憲法記念日 各党談話
憲法記念日
国民の祝日の一つ。1947年(昭和22年)5月3日に日本国憲法が施行されたことを記念し、1948年(昭和23年)に公布・施行された祝日法によって制定。国民の祝日に関する法律では「日本国憲法の施行を記念し、国の成長を期する」ことを趣旨としている。
憲法記念日 各党談話
自民党「憲法改正原案の検討・作成を目指す」
本日、憲法記念日を迎えました。
現行憲法が施行されて以来、わが国は着実に平和と繁栄を築き上げ、国民主権、平和主義、基本的人権という普遍的価値は国民のなかに定着しています。一方で、時代の変遷や国内外の情勢の変化に伴い、現行憲法で足りない部分や対応できない課題も生じており、時代に即した憲法への改正を求める国民の声が高まっています。
わが党は結党以来、一貫して自主憲法の制定を党是として掲げ、現行憲法の国民主権、平和主義、基本的人権の3つの基本原理を継承した「日本国憲法改正草案」を公表しました。
憲法改正国民投票法や公職選挙法が整備され、憲法改正のための国民投票は、現実に実施できる状況にあります。今後は、衆参両院の憲法審査会や各党との連携を図るとともに、あらゆる機会を通じて国民各層の理解を得つつ、憲法改正原案の検討・作成を目指してまいります。
憲法は、国民自らの手で、今の日本にふさわしいものとしなければなりません。憲法改正を推進するため、自由民主党は全力で取り組む所存です。これからも、わが党の主張を真摯(しんし)に訴え、国民の皆様と共に議論を進めてまいります。
引き続き国民の皆様のご理解をお願い申し上げます。
岡田克也 民進党代表「憲法がいま、大きな危機迎えている」
日本国憲法の施行から69年。「国民主権」「平和主義」「基本的人権の尊重」という三つの基本原則を柱とする我が国憲法は、日本国民が長い年月をかけて育んできたものであり、戦後日本の自由と民主主義、平和と繁栄の礎となってきました。
民進党は、結党にあたって定めた綱領において、自由と民主主義に立脚した立憲主義を断固として守るとともに、時代の変化に対応した未来志向の憲法を国民とともに構想すると掲げています。
しかしながら、その憲法がいま、大きな危機を迎えています。
安倍総理は、憲法改正への野心を隠すことなく、衆参で3分の2を制することを目指しています。憲法解釈の変更による集団的自衛権の行使容認、安全保障関連法の成立強行など、立憲主義、平和主義の本質を全く理解せず、これを大きく傷付けてきた安倍自民党政権が、いよいよ憲法改正という「本丸」に手をかけようとしているのです。
そういう中で、今夏の参議院選挙は、まさに日本政治の分岐点となります。安倍自民党政権が勝利すれば、憲法9条を改正して集団的自衛権を制限なく行使可能とすることは確実で、日本は「普通の国」へと突き進むことになります。それは、国際的な紛争解決のために我が国が武力行使することはしないという、先の大戦の犠牲と反省に基づく日本国憲法の平和主義の根幹を大きく変質させるものです。
日本の国のかたちを変える安倍自民党政権のこの重大な挑戦に、民進党は正面から対峙(たいじ)します。来たる参議院選挙、更には衆議院選挙において、誤った憲法改正を目指す安倍政権の暴走を止め、日本国憲法の根幹である平和主義を守り抜くことを、憲法記念日にあたり、改めて国民の皆さんにお約束します。
公明党「現行憲法を維持した上で条文付加する加憲を」
日本国憲法は本日、施行から69回目の憲法記念日を迎えました。憲法に基づき日本は、民主主義を定着させ、平和を守り、国際社会からの信頼も確実に広げてきました。
公明党は「人類普遍の原理」というべき、国民主権主義、基本的人権の尊重、恒久平和主義の3原理を骨格とする憲法を、優れた憲法であると積極的に評価しています。3原理は将来とも変えるべきではありません。この憲法の精神を具体化するため、公明党は真剣に努力を続けてまいります。
公明党は、5年が経過した東日本大震災の復興について「一人として置き去りにはしない」との決意で被災者に寄り添い、「人間の復興」へ全力で取り組んでいます。この姿勢は、この度の熊本地震の復旧復興でも変わりません。
また、国民主役の政治の実現では、公明党の長年の主張であった18歳選挙権が今夏の参議院選挙からいよいよ実施されます。若者の声を政治にしっかり反映させてまいります。
核廃絶でも、公明党がかねてから提案してきた世界の政治リーダーによる被爆地訪問が、4月に広島市で開催されたG7外相会合によって一歩前進しました。核保有国と非核保有国の外相が共に平和記念資料館を訪れ、原爆死没者慰霊碑に献花し、原爆ドームを視察した意義は大きく、公明党は「核のない世界」に向けてさらに努力をしてまいります。
