日本政府、韓国の慰安婦像設置に強い対抗措置 スワップ協議中断・駐韓国大使一時帰国など
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菅義偉官房長官は6日午前の記者会見で、韓国・釜山での慰安婦像設置を受け、「極めて遺憾だ」として4項目の対抗措置を発表した。
日本政府としては珍しい、強い対抗措置だ。
訪米中の杉山晋輔外務次官は日本時間の本日未明、ワシントンで韓国外交省の林聖男(イムソンナム)第1次官と会談し、「慰安婦問題での日韓合意に反する」として像の即時撤去を強く求め、撤去しない場合は何らかの対抗措置を打ち出すことも示唆していた。
少女像は昨年末、韓国の市民団体などが設置。日本政府は外交ルートを通じて抗議してきたが、韓国政府は黙認している。
会談は1時間を超えて行われ、議論は少女像問題に集中したという。
会談後、記者団の取材に応じた杉山次官は「釜山で新たに像が建立されたことは到底容認できない」と強く抗議したことを明かした。
また、2015年の日韓合意に基づき、日本はすでに10億円を韓国側に支払ったことに言及した上で「韓国政府が合意の基礎を一方的に崩した」「直ちに撤去すべきだ」と求めたことも明かしていた。
在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ
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駐韓国大使および在釜山総領事の一時帰国
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スワップ協議の中断
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日韓ハイレベル経済協議の延期
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韓国の日本総領事館前の少女像設置に対する当面の措置について
平成29年1月6日(金)午前
内閣官房長官記者会見
一昨年の日韓合意においては、慰安婦問題が最終的で不可逆的に解決される、このことを確認をしている。
それにも関わらず、昨年の12月30日、韓国の市民団体によって、釜山の日本国総領事館に面した歩道に慰安婦像が設置されたことは、日韓関係に好ましくない影響を与えるとともに、領事関係に関するウィーン条約に規定する領事機関の威厳を侵害するものと考えており、当事を規定に照らし極めて遺憾だ。
これを受けてわが国は当面の措置として、
- 在釜山総領事館職員による釜山市関連行事への参加見合わせ
- 長嶺安政・駐韓国大使および森本康敬・在釜山総領事の一時帰国
- 日韓通貨交換(スワップ)の取り決めの協議の中断
- 日韓ハイレベル経済協議の延期
その措置を採ることを決定した。
日本時間の本日未明、米ワシントンで杉山晋輔・外務次官から韓国の林聖男(イム・ソンナム)外務第1次官に対し、慰安婦像の設置に強く抗議するとともに、慰安婦像の早急な撤去を強く申し入れた。
政府としては慰安婦像を早急に撤去するよう、引き続き韓国政府や関係自治体に強く申し入れをしていく。
今後とも日韓それぞれが合意を責任を持って実施していくことが極めて重要だ。引き続き韓国側に対し、慰安婦像の問題を含め、合意の着実な実施を求めていきたい。
出典:首相官邸
質疑応答
--かなり強い対抗措置だが、必要だと判断した理由は
「まず日韓合意を考えたときに極めて問題だ。さらにはウィーン条約の規定を考えたときにも極めて問題がある。政府としては互いの合意を責任を持って努力するのは大事という意味において遺憾であるという中で、今回4点について措置を採る」
--日本政府は韓国や関係自治体に撤去を求めているが、なかなか韓国側が動かないと判断したのか
「現状について日本政府として極めて遺憾だ。このことを4項目によって形として示した」
--当面の措置ということだが、実際に撤去されるまで継続するのか
「状況を総合的に判断して対応していきたい」
--日本政府は日韓合意を履行することが重要だという方針で韓国の出方を見守っていたと思うが、これまでの韓国政府の対応に満足できないという思いか
「わが国としては合意を着実に履行してきた。そういう立場に変わりはない。引き続いて慰安婦像の問題を含めて合意の着実な実施を韓国政府に求めていきたい」
--韓国政府は問題解決に消極的だが、日本の強い姿勢によって韓国政府が積極姿勢に転じるか
「いずれにしろ、わが国の立場を明確に示した。互いに合意の着実な実施をしていく。これは当然のことだ」
--ここまで強い措置を講じることで、今後の日韓関係への影響は
「日本と韓国はまさに隣国であり、極めて重要な国だ。そういう中で今回、このような措置を採らざるを得なかったのは極めて残念ではあるが、互いに国と国として約束したことは履行してほしい。そういう強い思いで実施した」
