【G7 シャルルボワサミット】首脳宣言<骨子>
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カナダ東部ケベック州シャルルボワで2018年6月8~9日に開かれた、先進7カ国(G7)の「首脳コミュニケ」<骨子>を記しておく。
上の画像はドイツ政府が公開したもので、ネットでは「まるで絵画のようだ」と話題になった。
あたかもメルケル独首相がトランプ米大統領に詰め寄っているように見えるが、他の画像では談笑しているようにも見えた。
G7シャルルボワ・サミット首脳コミュニケ(骨子)
以下、「太字」は外務省公開文書に沿った。
また、「蛍光マーカー」は中国に関連すると思われる個所にブログ主が引いた。かなり中国を意識した内容になっている。
平成30年6月9日
前文
我々G7首脳は,自由,民主主義,法の支配,人権の尊重及びルールに基づく国際秩序促進へのコミットメントという我々の共通の価値に導かれ,2018年6月8日から9日にかけてケベックのシャルルボワで会合を開催。
世界経済
新興市場国のリスクへの強靱性が改善しつつある一方で,最近の市場の動きは我々に潜在的な脆弱性を想起。
我々は,引き続き市場の動向を監視するとともに,全ての政策手段を活用して,持続可能でバランスの取れた成長を支える必要。
貿易・投資
(総論)
自由で,公正で,互恵的な貿易及び投資が,経済成長及び雇用創出の主要な原動力であることを認識。
G20ハンブルク・サミットの貿易に関する結論,特にルールに基づく国際的貿易体制の極めて重要な役割を強調すること及び引き続き保護主義と闘うことへのコミットメントを改めて表明。
(WTO)
近代化し,可能な限り早期に,より公正にすることにコミット。
関税障壁,非関税障壁及び補助金の削減に向けて取り組む。
(過剰生産能力・公平な競争条件)
真に公平な競争条件を促進するため,特に市場指向的ではない政策・慣行及び強制的な技術移転又はサイバーによる窃取等の不適切な知的財産権の保護に対処し,既存の国際ルールの執行及び必要な場合は新たなルール構築のために協働。
市場歪曲的な産業補助金及び国有企業による貿易歪曲的な行動に関するより強固な国際ルールの構築のための交渉の本年開始を求める。
鉄鋼の過剰生産能力に関するグローバル・フォーラムの全ての加盟国に対して,同フォーラムによる提言の完全かつ迅速な実施を求める。
アルミニウムやハイテク等のその他の分野における過剰生産能力を避ける緊急の必要性を強調。
(輸出信用)
輸出信用に関する国際作業部会に対して,2019年のなるべく早期に,政府が支援する輸出信用に関する新たな指針の策定を求める。
保健
強固で,持続可能な保健システムを支援することにコミット。
世界保健機関(WHO)が健康に関する緊急事態において,特に緊急対応基金(CFE)及び世銀のパンデミック緊急ファシリティ(PEF)を通じて果たす,極めて重要な役割を認識。
薬剤耐性(AMR)と闘うためのグローバルな努力に優先的に取り組み,連携。
開発
公的資金は,2030アジェンダの持続可能な開発目標(SDGs)の達成に向けた取組のために必要であるが,不十分。
引き続き開かれたアクセスを有する質の高いインフラに投資。
新興の債権国及び民間の債権者の側にも債務の透明性を高めるよう求める。
将来の仕事・AI
新たな技術を通じたイノベーションによりもたらされた新たな仕事に適応し成功するのに必要な,技能と教育への平等なアクセスを確保。
市場主導型の訓練及び教育を,特に女児・女性のための科学,技術,工学及び数学(STEM)の分野で拡大。
AIが新しい経済成長の源泉となり,社会に重要な利益をもたらし,最も緊要な課題に対処する上での助けとなる潜在力があることを認識。
ジェンダー
ジェンダー平等は人権の達成の上で根本的なものであり,社会的及び経済的に不可欠。
質の高い教育への平等なアクセスは,女児と女性のエンパワーメント等の達成のために不可欠。
