ケリー米国務長官、中国・韓国訪問「南沙諸島埋め立てと歴史問題」に懸念
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ケリー米国務長官が中国と韓国を訪問した。
中国では南沙諸島埋め立て問題、南シナ海の紛争問題に言及、韓国では歴史問題に話が及んだ。
特に韓国で行われた会見時の、ケリー米国務長官の強い口調は印象に残った。
ケリー米国務長官訪中・訪韓
17日 中国 習近平国家主席との会談
南シナ海の紛争、岩礁の埋め立てに言及
ケリー氏は習氏に、南シナ海の紛争を平和的に解決することや、国際法を尊重することの必要性も強調。
米国務省のラスキー報道部長は18日の記者会見で、ケリー国務長官が17日に北京で行った中国の習近平国家主席との会談で、中国による南シナ海での岩礁の埋め立てに「懸念」を伝え、東南アジア諸国との緊張を緩和するため自制を求めたことを確認。
ラスキー氏は「米国はいかなる一方的な領有権決定に反対する。当事者は外交的に国連海洋法条約を含む国際法に従って解決する必要がある」と述べた。
会談ではこのほか、朝鮮半島の非核化に向けて、北朝鮮に対する圧力を維持することの重要性を確認した。また、気候変動、イラン核協議、アフガニスタン支援などの課題で米中両国が協力する必要があるとの認識で一致。
参考文献:産経新聞 2015.5.19
18日 韓国 朴槿恵大統領・尹炳世外相との会談
歴史問題に言及
ケリー氏は18日、尹氏との米韓外相会談後、共同記者会見で「日韓両国が敏感な歴史問題に自制心をもって対処し、直接対話を継続しつつ、互いが受け入れられる解決策を見いだすことを望む」「日韓の建設的な関係は地域の平和と安定に不可欠だ」と語った。
また、韓国では、朝鮮半島有事の際に日本が集団的自衛権を理由に韓国に部隊を派遣し、そのままとどまろうとするのではないかという不信感が広がっており、先月、決定された新たな日米防衛協力の指針、ガイドラインにも懸念や反発の声が上がっていた。
これについて「根も葉もない神話の犠牲になってはならない。日米が行うことは国際法に従っているということを疑うべきではない」と強い口調で否定。「日本とアメリカが行うことは国際法に従ったものだということを、みじんも疑うべきではない」「韓国の意向を無視することはありえない」と理解を求めた。
オバマ米大統領は昨年3月、日米韓首脳会談を主催して、日韓両国の歩み寄りを迫ったが、韓国の「反日」姿勢は変わらなかった。最近では、米国が称賛した安倍晋三首相の米上下両院合同会議での演説と、「明治日本の産業革命遺産」を世界文化遺産に推薦しようとする日本政府の行動に、韓国国会が糾弾・非難決議を採択。
北朝鮮が潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)の開発を進めるなか、韓国が、中国の反発を恐れて、米国が望む弾道ミサイル迎撃システム「高高度防衛ミサイル」(THAAD)の配備を躊躇していることも許せないとみられる。
参考文献:NHK 2015.05.19 産経新聞 2015.5.20
19日 菅義偉官房長官の会見
日韓関係について
菅義偉官房長官は19日午前の会見で、ケリー米国務長官が韓国の朴槿恵大統領らとの会談で、日韓関係改善に言及したことに関連し「北朝鮮問題への対応など、地域の平和と繁栄のために日米韓の緊密な協力が極めて大事だ」との考えを示した。
日韓首脳会談は、朴大統領が歴史問題をめぐる安倍晋三首相の言動を問題視して対日強行姿勢を貫いているため、大統領就任後、一度も開かれていない。これに関し、菅氏は「わが国としては常に対話のドアはオープンにしている。大局的観点から対話すべきだ」と述べた。
参考文献:産経新聞 2015.5.19