第2回日英外務・防衛閣僚会合「2+2」など 共同訓練や部隊間交流、北朝鮮対応で連携強化
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第2回日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)などのため、イギリスのフィリップ・ハモンド外務・英連邦大臣と、マイケル・ファロン国防大臣が来日した。
Point
安全保障・防衛の協力強化 | |
北朝鮮に対し、新たな安保理決議に向け連携 | |
南シナ海・東シナ海に関する懸念を共有 | |
自衛隊と英軍が物資を融通し合う物品役務相互提供協定(ACSA アクサ)、早期に妥結 | |
共同訓練推進、防衛装備・技術協力などで連携 |
ハモンド英外務・英連邦大臣及びファロン英国防大臣による安倍総理大臣表敬
平成28年1月8日、安倍総理は、総理大臣官邸で英国のフィリップ・ハモンド外務・英連邦大臣及びマイケル・ファロン国防大臣による表敬を受けました。
平成28年1月8日
本8日,午後6時10分から約25分間,安倍晋三内閣総理大臣は,第2回日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)等のため来日中のフィリップ・ハモンド英外務・英連邦大臣(Rt Hon Philip Hammond MP, Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs)及びマイケル・ファロン英国防大臣(Rt Hon Michael Fallon MP, Secretary of State for Defence)の表敬を受けたところ,概要は以下のとおりです。同表敬には,岸田外務大臣及び中谷防衛大臣も同席しました。
1 安倍総理大臣より,日本は安全保障分野を含め英国との関係を重視している,本日の「2+2」で有意義な意見交換が行われることを期待している旨述べました。
また,安倍総理大臣より,中東,アジアでも安全保障環境は厳しいが,日英で様々な協力をしていきたい旨述べました。
2 これに対し,英側より,英国としても日本との協力を重視している,日本は英国にとってアジアで最も緊密な安全保障パートナーであり,安全保障を含む様々な分野で協力していきたい旨述べました。
また,英側より,英国として経済面で著しい成長を見せるアジア太平洋地域の重要性を認識している,英国としては安全保障分野も含めこの地域でのプレゼンスを示し,役割を果たしていきたい旨述べました。
さらに,英側より,前回の「2+2」 からこれまでの間に,日英間の安全保障・防衛協力で大きな進展がある,この分野でも様々な協力をしていきたい旨述べました。
3 両者は,アジア太平洋地域の情勢についても意見交換を行いました。特に,北朝鮮による核実験 への対応については,共に国連安保理メンバーである日英両国間で緊密に協力していくことで一致しました。
http://nettv.gov-online.go.jp/prg/prg12984.html
第2回 日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)
平成28年1月8日
本8日,岸田文雄外務大臣及び中谷元防衛大臣は,訪日中のフィリップ・ハモンド英外務・英連邦大臣(Rt Hon Philip Hammond MP, Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs)及びマイケル・ファロン英国防大臣(Rt Hon Michael Fallon MP, Secretary of State for Defence)との間で第2回日英外務・防衛閣僚会合(「2+2」)を行いました。協議は午後6時50分から約60分間,ワーキング・ディナーは午後8時25分から約50分間行われ,共同声明(骨子(PDF) /仮訳(PDF) /英文 )を発出しました。概要は以下のとおりです。
1 全般
両国は,日本の平和安全法制及び英国の国家安全保障戦略(NSS)及び戦略防衛・安全保障見直し(SDSR)2015を踏まえ,日英間の安全保障・防衛に関する具体的な協力強化のための連携を確認しました。
日本側は,英国が新たなNSS及びSDSRの下,アジア太平洋の安全保障環境に関し,一層の積極的・建設的な役割を担い,その平和と安定に貢献していくことへの期待を表明しました。
両国は,来年ロンドンで開催される次回「2+2」に向けて,更なる日英協力の推進に向けて引き続き緊密に連携していくことで一致しました。
2 北朝鮮
両国は,先般行われた北朝鮮による核実験は国際社会の平和と安全に対する重大な脅威であり,国際社会が断固とした対応を迅速にとることが重要であるとの点で一致し,新たな強い内容の安保理決議の速やかな採択に向けて緊密に連携していくことを確認しました。
また,北朝鮮の人権問題,拉致問題の早期解決が重要であることを再確認しました。
3 地域情勢
両国は,アジア太平洋地域情勢について議論し,特に南シナ海・東シナ海における状況に関する懸念を共有するとともに,ルールに基づく国際システムの重要性を確認し,あらゆる紛争は国際法に従って解決されるべきであることで一致しました。
また,一方的な現状変更の試みに対する反対を表明しました。
また,英国からは,昨年の日中韓サミットの開催,及び慰安婦問題に関する日韓合意に対して歓迎の意が表明されました。
