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ロシアのウリュカエフ経済発展相逮捕!佐藤優「北方領土交渉妨害の暗躍者がいる」

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ロシア連邦捜査委員会は15日、巨額収賄の容疑でウリュカエフ経済発展相の身柄を拘束し、捜査に乗り出したと発表。

プーチン大統領は同日、巨額収賄の容疑で刑事訴追されたウリュカエフ経済発展相を「信頼の喪失」を理由に解任。

ウリュカエフ氏は日本の対ロシア経済協力計画に関する露側の統括役を務めていたカウンターパートで、8項目の対ロシア経済協力提案に関するロシア側のとりまとめ役でもあった人物。

日本側の窓口を務める世耕弘成経済産業相は15日の記者会見で、

プーチン大統領から私のカウンターパートとして指名をされていた方でありますので、はっきり言って大変驚いている

と困惑を隠さなかった。

トランプ次期大統領との駆け引きか

このニュースを受け、プーチンが梯子を外したのではないか?と疑った人は多いのではないか。そしてその理由に、トランプ次期大統領の存在を思い起こした人もいるだろう。

トランプは大統領選に立候補してから、プーチンを高く評価していた。
ヒラリー・クリントンのメール問題では、ロシアにハッキングを求めるような発言もした。

ロシアや中国のように既存のルールを覆したい側はトランプを応援していただろう。狡猾なプーチンのことだ。選挙期間中に早々にトランプと連絡をとり、水面下でやりとりしていたとしても不思議はない。

米ロ関係が改善されれば、ロシアにとって北方領土解決の優先度は落ちるだろう。
まず梯子を外してトランプの動きや情勢を見ながら、ギリギリまで時間稼ぎをしているのだろうか・・・?

この記事では、これまでの経緯をみながら状況を探ってみたい。

ロシアのペスコフ大統領報道官、容疑について「非常に深刻なものだ」

ペスコフ氏は15日にかけての深夜、インターファクス通信に「これは非常に深刻な容疑で、非常に重要な証拠が求められる」と述べた。

なおペスコフ氏は、今回の出来事が国の投資イメージに打撃を与える心配はないか?との問いへの回答は控え、「いずれにせよ、何かを決定できるのは裁判所だけだ」と強調した。

またペスコフ氏は、ウリュカエフ氏の拘束についてプーチン大統領に報告したか?との問いには、「今は夜中だ。大統領に報告するべきかどうか私にはわからない」と述べた。

出典:SPUTNIK

菅義偉官房長官会見「考え方に全く変わりない」(11月15日・午前)

菅義偉内閣官房長官記者会見

Q:逮捕を受けての影響は?

A:事実関係を確認中。
いずれにせよ他国の司法、内政に関わることだから政府としてコメントすることは控えたい。

我が国としては日ロの互恵的な経済協力を進めて、経済分野を含む幅広い分野で日ロ関係全体を発展させていくという考え方に全く変わりない

Q:経済交渉に関して停滞になると思うか?

A:全く考えていません。

出典:首相官邸(動画からブログ主が要約して書き起こし)

世耕弘成経済産業大臣会見(11月15日)

ロシアとの交渉を行っていた世耕弘成経済産業大臣はウリュカエフ訴追を受け、会見で以下のように語っている。

ウリュカエフ経済発展相の身柄拘束報道

Q:(略)ロシアのウリュカエフ経済発展相が企業買収に伴う不正で身柄を拘束されているという情報が出ていますけれども、ロシアとの経済協力についてペルーでも何らかの交渉が行われるかと想像しているんですが、この影響について御意見を伺えますでしょうか。

A:(略)また、2問目のウリュカエフ経済発展大臣が身柄を拘束されたという報道、私も今報道を承知しております。はっきり言って、この間会ったばっかりでありまして、またプーチン大統領から私のカウンターパートとして指名をされていた方でありますので、はっきり言って大変驚いているところであります。

