【民主党】メルケル首相「和解が重要」発言、岡田氏説明とドイツ政府で食い違い
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ドイツのメルケル首相は10日、民主党の岡田克也代表と会談した。
このとき、なんと会談時間の3/4が歴史問題に使われたそうだ。
安倍政権が70年談話作成へと動き始めたいま(参考記事:【安倍首相】 「戦後70年談話」 有識者懇談会 冒頭発言全文と5つの論点)、岡田代表がドイツの首相からどのような言葉を引き出そうとしたのか、誰もが推測できると思う。
しかしこの後、岡田氏が記者団に語ったメルケル首相が発言したとする内容に対し、ドイツ側から「そんなこと言ってない!」と否定され、それに対し更に岡田代表が「紛れもない事実だ!」と反論するも、改めてドイツに否定される異常事態となっている。
メルケル首相と岡田克也代表の会談(3月10日)
都内のホテルで10日、メルケル首相と民主党の岡田克也代表の会談が行われた。
会談終了後、岡田克也代表による記者団への説明
岡田氏が「戦後70年だが、日本は中国、韓国との和解が成し遂げられたとは言えない。ドイツの場合はどうだったか」と尋ねたのに対し、メルケル氏は歴史認識について「過去のことについて完全に決着をつけるのは不可能だ。常に過去と向き合っていかなければならない」と述べたと語った。
メルケル氏は慰安婦問題に自ら触れ、「東アジアの状況を考えると、日韓関係は非常に重要だ。慰安婦の問題などはきちんと解決した方がよい。和解をすることが重要だ」と述べたと語った。
会談時間の3/4が歴史認識にあてられた
会談は約40分のうち約30分を歴史認識にあてたほか、安全保障などについても意見交換した。
岸田外務大臣「両国を単純に比較することは適当ではない」(3月10日記者会見)
日本テレビ 有田記者の質問「戦後の周辺国との和解について」
安倍総理とメルケル首相の会談の中で,メルケル首相が戦後の周辺国との和解の例について述べられたということなんですけれども,日本の戦後の周辺国との和解について大臣はどのように認識されて,評価されているかお伺いしたいと思います。(2つ目の質問は省略)
岸田外務大臣の発言
まず,昨日の記者会見で,メルケル首相は日本に対して何かヒントを与えるものではないとしつつ,ドイツの経験を説明する文脈で自分たち自身の過去を乗り越えることは和解の一部であるとの考えを述べられたと承知をしています。
同時に隣国の歩み寄りの姿勢の重要性も強調され,「フランスは第二次世界大戦後,ドイツに歩み寄ってくれました。」こうした発言をされたと承知をしています。日本とドイツでは先の大戦中に何が起こったか,そして戦後どういう状況下で戦後処理に取り組んだか,どの国が隣国なのかといった経緯が異なり,両国を単純に比較することは適当ではないと思います。その上で,欧州ではドイツ自身の努力に加え,欧州全体が欧州統合という壮大な政治目標の下,共同体作りを進め,和解を進めてきました。これに対しましては,我が国としまして敬意を表し申し上げたいと思います。
そして,我が国自身の対応についてのご質問ですが,我が国が比較的多くの国々,とりわけアジアの諸国の人々に対し,多大な損害と苦痛を与えたという認識においては安倍内閣,そして歴代内閣,これは同じであると考えております。安倍内閣としましては,歴史認識に関する歴代内閣の立場,全体を引き継いでいくということ,繰り返し表明をさせて頂いております。出典:外務省
岸田外務大臣「単純比較することは適当ではない」(3月13日午前の記者会見)
香港フェニックスTV 李記者の質問「歴史の総括が和解の前提であると同意できないのか」
先日,大臣の発言で日本とドイツを単純比較できないと。メルケル首相の歴史の総括が和解の前提であるという発言には同意をできないということでしょうか。ご自身の見解をお願いします。
岸田外務大臣の発言
私(大臣)が申し上げたのは,メルケル首相が発言された際に隣国の歩み寄りの姿勢の重要性も強調され,「フランスは第2次世界大戦後ドイツに歩み寄る用意がありました。」このように述べておられます。
このように日本とドイツでは先の大戦中に何が起こったのか,そして戦後どういう状況下で戦後処理に取り組んだのか,どのような国が隣国なのかといった経緯が異なり,両国を単純に比較することは適当でない。そういった主旨で発言を申し上げました。
