関するG20ハイレベル原則を承認。
  • 2010年改革はIMFに関するG20の最優先課題。米国に可能な限り早期の批准を強く促す。

4 持続可能性の強化(開発)

  • 2030アジェンダの履行に強くコミット。G20LIDC(低所得開発途上国)フレームワークを採択。
  • 食料安全保障及び持続可能なフード・システムに係るG20行動計画を承認。

5 エネルギー

  • G20エネルギー・アクセス行動計画を承認。サブサハラ・アフリカにおけるエネルギー・アクセス向上に焦点。エネルギー効率に関する進捗を強調。エネルギー源の多様化とエネルギー安全保障への投資の重要性を強調。

6 気候変動

  • 気候行動のためのリマ声明に示された摂氏2度未満の目標を再確認。
  • パリ合意は,公平で,均衡のある,野心的で,持続的で,かつ,ダイナミックなものとなるべきであることを確認。
  • COP21の成功裏の結果に向けて協働することにコミット。交渉担当者に対し,パリにおいて前進する道筋に到達するために,特に、緩和,適応,金融,技術の開発及び移転並びに透明性といった主要な事項について議論すべく,今後,建設的,かつ,柔軟に取り組むことを指示。

7 難民

  • 難民問題には調整された包括的な対応が必要。世界の難民・国内避難民の保護・支援強化にコミット。難民発生の根本原因に対処する必要性を強調。全ての国が国際機関への支援を強化することを促す。

8 情報通信技術(ICT)

  • 国家は,ICT環境において,安全,安定及び他の国家との経済的なきずなを促進する責任を有する。いずれの国家も企業又は商業部門に競争上の優位をもたらすことを意図し,ICTを利用した知財,企業秘密等の窃盗の実行又は幇助をすべきでないことを再確認。
  • ICTの安全な使用の利益を享受することができるような環境確保にコミット。

9 結語

  • 中国の議長の下で2016年9月に杭州で次回会合。2017年にドイツで次々回会合。

 

(注)テロに関する独立した首脳声明を発出。

テロとの闘いに関するG20声明

平成27年11月17日

1 我々は,可能な限り最も強い表現で,11月13日にパリにおいて,また,10月10日にアンカラにおいて行われた卑劣なテロ行為を非難する。これらは,全人類に対する,容認することのできない侮辱である。我々は,テロ行為の犠牲者とその家族に対し,深い哀悼の意を表明する。我々は,いかなる態様のテロがどこで発生しようとも,テロと闘う我々の連帯及び決意を再確認する。

2 我々は,テロとの闘いのために引き続き団結する。テロ組織の蔓延及びテロ行為の世界的に顕著な増加は,国際的な平和及び安全の維持を直接的に脅かし,また,世界経済を強化し,かつ,持続可能な成長及び開発を確保するために我々が継続している取組を脅かすものである。

3 我々は,全てのテロ行為,その手段及び慣行を明確に非難する。テロは,いかなる状況においても,動機の如何に関わらず,全ての態様及び発現方法において,それがどこで,誰によって行われたものであれ,正当化され得ない。

4 我々は,テロがいかなる宗教,国籍,文明又は民族集団とも関係付けられ得ないものであり,また,関係付けられるべきでないことを再確認する。

5 テロとの闘いは,我々全ての国々にとっての主要な優先課題であり,我々は,国際的な連帯及び協力の拡大を通じ,国連の中心的役割を完全に認識しつつ,国連憲章並びに国際人権法,国際難民法及び国際人道法を含む国際法の義務の下で,かつ,関連の国際約束,国連安保理決議及び国連グローバル・テロ対策戦略の完全な履行を通じ,テロリストの活動を予防し,かつ,抑制するために協働するとの我々の決意を再確認する。

6 我々はまた,特に,情報交換やテロリストの資産凍結に関する更なる協力,テロ資金供与の犯罪化並びに全ての地域における金融活動作業部会(FATF)基準の速やかな実施によることを含め,テロ及びテロ資金供与に関わる的を絞った強固な金融制裁体制によって,テロ資金供与の経路に対処することに引き続きコミットする。我々は,関連するFATFの勧告及び諸文書の実施を継続する。我々は,FATFに対し,テロ資金供与との闘いや的を絞った金融制裁体制及びその実施を強化するため,法的枠組みに関連するものを含めた措置の特定を求める。

7 我々のテロ対策に係る行動は,引き続き,国連安保理決議2178に規定されているように,テロを助長する条件に対処し,暴力的過激主義対策を講じ,過激化及び勧誘と闘い,テロ組織の動きを阻止し,並びにテロリストのプロパガンダに対抗することを基本とする,包括的なアプローチの一部でなければならず,また,インターネットを通じたものを含め,テロリストが,テロ行為を煽るような技術,通信及びリソースを利用することを抑止しなければならない。直接的又は間接的なテロの奨励,テロ行為の扇動及び暴力の賞賛は防止されなければならない。我々は,暴力的過激主義を予防し,若者を関与させ,かつ,社会の全てのメンバーの包摂を促進するにあたって,市民社会を支援するために,あらゆるレベルにおいて積極的に取り組む必要性を認識している。

8 我々は外国人テロ戦闘員の急激で,かつ,急増する流れ,並びにそれが,同戦闘員の出身国,経由国及び渡航国を含む全ての国にもたらす脅威について憂慮している。我々は,我々の協力を拡大し,また,実務上の情報共有,移動を探知する国境管理,予防的措置及び適切な刑事司法的対応を含めてこの現象を防止し,かつ,対処する関連の措置を策定することによって,この脅威に対処する決意である。我々は,世界的な航空安全を強化するため協働する。

9 世界中で継続する最近のテロ攻撃は,テロとの闘いにおいて,国際協力及び連帯を強化する必要性を改めて示している。我々は,これらの攻撃の犠牲者を常に記憶にとどめる。

出典:外務省

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