さらに,テロ対策,中東情勢,ロシア・ウクライナ情勢についても意見交換を行いました。
4 安全保障・防衛協力
両国は,物品役務相互提供協定(ACSA)について,可能な限り早期に交渉を妥結させることで一致しました。
また,共同訓練を推進することでも一致し,その円滑化のための方策を議論していくことになりました。
さらに,防衛装備・技術協力や東南アジア諸国に対する能力構築支援(人道支援・災害救援,海洋安全保障,サイバー等)で連携していくことでも一致しました。
5 国際社会における協力
日本側から,国連安保理改革の重要性を強調したのに対し,英国側は,日本の国連安保理常任理事国入りに対する強い支持を改めて表明しました。
第5回 日英外相戦略対話
平成28年1月8日
1月8日,午後9時15分から30分間,岸田文雄外務大臣は,第2回日英外務・防衛閣僚会合に引き続き,訪日中のフィリップ・ハモンド英外務・英連邦大臣(Rt Hon Philip Hammond MP, Secretary of State for Foreign and Commonwealth Affairs)と第5回日英外相戦略対話を行いました。概要は以下のとおりです。
1 G7
両大臣は,4月に広島で開催されるG7外相会合 成功に向けて緊密に協力していくことを確認しました。
2 二国間経済関係
ハモンド大臣から,日本企業による英国への投資を高く評価しており,日本企業の経営方式は英国企業にも良い影響を与えている旨の発言がありました。
3 EUとの関係
ハモンド大臣から,EU改革に向けたEU内の議論の状況について説明がありました。
また,両大臣は,日EU・EPA の本年のできるだけ早い時期の大筋合意に向けて緊密に協力していくことを確認しました。
(参考)
平成27年1月21日にロンドンにて第3回日英外相戦略対話 を,同年8月8日に東京にて第4回日英外相戦略対話 を開催。
出典:首相官邸・外務省
日英防衛相会談 結果概要
平成28年1月9日
1月9日、中谷防衛大臣は、日英外務・防衛閣僚会合への出席のために来日中のファロン国防大臣との間で防衛相会談を行い、引き続いて昼食会を主催したところ、概要以下のとおり。
1.会談冒頭
中谷防衛大臣から、日英は共通の価値と目標とともに、国際社会の平和と繁栄に対して積極的に貢献していく意思を共有する戦略的パートナーである旨述べた。
さらに、中谷防衛大臣から、昨年11月に発表されたSDSR(戦略防衛・安全保障見直し)において、英国がグローバル・パワーとして引き続き影響力を行使していくことを明確にし、また、日本を「アジアにおける最も緊密な安全保障パートナー」と位置づけたことを高く評価する旨発言した。
これに対して、ファロン国防大臣から、英国は日本をアジアにおける最も緊密な安全保障パートナーと認識しており、日英2国間の防衛協力関係は、国際社会の平和と安定に大きく貢献するものである旨述べた。
また、ファロン大臣から平和安全法制の成立を歓迎するとともに、日本が地域及び世界の平和を確保するため、より積極的な役割を担うことへの支持を表明した。2.日英防衛協力・交流
両大臣は、近年の日英防衛協力・交流の着実な進展を歓迎しつつ、防衛・安全保障分野における協力を更に強化するために努力していくことを確認した。
両大臣は、防衛装備・技術について、これまで実施してきた2件の共同研究の進捗を確認するとともに、人員脆弱性評価についての新たな共同研究を開始することを確認した。
また、両大臣は、自衛隊と英国軍の間の交流及び共同訓練を更に進展させていくことの重要性で一致し、2016年に英国空軍機タイフーンの日本への訪問及びペルシャ湾等における国際掃海訓練の機会を活かした2国間の訓練を追求することや、水陸両用能力や対即製爆発装置(IED)能力向上のための協力を検討することを含め、更に協力を発展させていくことを確認した。
さらに、両大臣は、サイバーに係る防衛当局間の協力を推進していくことで一致した。
上記に加え、両大臣は、物品役務相互提供協定(ACSA)の可能な限り早期の締結を目指すことや、共同訓練等を円滑化するための可能な方策を議論していくことを確認した。
さらに、両大臣は、日英共同の人道支援・災害救援(HA/DR)に関するASEAN向けセミナーの開催を歓迎し、東南アジア諸国の能力構築のため、防衛当局間のワーキング・グループの新設など、更なる連携を追求することを指示したほか、英国が参加を計画している「パシフィック・パートナーシップ2016」において可能な協力を追求することを確認した。
3.地域情勢等
両大臣は、東シナ海・南シナ海情勢や北朝鮮情勢等の地域情勢及びテロをはじめとするグローバルな問題について、意見交換を行った。
南シナ海情勢について、中谷防衛大臣から、大規模な埋立てや港湾・滑走路建設等が急速なペースで強行されており、現状変更の試みが進められていることに対して懸念を表明した。
ファロン国防大臣から、緊張を高める如何なる行動も控えなければならない旨指摘しつつ、国際法に基づき、問題の平和的解決を図っていく必要性を指摘した。
北朝鮮情勢については、先般の北朝鮮による核実験を巡る状況について意見交換を行い、北朝鮮の行為は国際社会の平和と安全を著しく損なうものとして断じて容認できないとの点で一致し、日英間でも緊密に情報交換を行い、連携していくことを確認した。
また、テロについて、両大臣は、あらゆるテロ攻撃に対して強い非難を表明し、国際社会が一致してテロ対策を行うことの重要性を確認した。
(以上)
出典:防衛省