3月には平和安全法制が施行されました。平和安全法制の目的は、憲法9条の下、専守防衛の基本理念に則(のっと)り、厳しい安全保障環境の下で国民の生命と平和な暮らしを守ることです。もっぱら他国防衛のための集団的自衛権の行使は、公明党が訴え、法律に明記された「自衛の措置の新3要件」があるため許されません。また、国際平和への貢献に関しても、人道復興支援や後方支援の分野で協力を進めます。
非核三原則、他国に脅威を与えるような軍事大国にはならないとする戦後日本の平和主義の理念も変わっておらず、しっかり堅持されています。平和安全法制は日本の抑止力を高め、日本らしい国際平和貢献のあり方を明示しました。その上でさらに、他国との外交・対話を一層促し、紛争を平和的に解決できるように取り組んでまいります。いわば平和外交の推進力の裏付けとなる法整備です。
公明党は、憲法も法規範である以上、新しい時代に対応した改正があってしかるべきとの立場です。憲法の施行時には想定できず、憲法改正しか解決方法がないような課題が明らかになる可能性もあります。公明党は改正について、現行憲法を維持した上で、改正が必要になった場合に新たな条文を“付け加える”形の加憲という方法を主張しています。
公明党は加憲のテーマとして、環境権などの新しい人権、地方自治の拡大などを党内で議論してきました。今後、何を加憲の対象にすべきかについてさらに党内論議を深めるとともに、衆参両院に設置されている憲法審査会を中心に政党間の合意形成に努め、国民の理解を深めてまいります。
小池晃 共産党書記局長「『改憲許さぬ』一致点での共同を大きく広げる」
一、69回目の憲法記念日にあたり、日本共産党は市民・国民のみなさんと力をあわせ、野党共闘をさらに前進させ、憲法違反の安保法制=戦争法を廃止し、立憲主義を日本の政治にとりもどすために、全力をあげる決意を表明する。
戦争法が施行されたもと、日本の自衛隊が戦後初めて外国での戦闘に参加し、「殺し、殺される」危険が差し迫ったものとなっている。安倍政権が立憲主義を乱暴に踏みにじって戦争法を強行したことで、法治国家としての土台が根底から危うくされている。国家権力が憲法を無視して暴走することを許せば、独裁政治に道を開くことになってしまう。
いまこそ日本の政治に立憲主義、民主主義と平和主義を取り戻し、「個人の尊厳」を断固として守りぬく社会にするために、力をあわせることを呼びかける。
一、安倍首相は、「自民党は憲法改正草案を決めている」「(きたるべき国政選挙で)この草案をお示ししていきたい」と明文改憲への執念をあらわにしている。自民党の「憲法改正草案」は、憲法9条2項を削除し「国防軍」創設を明記し、海外で武力行使を無条件にできるようにするものである。「緊急事態条項」を創設し、事実上の「戒厳令」を可能にするなど、国民の自由と人権を奪う深刻な内容が盛り込まれている。憲法13条の「個人として尊重」を「人として尊重」という表現に置き換えようとしているが、これは一人一人の違いを認めあい、すべて個人を例外なく人格をもったかけがえのない存在として尊重するという、立憲主義の根本原理の抹殺にほかならない。「公益および公の秩序」の名による基本的人権の制限が盛り込まれており、憲法を「国民が国家権力を縛る」ものから「国家が国民を縛る」ものへと根本から変質させ、憲法を憲法でなくしてしまうという、時代逆行もはなはだしいものである。
日本共産党は「安倍政権による改憲を許さない」という一致点での共同を大きく広げ、来たるべき選挙で痛烈な審判を下し、その野望をうち砕くために全力をあげる。
一、いま日本に求められているのは、憲法9条を生かした平和外交を力強くすすめることである。テロと戦争の悪循環を断ち切り世界からテロをなくすこと、北朝鮮問題の解決、南シナ海の紛争問題の解決など、どれをとっても、軍事的対応は事態の悪循環を招くばかりである。わが党は「北東アジア平和協力構想」を提案しているが、外交交渉による平和的解決に徹することこそが、希望ある未来を開く唯一の道である。
一、日本社会は、格差の拡大と貧困の新たな広がりという重大な問題にも直面している。アベノミクスのもとで巨額の富がほんの一握りの富裕層に集中する一方、貧困の新たな広がりが深刻になっている。
貧困と格差をただし、公正・公平な社会に向かって前進していくためにも、生存権、幸福追求権、個人の尊重、教育を受ける権利などを定め、世界でも先駆的な人権条項を持っている日本国憲法に基づく政治を実現することが求められている。日本共産党は、「憲法を暮らしに生かす」政治を実現するため、いっそう力をつくす決意である。
