辺野古埋め立て承認「瑕疵あり」とした報告書に瑕疵あり!
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名護市辺野古沿岸部の埋め立てを承認した前知事の判断の是非を検証する沖縄県の有識者委員会が、埋め立て承認手続きに「法律的な瑕疵が認められる」と指摘する報告書を翁長雄志知事に提出したのは記憶に新しい。
今月16日のことだ。
このとき翁長知事は、報告書を「最大限尊重する」と発言。
「なんだこの三文芝居は」と感じたが、以下の記事を読むとますますその感が強くなる。
これに関わった有識者委員と県職員とのやりとりを示す議事録を、産経新聞が入手した。
その報告書に瑕疵あり
埋め立て承認手続きに「法律的な瑕疵が認められる」とした報告書について、その報告書にこそ瑕疵があるのではないかという疑問を持つ。
報告書作成のためのヒアリングを主導した人物
元沖縄弁護士会会長 当真良明 氏
沖縄大名誉教授(環境学・途上国環境問題) 桜井国俊 氏
未公表議事録入手で分かった、ヒアリング時の一方的なやりとり
県職員へのヒアリングのやりとりが酷い。
非常に一方的で、会話にさえなっていない様子だ。
これでは結論ありきにしか見えず、真摯に状況を検証しようとする姿勢ではない。
当真良明氏は、反論する職員の発言に対し「わかった」と答えて質問を終えたのに、職員の発言をなかったことにして、報告書に「瑕疵」と明記。 | |
反論する職員に対し、「すっきりとした回答ではない」と言って質問を打ち切る。 | |
自分の主張はするが、「見解の相違」を盾に反論を受け付けない。 |
ヒアリングは形ばかり?
このやりとりを見ると、意図的に 反論する職員の意見が無視されている ように感じられる。
ヒアリングは形ばかりで、自分たちの都合のいいように報告書を作成した のではないのか?
記者会見なし、報告書はA4紙2枚
有識者委は記者会見を開かず、報告書全文も未公表で、A4紙2枚の報告書要約版だけを公表した。
瑕疵があるとなれば、これは大問題だ。
基地移転を止めさせたいというのなら、これ以上ない論拠となり、プロパガンダの材料にもなるはず。
堂々と主張できる内容があれば、このようなやり方にならないのではないか。
これらの内容を報道した記事は以下の通りだ。
産経新聞、埋め立て承認の是非を検証する有識者委の未公表議事録を入手
意図的追及で「法的瑕疵あり」 辺野古移設、有識者委の未公表議事録を入手
産経新聞は、米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古移設で、埋め立て承認を検証した同県の有識者委員会(委員長=大城浩・元沖縄弁護士会会長)による県職員へのヒアリングの未公表議事録を入手した。
議事録からは、承認に関わった県職員が手続きや審査の瑕疵(欠陥)を一切認めず、すべての論点で委員と職員の「見解の相違」にとどまったことが浮き彫りになっている。
同県の翁長雄志知事は有識者委の客観性・公平性を強調しているが、議事録では、委員が職員の主張に耳を貸さず、瑕疵を恣意的(しいてき)に認めさせようとしている。翁長氏は有識者委の報告書に沿って、8月中にも埋め立て承認を取り消す方針だが、見解の相違に基づく瑕疵認定は客観性に欠けると指摘されそうだ。
委員6人のうちヒアリングを主導したのは元沖縄弁護士会会長の当真良明氏と、沖縄大名誉教授で環境学が専門の桜井国俊氏。
職員側では承認審査を取りまとめた海岸防災課副参事(当時)が主に回答した。
委員側はまず県の琉球諸島沿岸海岸保全基本計画と埋め立て承認の整合性を問題視した。当真氏は、同基本計画では辺野古沖が海岸保全区域に含まれ、施設を設置する場合は県など関係機関と調整するよう求めているが、「防衛省は調整をしておらず、必要な手続きを欠いた」と追及した。
それに対し職員は埋め立てに関連する法律や条例は多岐にわたり、「(特定の調整を)やっていないから他の手続き(承認)に波及するかといえば必ずしもそうではない」と反論。「調整が終了しないと(承認)できないという認識ではなかった」とも強調した。
当真氏は「わかった」と答えて質問を終えたが、報告書ではこの手続きの不履行を瑕疵と明記した。
当真氏に対しては職員が「意図的にミスがあるかのような言い方は心外だ」と抗議する場面もあった。
当真、桜井両氏は埋め立ての必要性・合理性をめぐり、仲井真弘多前知事が知事選などで県外移設を要求しながら、埋め立てを承認したことを俎上に載せた。
「知事の政治的主張は審査基準に含まれないのか」と質問すると、職員は「それを前提に審査を行っていない」「知事の政治的考えや選挙公約は審査基準にない」と答えた。それでも桜井氏は「すっきりとした回答ではない」との感想を漏らし、質問を打ち切った。
辺野古移設反対派で知られる桜井氏は、サンゴ礁とジュゴンに関する環境保全措置やオスプレイの影響について持論を展開。防衛省が予定している環境保全措置を「安請け合いのオンパレード」と批判した。
オスプレイの騒音対策では「県民の観点」を掲げ、同時期に審査された那覇空港第2滑走路建設での自衛隊機との「二重基準」が必要との考えを示唆。その上で「見解の相違」を盾に反論を受け付けなかった。
有識者委は記者会見を開かず、報告書全文も未公表で、A4紙2枚の報告書要約版(ブログ主注:以下にこの概要を記した)だけを公表した。
出典:産経 2015.7.20 05:00
辺野古埋め立て承認検証報告書(概要)
そして以下が先述の通り、記者会見を開かず、報告書全文も未公表で、A4紙2枚の報告書要約版だけが公表された、その「報告書」の概要である。
【検証結果】
・辺野古の埋め立て申請は公有水面埋立法の要件を充足しておらず、承認手続きには法律的瑕疵が認められる
【理由】
・埋め立ての必要性に合理的な疑いがある。普天間飛行場移設の必要性から辺野古埋め立ての必要性があるとした点に審査の欠落
・埋め立ての利益と不利益を比較し、国土利用上適正かつ合理的といえない
・環境保全措置は問題の現況と影響を把握したとは言い難く、措置が適正に講じられているとも言い難い
・十分な審査を行わずに承認した可能性が高く、琉球諸島沿岸海岸保全基本計画が定める手続きを履行していない
出典:産経 7月20日(月)
まずこの報告書には、【検証結果】に至った、第三者を納得させる明確な根拠が見当たらない。
上述の「ヒアリング時の一方的なやりとり」で書いたとおり、反論する職員の意見を無視して形ばかりのヒアリングを行い、やっと作成したのがこの報告書なのではないか と疑ってしまう。
記者会見も開かずA4紙2枚だけで済ませるのではなく、この報告書の【検証結果】で「法律的瑕疵がある」と結論付けた【理由】となる根拠を、責任を持って説明して欲しい。