ただ、いずれにしても、この8項目の協力プランの具体化の作業というのは事務方で着実に進展しています。これは国同士の、政府同士の約束事として、このペルーにおいてその具体化をもっと進めていくための作業計画を取りまとめることをもう既に合意しているわけでありますから、ロシア側にはこの合意をしっかり実行していただきたい。
当然ウリュカエフ大臣は身柄を拘束されているから来れないと思いますけれども、それ以外の方、あるいは後任の方と私の間で作業計画をしっかり確認するということを着実に淡々と進めてまいりたいと考えております。

ロシアとのバイ会談

Q:確認までですが、APECの場で予定されていましたロシア側とのバイ会談といいますか、作業計画を進める方向性というのは、後任の方と行う方向で、調整でよろしいんでしょうか。

A:これは日本側としては、当然後任の方なのか、代理の方なのかはわかりませんけれども、きちんとやるべきだと思っています。
ウリュカエフ大臣が報道のような形で身柄を拘束された。それはロシアの国内問題でありますから、日本政府とロシア政府の約束されている作業については、ロシア側も誠実に対応していただきたいと思っています。

出典:経済産業省 16.11.15

シュヴァロフ・ロシア連邦第一副首相、安倍首相を表敬

1 本15日午後6時20分から約20分間,総理官邸において,安倍晋三内閣総理大臣はシュヴァロフ,イーゴリ・イヴァノヴィッチ・ロシア連邦第一副首相(H.E. Mr. SHUVALOV, Igor Ivanovich, First Deputy Prime Minister of the Russian Federation)による表敬を受けたところ,概要は以下のとおりです。

2 安倍総理大臣から,プーチン大統領訪日時に,両国国民が歓迎し,日露関係に飛躍的発展をもたらす政治,経済等の幅広い分野での成果の準備が必要である旨述べ,本日開催の貿易経済に関する日露政府間委員会第12回会合はこの重要な機会である旨発言がありました。
これに対しシュヴァロフ第一副首相より,大統領訪日に向けて経済分野で成果を実現したく,8項目の具体化を含め,自分がしっかり責任を果たしていきたい,この後の政府間委員会でも実りのある議論を行いたい旨の発言がありました。

出典:外務省

日ロ、経済協力推進を確認

この日、「貿易経済に関する日露政府間委員会第12回会合」が開催された。

日本、ロシア両政府は15日夜、閣僚級の「貿易経済政府間委員会」を東京都内で開いた

来月に山口県で予定される日ロ首脳会談に向け、8項目の経済協力プランを着実に推進していくことを確認した。

ロシア側責任者の一人、ウリュカエフ経済発展相が収賄容疑で訴追されたが、両政府は作業を加速させる方針だ。

委員会には日本側から岸田文雄外相、世耕弘成経済産業相ロシア側からシュワロフ第1副首相らが出席した。

岸田氏は会合後の共同記者発表で、プーチン大統領の来日時に人的交流や医療などの協力拡大に関する文書十数本を成果として発表できるよう「調整を加速する」と表明。

シュワロフ氏は、ウリュカエフ氏が担当していた経済協力プランについて「自分が責任を持つ」と述べた

出典:時事通信 11月15日(火)23時29分

鈴木宗男氏は言葉少な

これまでの北方領土交渉、ロリア外交をよく知る鈴木宗男氏。ウリュカエフ逮捕の翌日に更新されたブログでは言葉少な。

後述の佐藤氏の話で分かるが、鈴木氏は佐藤氏に電話をかけ、この状態をどう見るべきか意見を聞いたらしい。

昨日の朝、ロシアのウリユカエフ経済発展相が収賄容疑で拘束されたというニュースが関係者から入ってきた。すぐ政府関係者にも連絡をし、情報交換した。
世耕経産相は会見でも「ロシアの国内問題とし、日露間での約束はしっかり実行していきたい」と明確に発した。

ロシア側はウリユカエフの後任にエブゲーニ・エイリン経済発展省次官を代行にし、APECにはスタニスラフ・ヴアスクレセンスキー経済発展省次官を送るとのことでロシアも粛々と新体制を取っている。