一、いま、多くの市民・国民が主権者としての強い自覚をもって立ち上がり、「自分たちの政治だから自分たちで担う」「言うこと聞かせる番だ、私たちが」など、憲法をよりどころに声をあげ、行動に立ち上がっている。日本の戦後政治史でも初めての、「市民革命的」ともいえるうねりが、日本の政治を動かす大きな力となっている。
日本共産党は、「安保法制=戦争法廃止、立憲主義回復」という国民的大義で一致する、すべての政党・団体・個人と力をあわせ、安倍政権を打倒し、国民連合政府による新しい政治への道を開くために全力をあげる。
松井一郎 おおさか維新の会代表(大阪府知事)「国民が必要性納得するテーマで改憲を」
日本国憲法制定が施行されて69年目となる。この間、現行憲法の3原則により、国内で自由主義、民主主義、基本的人権の尊重が定着し、経済成長が促され、国際社会での日本の地位が高められる一助となった。憲法の3原則をはじめ、良い部分は当然守っていくべきである。
一方で、現行憲法制定当時は想定していなかった種々の問題が生じており、時代にそぐわない部分もある。こうした部分については、変えていくべきである。我が党は、国民が必要性を納得できるようなテーマについて、国民的議論を深め、憲法改正を進めるべきと考えている。
以上のような考え方で、おおさか維新の会は、今年3月に憲法改正案を発表し、保育園・幼稚園から大学まで教育の無償化、道州制の実現を目標とする統治機構改革、憲法裁判所の設置について、改正案を示した。今後、国会の発議に向けて、各党との協議を行い、国民に理解を訴えていく。日本国憲法が国民にとって一層良いものになるよう、国民とともに努力していく。
社民党「改憲の流れ押し戻す」
一、本日、69回目の憲法記念日を迎えました。軍国主義時代の反省と教訓から生まれた日本国憲法は、権力の暴走に対する抑止力であるとともに、国民生活や福祉を向上させる指針となってきました。また、日本が平和国家として歩むことを決意した不戦の誓いとして、世界各国との信頼を築く礎となってきました。しかし今、憲法の三原則である「国民主権・平和主義・基本的人権の尊重」が形骸化され、憲法破壊が公然と進められています。社民党はこれまで一貫して、「平和主義・憲法擁護」の政治信条の下に改憲勢力と対峙(たいじ)し、国民の「いのちと暮らし」を守る活動に邁進(まいしん)してきました。これからも憲法改悪を許さず、憲法の理念が活(い)かされた政治の実現に邁進することを、憲法記念日にあたり改めて誓います。
二、3月29日、多くの憲法学者や国民が憲法違反として反対してきた「戦争法」(平和安全保障法制)が施行されました。安倍首相は「さらなる理解が得られるよう丁寧な説明に努める」と述べてきましたが、社民党はじめ野党が提出した戦争法廃止法案の審議を拒否するなど、説明責任を果たそうともせず、南スーダンPKO(国連平和維持活動)への新たな任務付与やACSA(日米物品役務相互提供)協定の参院選後への先送りを図りつつ、「戦争法」の既成事実化を図っています。社民党は、「2千万署名」や「戦争法」違憲訴訟などに取り組む多くの市民の皆さんとともに、「戦争法」の発動を決して許さず、「戦争法」廃止の実現と集団的自衛権行使容認の閣議決定撤回に全力を挙げます。
三、さらに安倍政権は、明文改憲に突き進もうとしています。昨年8月のいわゆる「安倍談話」では、「次世代に謝罪を続ける宿命を背負わせてはならない」として、加害者責任に終止符を打ち、米国に追従した武力による「積極的平和主義」を進める方向性を改めて打ち出しています。また安倍首相は、予算委員会において、憲法9条を改正すれば「集団的自衛権の行使を全面的に認める」、「在任中に憲法改正を成し遂げたい」と述べ、「戦争できる国、する国」への転換をめざす意思を表明しました。さらには、災害を口実にした「緊急事態条項」の新設が画策されています。自民党改憲案では、武力攻撃や災害が起きた場合に首相が閣議で「緊急事態」を宣言すると、法律と同一の効力を有する政令の制定が可能となり、国民は国や自治体の指示に従う義務が生じます。「緊急事態」に名を借りて首相に権力を集中させ、三権分立も国民の基本的人権も地方自治も民主主義も否定する「独裁条項」にほかなりません。
