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宮崎哲弥がザ・ボイスで推薦『ブラックジャックによろしく 4』障害を持つ子供が生まれた時の親と医療関係者の苦境

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17.08.09 「相模原殺傷事件から1年追記
ブラックジャックによろしく4

2017年1月26日放送のニッポン放送『ザ・ボイス』で宮崎哲弥氏が推薦した本をご紹介します。

今回の本は無料かつ漫画なので、きっと誰もが手軽に手を出せるのではないかと思います。

それは、ニュースピックアップセブンの「相模原殺傷事件から半年」で紹介しました。

また、1年後に書かれた週刊文春での発言も追記しています。

相模原殺傷事件とは

2016年(平成28年)7月26日未明、神奈川県相模原市緑区千木良にある神奈川県立の障害者福祉施設で発生した、刃物による大量殺人事件。
同日中に19人の死亡が確認され、26人が重軽傷を負った。
第二次世界大戦後の日本で発生した殺人事件としては、最も犠牲者数が多い。

犯人の植松聖容疑者は、2012年12月から2016年2月まで「津久井やまゆり園」に勤務していた。
「障害者の安楽死を国が認めてくれないので、自分がやるしかないと思った」と供述。
こうした考えに至った背景について、中学時代の同級生や園で働いた経験などを挙げ、「障害があって家族や周囲も不幸だと思った。事件を起こしたのは不幸を減らすため。同じように考える人もいるはずだが、自分のようには実行できない」とした上で「殺害した自分は救世主だ」「(犯行は)日本のため」などと語っているという。

ザ・ボイス「相模原殺傷事件から半年」書き起こし

この話題で宮崎哲弥氏は以下のように語った。

植松容疑者に関しては、彼の行動の理由というか動機形成というのは、精神鑑定が行われていますから当然精神障害というのが想定されている。
ですから、彼の行動は思想なのか--報道によると、ナチスの優性思想に影響を受けたと言われる「思想」なのか。
それとも、精神障害なのか。
そこが精神鑑定によって明らかになるだろう。
そしてそれがこれからの裁判の1つの争点になるだろうということと、縁をどうするかということ。これは非常にデリケートな問題で、難しい側面が色々あると思う。

それと同時に、ノンフィクション作家の藤井誠二さんをお迎えしてこの問題を語り合ったときにも話したが、単純に「措置入院の期間が短すぎる」という話が一部報道で出てきたが、必ずしもそれほど単純な問題ではないということ。
むしろ措置入院後のケアというものが、社会がやるのか、家族がやるのか、だれがやるのかということも含めて考えていかないといけない。
単純に措置入院の期間が長ければいいという問題ではないということはお話しましたよね。

色んな問題を投げかけていて、これに関する書籍もいっぱい出てます。
この番組でもお話したように、これが思想の問題だったとして、ナチス優性思想みたいな「いわゆる生きるに値しない命というのは存在しないんだ」ということを、私たちの社会が、生命倫理の問題として本当に徹底できているのかということも問いかけなければいけない。

新型出生前診断が始まって3年と数か月が経ちます。
新型出生前診断というのは、妊婦さんの血液の中に含まれている胎児のDNA断片を解析して障害があるかどうかを確かめるというもので、昔の羊水穿刺のようなやり方ではなく侵襲の度合いが低い、そして確度の高い鑑定が下されるということで導入されたが、この結果として最終的に障害を持っていると診断を下された妊婦さんの94%が、選択的妊娠中絶を選択している。

新型出生前診断は今後もっと拡がってゆくと思います。
導入する時に、もう少し倫理基準とか、本当に親御さんや現場の医療関係者だけに決断を--彼らに重荷を負わせるような形で決断を迫るシステムでよかったのか。
障害を持って生まれたとしても、社会全体で生きていけるようなシステムを構築すべきだったのではないか。
など、色々な論点がある。

それが「生きるに値しない命などない」ということの実質ですからね。
仮に相模原殺傷事件が悪しき思想に基づいて行われたとするならば、その悪しき思想と私たちの社会は戦わなければならない。

念のために付け加えておくと、選択的妊娠中絶をした人たちを倫理的に非難することは私はできない。
現実は現実として在るということを知らなければいけない。

非常にそれが分かる漫画がありまして、『ブラックジャックによろしく』というテレビドラマがありましたが、作者の佐藤秀峰さんは『ブラックジャックによろしく』をすべて公開していてタダで見ることができる。
これの4巻をぜひ読んでもらいたい。
これによって今立たされている、障害を持ったお子さんが生まれた場合、親御さんがどういう過酷な決断に迫られてしまうか、医療関係者がどういう苦境に立たされるのかということが本当によく活写されていますので、ぜひとも読んで頂きたいと思います。

仏教者を名乗る宮崎哲弥氏の真髄を見るような、とても熱い解説でした。

相模原殺傷事件から1年

相模原殺傷事件から1年が過ぎ、宮崎哲弥氏は週刊文春の連載で以下のように述べた。

(前略)医師や看護師をも含む当事者を、残酷な選択に追い込んでしまうこの社会の倫理性を問うているのだ。

相模原障害者施設殺傷事件の被告人の“思想”は私達の倫理の弱みを突いている。そのように構えなければ、たとい“思想”に無理やり蓋をし、表面から排除しても、やがて第二、第三の「被告人」が生まれることを阻止できないだろう。

出典:週刊文春 『宮崎哲弥の時々砲弾』2017年 8/17・8/24合併号

ブラックジャックによろしく4 ブラックジャックによろしく 4

「生まれた赤ちゃんはダウン症だった・・・」

その双子は4年間不妊治療を続けた結果の、待望の我が子・・・のはずだった。
突然に障害児の親となった田辺夫婦は、我が子をこのまま死なせてくれと斉藤と指導医・高砂に乞うた。

説得できなければそれも仕方ないとする高砂に斉藤は反発する。親が我が子の命を決定するそれは許される事なのか?何が親を支配し、何が高砂にそう思わせる?新生児科と日本の現実に斉藤が熱くなる!

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