何かが動くときは過去にも様々な出来事があった。何があっても天は落ちてこない。
要は、日本・ロシアとも最高首脳が決めたことを誠実に行って行くことである。

出典:花に水 人に心 2016-11-16 10:08:38

佐藤優「北方領土交渉を妨害したい者の暗躍だ」

佐藤優氏が17日朝、ニッポン放送「高嶋ひでたけのあさラジ!」に出演しウリュカエフ経済発展相が収賄容疑で解任したことについて語った。

ちょっと難しい説明になるんですけども、日本だとプーチンは独裁者みたいなイメージでしょ?
違うの。

プーチンを独裁者としておいたほうが都合がいいっていう十数個のグループがあるんです。
それでみんな「プーチンさんの言う通り」、「プーチンさんに言われたから」って見せてるんですけども、実際は彼はコンセンサスで置いてる。

それで今回は、本当のターゲットね、これはロスネフチの社長でプーチンの側近にセーチンって男がいるんです。元々KGB出身と言われている謎の人物で、実は密かに首相官邸に来たりしている。だから北方領土交渉なんかも、裏の立役者なんです。
ウリュカエフってのは、その手下みたいなもんなんです。

これを捕まえたってことは、ズバリ何か。
これは「北方領土交渉を妨害してやろう」というグループの暗躍なんですね。

(プーチンはこの件を)知ってます。
知ってるんだけれど、全体のバランスをとらないといけないんですよ。

それだから、「ウリュカエフが拘束されたって話だと、佐藤さんどう見たらいいんだ」と鈴木宗男さんから電話かかってきたの。

1986年夏を思い出してください。東芝機械ココム違反事件というのがあった。
86年の1月にシェワルナゼ・ソ連外務大臣が来て、翌年ゴルバチョフが日本に来ますと。それを妨害しようとして、日本の駐在武官2人を拘束して1人は国外追放。三菱商事のナンバー2を国外追放して、日ソ関係が滅茶苦茶になるの。
それでゴルバチョフの訪日は4年遅れる。もしそれがなくて、翌年87年に訪日してれば、北方領土は返ってきた話なんです。

そういうふうにして、特にロシアの中の漁業ロビーね。それから、秘密警察。
この連中は北方領土解決して欲しくないんですよ。

そこのところでセーチン達のグループが今、世耕さんと組んで、本格的に北方領土返還の準備をしていると。

ロシアの中の深刻な謀略だから、すぐにロシアに対してやったほうがいいことは、世耕さんが会見をやること。
そしてこれはロシアの内政問題だから、「日本は依然方針は変えない」と言うのが1点目。
2点目はね、北村内閣情報官、内調のトップが、東京にロシア対外情報庁、ロシアのスパイ組織のトップがいるんですよ。これは参事官の資格で1人必ずいるんです。その人間とすぐに会って、本当のことを聞く。何が起こっているのか。
それから3点目。ウリュカエフルートが使えなくなると、糞詰まり状態になるんです。
世耕さんがウリュカエフに説明する、それがプーチンさんに行くはずなんだけれども、その情報を止めることが目的なんですよ。だから、すぐにアファナシエフ駐日大使と世耕さんが会って、ウリュカエフとやってきたことを全部説明する。
日本の大使は外務省にしか報告できないが、ロシアの大使は重要事項はプーチンに直接電報打てるんです。

そんなふうにしたほうがいいよなんてアドバイスして、今のところ見ていると、だいたいそんな感じで動いてるようですね。
ですから、日本政府も機動的な対応をとってます。

動くから邪魔する奴が出てくるんです。ですから、北方領土に関してはこれは悪いニュースではないんです。
今こういうことをして止めておかないと、本当に領土が日本に渡されちゃうぞということを考えているグループが画策しているわけなんですね。

出典:ニッポン放送「高嶋ひでたけのあさラジ!」 (2016年11月17日)

これまでの流れを見て、みなさんはどのような感想を持たれるだろうか。

佐藤氏の話は常に様々な意図があり、それを1つ1つ推論をあてはめて推し量るのは面倒だしわたしのような者には読み切れない。もし佐藤氏の見立てを信用するとすれば、冒頭に書いたようなプーチンの梯子外しではないことになるが、それでも現段階ではっきりした結論を出すことはできないだろう。

ともかく昨今の世界情勢を見るに、楽観論や希望的観測で議論すべきではないし、同時に、政治を不安定化させる議論に持っていくべきでもないと思う。

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