特に紛争影響下及び脆弱な国家における,女児・思春期の少女・女性の質の高い教育への少なくとも12年間の安全で質の高い教育の機会を改善することのコミット。
全ての形態の暴力を撲滅することを決意。オフラインで個人が有する人権がオンラインでも保護されるよう努力する。
外交・安全保障
(北朝鮮)
北朝鮮に対して,全ての大量破壊兵器,弾道ミサイル及び関連する計画・施設の完全,検証可能,かつ,不可逆的な形での廃棄(CVID)を引き続き求める。
北朝鮮による,核実験及び弾道ミサイル発射のモラトリアムに関する発表,4月27日の「板門店宣言文」で示された非核化へのコミットメント,そして,5月24日の一見したところの豊渓里核実験場の閉鎖を含む,最近の進展を認めるが,完全な非核化の重要性を改めて表明。
しかし,更なる行動が必要であり,全ての国に対し,北朝鮮に自らの方針を変えさせ,決定的かつ不可逆的な行動を取らせるため,安保理決議の完全な履行を含め,強固な圧力を維持することを要請。
北朝鮮に対し,人権尊重と拉致問題の即時解決を改めて求める。
(ロシア)
ロシアに対し,その不安定化をもたらす行動,民主システムを害すること,及びシリア政権への支援を停止するよう求める。
英国ソールズベリーにおける神経剤を使用した攻撃を非難。同攻撃の責任がロシア連邦にある可能性が非常に高く,その他の妥当な説明が存在しないとの英国の評価を共有し,同意する。
それにもかかわらず,地域的な危機及びグローバルな課題への対処の上で,国益にかなう場合には,ロシアに引き続き関与する。
他方,我々は,ロシアの行動に応じて必要ならば,コストを高めるために更なる制限的措置をとる用意がある。
(イラン)
イランの弾道ミサイル計画が国際の平和及び安定に及ぼす影響を認識し,イランに対し,安保理決議第2231号と相容れず,地域を不安定化させる弾道ミサイルの発射を控え,ミサイル技術の拡散を停止するよう要請。
イランの核計画が,決して核兵器を追求し,開発し,又は獲得しないとの国際的義務及びコミットメントに沿って,引き続き平和的なものであることを恒久的に確保することにコミット。
(東シナ海・南シナ海)
東シナ海・南シナ海における緊張を高め,地域の安定及びルールに基づく国際秩序を損なう可能性のある如何なる一方的行動にも強く反対。全ての当事者に対して,紛争のある地形の非軍事化を追求するよう求める。
(ミャンマー)
ミャンマーによる最近のコミットメントを歓迎するとともに,安全で,自発的で,尊厳ある難民及び避難民の帰還のため,持続的な平和の構築のための取組を調整し,民主的な移行を支援することを誓う。
気候変動・クリーンエネルギー,海洋
健全な地球及び持続可能な経済成長は互恵的であり,グローバルな取組を追求し,集団的なエネルギー安全保障の強化のための行動にコミット。
カナダ,フランス,ドイツ,イタリア,日本,英国及び欧州連合は,パリ協定の実施に対する強いコミットメントを再確認。協働によるパートナーシップを通じた気候変動との闘いを促進し,今世紀後半のうちに,炭素中立な経済を達成するため,空気と水の汚染及び我々の温室効果ガス排出量を削減するとの我々の市民へのコミットメントを再確認。全ての関係あるパートナーと協働して政策ギャップ・ニーズ及びベスト・プラクティスを特定。
米国は,持続可能な経済成長及び発展が,安価かつ信頼できるエネルギー源への普遍的なアクセスによることを信じ,世界のエネルギー安全保障を強化するための現在進行中の行動にコミット。
持続可能な海洋と漁業を促進し,強靱な沿岸及び沿岸コミュニティを支援し,海洋のプラスチック廃棄物や海洋ごみに対処。
カナダ,フランス,ドイツ,イタリア,英国及び欧州連合の首脳は,プラスチックの製造,使用,管理及び廃棄に関する現行のアプローチが,海洋環境,生活及び潜在的には人間の健康に重大な脅威をもたらすことを認識し,「G7プラスチック憲章」を承認。
結語
フランス大統領による,次回の首脳会合を2019年に主催するとの提案を歓迎。
出典:首相官邸、外務省 画像出典:ドイツ政府