--杉山氏から韓国の林氏にすでに内容は伝えているのか
「わが方から韓国側に対し、この問題解決のために累次に渡って適切な対応を採ることは強く求めてきた。しかし、現時点において事態が改善しない。そういうことで韓国側に今申し上げた措置を採ることを通報している」
--措置の実施は本日付か
「すでにそうした措置を採ることを先方には通報している」
--日本の措置に対して韓国政府からの反応は
「承知していない」
--改善が見られなかった場合はどうするか
「いずれにしろ当面の措置という形で、このような措置を採らさせていただいた」
--日韓合意では韓国政府は慰安婦像の撤去に「努力する」としており、確約はしていない。確約はしていないが、努力を怠っているということか
「日韓間で合意した。そのことについて互いに誠実に実行することになっているので、そこはしっかり合意を実施してほしいとの思いの中で今日まで強く求めてきている。今回、新たな釜山市の件を受けて、政府としてこのような措置を採った」
出典:産経新聞
首相官邸記者クラブでは「おおっ」という嘆声が上がった
麻生財務相「日韓通貨スワップは信頼関係ないと安定しない」
麻生太郎財務相は6日の閣議後の記者会見で、年末に韓国・釜山の日本総領事館前に慰安婦像が設置された国際法違反への対抗措置として、緊急時にドルなどを融通し合う日韓間の通貨交換(スワップ)協定再開の協議中断を決めたことについて「信頼関係をきちんと作った上でやらないと安定したものにはならない」との認識を示した。
日韓両政府は平成13年に通貨協定を締結したが、24年に当時の李明博大統領が竹島(島根県隠岐の島町)に上陸するなど日韓関係が冷え込んだ影響で規模が縮小。協定期限を迎えた27年2月、韓国側から延長要請がなかったため終了した。
ただ、中国景気の減速で韓国経済に大きな影響を与えかねず、国境を越えた景気悪化の連鎖を防ぐために通貨協定が必要だとの見方もあり、昨年8月に再開に向け議論を始めることで合意していた。
麻生氏は「時間をかけて交渉しましょうという話だった」とし、「今回は当面の処置としてということで中断する」と話した。
出典:産経新聞
韓国外務省「非常に遺憾」
韓国外務省は6日、「非常に遺憾である」とする報道官論評を発表した。
論評は、「困難な問題があっても韓国政府は、両国政府間の信頼関係を基に韓日関係を持続、発展させていかなければならないということを再度、強調する」とした。
慰安婦像をめぐり、釜山市東区が一転して設置を認めた先月30日、韓国外務省は「外交公館の保護に関する国際儀礼や慣行の面からも(設置場所を)考える必要がある」と表明。「適切な場所について、知恵を集められるよう期待する」としていた。
出典:産経新聞
韓国企画財政省も6日午前、日韓通貨スワップ協議の中断と日韓次官級経済協議の延期について日本側から通告を受けた。同省関係者は同日、「政経分離原則に反する日本政府の措置は大変遺憾だ」と語った。
大統領府関係者も6日、「大変困惑している」と語った。韓国では、国内世論の反発に加え、日韓関係の改善を目指した朴槿恵(パククネ)大統領の権限が停止されており、少女像の撤去は難しい情勢。韓国政府内には焦燥感が広がっている。
出典:朝日新聞
安倍首相「次は韓国が誠意を」
安倍晋三首相は8日、NHK「日曜討論」で放送された収録インタビューで、韓国・釜山の日本総領事館前に設置された慰安婦問題を象徴する「少女像」の撤去を求めた。
首相は、一昨年末の慰安婦問題をめぐる日韓合意に基づき、日本政府はすでに韓国側が設立した元慰安婦支援の財団に10億円を拠出したと強調。「日本は誠実に義務を実行していく。次は韓国にしっかり誠意を示していただかなければならない。たとえ政権が変わろうとも、それを実行するのが国の信用の問題だ」と述べ、少女像の設置は合意の精神に反するとして撤去を求めた。
首相は、韓国政府が合意で「適切に解決されるよう努力する」としたソウルの日本大使館(現在は移転)前の少女像の移転実現も迫った。
出典:朝日新聞
日韓合意後、「早く10億円払っちゃえばいい」と言ったのは三浦瑠麗氏。
これには批判があったし、この意見がかなりの少数派であることは理解しているが、それでも払ってしまってよかったと思っている。
日本は約束を果たし、もうボールは韓国にある。日韓合意はアメリカが間に入り、不可逆的なものとして国際的に約束した話だ。対抗措置を取った後は放っておけばいい。
そして、朴槿恵の次にどんな韓国大統領が出てこようと、堂々と突っぱねてしまえばいい。
韓国は、いざとなれば日本が助けてくれて当然だと本気で思っている。
日韓関係悪化の際、本当に困るのはどちらなのかをそろそろ現実的な話として知って頂かないと。
しかしこれも日本が安定政権だからこそできたことだろう。