四、「戦争できる国」へと舵(かじ)を切る安倍政権の暴走に対し、世代や立場を超えて結集した「新たなデモクラシー」とも言える国民の怒りの炎はさらに燃え広がっています。この動きは「戦争法」反対だけではなく、辺野古新基地建設に反対する「オール沖縄」や再稼働阻止・脱原発をめざす「さようなら原発」の闘い、TPP(環太平洋経済連携協定)参加反対の闘いをはじめ、労働法制改悪・消費税増税・社会保障改悪による格差・貧困の拡大に対する怒りの輪も広げています。安倍政権のめざすものが「国民」より「国家・企業」の利益を優先するものにほかならないということを既に多くの国民が見抜いています。憲法の「生存権」を侵害し、「幸福追求権」「勤労権」「教育権」「思想・良心の自由」「表現の自由」など、国民に保障された諸権利を奪い、何より大切な「いのち」を切り捨てる暴走政治をなんとしても終焉(しゅうえん)させなければなりません。
五、私たちの「いのちと暮らし」は憲法によって支えられ守られているという、これまで当然のこととしてあった前提を、安倍政権の意のままに変えさせるわけにいきません。今夏の参院選は、平和憲法の岐路がかかった極めて重要な選挙です。社民党は、日本国憲法の貴重な価値を再認識しはじめた人々、平和を愛し憲法改悪に反対する多くの人々とともに全力で闘います。世界に誇れる日本国憲法が「栄えある70周年」を迎えることができるよう、皆さんと手を携えて改憲の流れを押し戻していきます。
小沢一郎 生活の党と山本太郎となかまたち代表「海外派兵のための改憲は許されない」
本日、日本国憲法は施行から69年を迎えました。
日常生活を送っていく上で、「自由」も「権利」も空気のように、当たり前にあるものとして感じている人も多いように思います。しかし、それは我々人類の歴史において、先人たちの不断の努力によって今日まで獲得されてきたものです。そして、その根拠、裏付け、番人として「憲法」があります。
この日本においては、大日本帝国憲法下で自由や権利が奪われ、戦争という悲劇を生むことになりました。この反省から1946年、大日本帝国憲法73条の憲法改正手続きに従い、帝国議会の審議を経て現在の日本国憲法が制定されました。実質は憲法改正ではなく、新憲法の制定でした。
ところが、今の(安倍)政権は、憲法はGHQのおしつけだとして、戦前の世の中に戻すかのような勢いで、現行憲法改正への強い意欲を示しています。
確かに現行憲法はGHQの監督下で草案が作成された経緯があります。しかし、憲法前文でうたっている「国民主権」「基本的人権の尊重」「平和主義」「国際協調」という4大原則は、現在においても守るべき人類普遍の考え方であり、引き続き堅持すべきものであります。
今の政権は、昨年の安保法制の強行採決からもわかるように、目指すところは自衛隊の海外派兵です。これは平和主義を根本から覆す大変危険なものです。その実現のための憲法改正は決して許されるものではありません。
もちろん時代の変遷、世界情勢の変化に伴い、現在の実勢には合わなくなってきているところがありますから、国民の合意があれば改正することは当然、行われてしかるべきだと思っておりますが、いまの政権の目的は違います。
私どもは、国民がより幸せに、より安全に生活ができ、日本が世界平和に貢献するためのルール作りを目指し、国民皆さんと積極的に議論してまいります。そのためにも、憲法記念日というこの日を、再び憲法と立憲主義の成立の原点に立ち返り、その現在的意義を考える大切な機会とすべきです。
自由や権利、平和のためには、我々国民一人ひとりがしっかりと考え、行動していく必要があります。全ては国民一人ひとりの判断にかかっているのです。
中野正志 日本のこころを大切にする党幹事長「自主憲法制定に邁進する」
日本のこころを大切にする党は、結党以来、国民の手による新しい憲法、自主憲法の制定を党是として、掲げて参りました。
憲法は国の最高法規ですが、時代の要請や国際情勢の変化に応じて修正することも必要です。そして何より、GHQ占領下で作られた憲法をいつまでも押しいただくのではなく、日本固有の歴史や思想、文化を踏まえ、日本国民の手によって制定されるべきと考えます。
日本のこころを大切にする党では、自主憲法起草委員会において議論を深めており、参議院選挙前を目指して自主憲法草案を策定する予定です。日本のこころを大切にする党は国民の皆様と共に、今後とも自主憲法の制定に邁進(まいしん)して参ります。
新党改革「幅広く憲法のあり方を議論する」
国民の皆様と共に、平和主義を守りつつ、私たちの生命や人権等を守るために、さらにどうあるべきかを真剣に検討し、幅広く憲法のあり方を議論して参ります。
出典:朝日新聞
昨年の談話リンク
以下のリンクは昨年のもの。