香港フェニックスTV 李記者の更なる質問
そうすると,中国の歩み寄りが足りないということでしょうか。
岸田外務大臣の発言
いえ,私(大臣)が申し上げたのは今申し上げたように,単純比較することは適当ではない,こういった主旨で申し上げさせて頂きました。
出典:外務省
菅義偉官房長官「『発言の事実はない』と説明を受けた」(3月13日の記者会見)
菅官房長官は、ドイツ側から『メルケル首相は岡田氏との間で過去の問題について日本政府がどうすべきかとかいう発言を行った事実はない』という説明を受けたと述べた。
ドイツ側が日本政府に「事実はない」と説明
日本政府関係者によると、会談には日本政府関係者は同席しておらず、会談内容に関する報道を受け、在日ドイツ大使館を通じてドイツ側から日本外務省に連絡があり、「事実はない」と説明があった。日本政府側からは照会していない。
岡田克也代表「紛れもない事実」と反論(3月13日)
国会内で記者団に対し、「私もかなり丸めて言っているが、(メルケル氏が)慰安婦問題を取り上げたことは紛れもない事実だ」と述べた。
岡田氏によると、独政府は民主党に「何も言ってきていない」という。
岡田氏は「和解が重要」発言について、「一般論として(メルケル氏が)ドイツの話を説明していく中で日本についても言及した。そういう説明をしたということは、日本のことについて当然念頭に置いて発言しているということだ」と説明。
と、ここまで書いたら新たなニュースが入ってきた。以下の通り。
ドイツ政府 ザイベルト報道官が改めて否定(3月13日)
ドイツ政府のザイベルト報道官は13日の記者会見で、メルケル独首相が民主党の岡田克也代表との会談で「(日韓関係は)和解が重要」と促したとする報道について「正しくない」と否定した。
ザイベルト氏は、メルケル氏が日本で質問に答える形で、ドイツがナチス時代の過去とどう向き合ってきたかについて発言したと説明。日本での記者会見で「(過去との向き合い方を)助言するために日本に来た訳ではない」との立場を表明したとし、岡田代表との会談でも同じ「表現を用いた」と強調した。
出典:共同ニュース
14日、追加きました~!
岡田氏「慰安婦問題はメルケル氏が持ち出した」と重ねて説明(3月14日)
三重県四日市市での会合で、メルケル氏から慰安婦問題の解決を促されたと重ねて説明。「慰安婦問題はメルケル氏が持ち出し『日韓両国は非常に大事な関係だから、この問題を早く解決した方が良い』と」「『日本政府に』とは言っていない。誰がとは言っていないが、解決した方が良いという話だった」と述べた。
言ったかどうかの問題ではなく、岡田氏がメルケル首相の発言を意図的に政治利用したことが問題なのだと思う。メルケルとしては、とにかく「日韓関係に口出しする立場ではない」とした上での発言なのに、岡田氏の説明では「自ら発言して積極的に日韓関係や慰安婦問題を解決したほうがよいと促された」ように聞こえる。似たようなもんかもしれないが、これは国家間の問題として全く違う。
しかし民主党は余計なことしかしないな…。
民主党といえば、鳩山元首相が政府の反対を押し切ってクリミアを視察し、ロシアへの編入を称賛している。そのうえ、ウクライナ市民に対し「普天間移設反対に協力を」などと呼びかけている。全く驚きだ。
これに対し、民主党の枝野幸男幹事長は、「その方は元自民党の議員でもあり、元民主党の議員でもある。今は少なくとも民主党に属している方ではない」「民主党は一切関知しない」などと突き放した。
この流れを受け、自民党の高村正彦副総裁は「鳩山氏のクリミア行きは、元議員でなく『元首相』だから問題なのだ。民主党が鳩山氏を首相にしたことが、在任中だけでなく国益を害していることに、少しは責任を感じてもらいたい」と述べた。ごもっともだ。
民主党には、責任感がない。国益にもまるで無関心に見える。
岡田克也代表のメルケル氏との会談後の発言も、国益に反する面のほうが圧倒的に大きいと思う。隣国と和解したいという熱意より、安倍政権を打倒したいという熱意のほうを強く感じる。岡田氏は「安倍さんとは憲法の話はしない」と、話し合いすら放棄した。それは政治家としての仕事を放棄したのと同義だと思う。民主党は、こんな人が代表に選ばれる党なのだ。