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日・ウクライナ首脳会談、デーニ紙による安倍総理大臣インタビュー

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2015.06.12 動画追加

20150606 安倍内閣総理大臣のウクライナ訪問 ポロシェンコ大統領と握手を交わす安倍総理大臣
安倍晋三内閣総理大臣は,6月5日深夜(金曜日)~6日(土曜日),ウクライナを公式賓客として訪問しました。結果概要は以下のとおりです。

また、地元紙による安倍総理大臣インタビューも掲載しています。

ウクライナ訪問―平成27年6月6日<動画>


安倍総理は、ウクライナを訪問し、ポロシェンコ大統領ほか政府要人との会談、ウクライ­ナの改革への支援表明等を行いました。

日・ウクライナ首脳会談

20150606 安倍内閣総理大臣のウクライナ訪問 共同記者発表
6日(土曜日)10時15分から11時50分まで約90分(最初の35分は少人数会合),安倍総理大臣は,ウクライナ大統領府でポロシェンコ大統領と会談を行ったところ,概要以下のとおりです。(ウクライナ側:クリムキン外務大臣ほか,日本側:世耕内閣官房副長官ほかが同席。)

(1)少人数会談

ア 会談冒頭

(ア)ポロシェンコ大統領から,ウクライナの独立以来,初の日本の現職総理大臣の訪問は非常にうれしく,G7の前に会談が持てたことは有意義であり,日本及びG7が力強い立場を示してくれていることに感謝したい旨述べました。

(イ)これに対し安倍総理から,日本の総理大臣として初のウクライナ訪問をうれしく思う,ウクライナ側の温かい歓待に感謝したい,本日の会談を通じ,二国関係を更に発展させたい旨述べました。

イ ウクライナ・ロシア情勢

(ア)ポロシェンコ大統領から,現在のウクライナ情勢,ロシアとの状況,ミンスク合意の履行状況,国内改革の現状等につき説明がありました。

(イ)これに対し,安倍総理から,G7エルマウ・サミットでは,ウクライナ情勢について積極的に議論していきたい,また,G7次期議長国として,本問題の平和的・外交的解決に向けて一層積極的に関与してきたい旨述べました。

(ウ)また,安倍総理から,我が国は力による現状変更を決して認めず,日本は一貫して主権,領土一体性を尊重する形で情勢の改善に取り組んでいる旨述べるとともに,ミンスク合意違反が見られることに遺憾の意を表し,全ての当事者によるミンスク合意の完全な履行の重要性を指摘しました。

ウ ウクライナによる国内改革及び日本の支援

安倍総理から,ウクライナが強靱性と持続性を持つ国になるためには,大胆で包括的な改革が不可欠であると指摘し,同国が改革の歩みを進める限り,経済・財政,司法・ガバナンス改革,エネルギー等の幅広い分野の支援を継続する旨述べました。これに対しポロシェンコ大統領から,国内改革に向けた強い意思表示があるとともに,日本の支援に対して改めて謝意表明がありました。

(2)全体会合

ア 冒頭

(ア)ポロシェンコ大統領から,昨年10月のミラノでの安倍総理との会談に触れつつ,ウクライナと日本は共通の価値観と関心が数多くあり,また,オデッサと横浜,キエフと京都がそれぞれ姉妹都市であることを指摘し,人的交流も重要であると述べました。さらに,ウクライナにある日本センターの活動をウクライナ政府も支援しており,両国の更なる関係強化・促進への期待が表明されました。

(イ)これに対し安倍総理から,ウクライナ訪問を実現でき,ミラノでの約束を果たすことができてうれしい旨述べました。

イ ウクライナによる国内改革及び日本の支援

(ア)ポロシェンコ大統領から,改革の基礎である財政基盤に対する日本からの財政支援のパッケージは非常に重要であり,産業インフラ復興支援に日本が参加することを期待したい旨述べました。

(イ)これに対し安倍総理から,ウクライナの改革努力を後押しするため,日本は約18.4億ドルの支援を表明している,是非結果を出していただきたい旨述べました。また,安倍総理から,1,100億円の大規模なボルトニッチ下水処理場改修計画のE/N署名を歓迎するとともに,日本が世界銀行と協調して3億ドルの追加支援を表明済みの件についても,ウクライナのエネルギー関連の法案の発効等を待って供与する方針であり,早期実施に向けた努力をお願いしたい旨述べました。

(ウ)さらに,安倍総理から,OSCEの特別監視団(SMM)への日本からの要員派遣決定を伝達し,銀行セクター部門を含めた経済・財政,司法分野の専門家派遣も検討中である旨述べました。

ウ 二国間経済関係・投資協定

(ア)ポロシェンコ大統領から,6月3日にウクライナ最高議会で日ウクライナ投資協定の批准を決定できた旨紹介し,今後この投資協定を利用して日本の多くの企業がウクライナに進出してくれることを歓迎したいと述べました。

(イ)これに対し安倍総理から,経済関係については,2月の投資協定の署名を歓迎する,ウクライナ議会で批准が決定されたことは大変喜ばしい,早期の発効を期待したい旨述べた。併せて,大きな潜在可能性を持つウクライナの経済改革に期待をしている,日本は改革の進捗を見ながらジェトロによる経済ミッション派遣を含め,日本企業のウクライナ市場への更なる進出を後押ししていきたい,早期の投資環境整備をお願いしたいと述べました。

エ エネルギー分野での協力

(ア)ポロシェンコ大統領から,エネルギー分野での近代化・改革は非常に重要である,日本の効率的でレベルの高いエネルギー技術,投資,特に石炭火力発電の日本の高い技術の導入を是非進めていきたい旨述べました。

(イ)これに対し安倍総理から,日本が作成しているウクライナのエネルギー政策マスタープランを,夏を目処に提示をする予定である旨述べるとともに,高効率の石炭火力発電所については協力していきたい,エネルギー分野については円借款の活用についても検討したい旨述べました。

オ その他の分野での協力

(ア)ポロシェンコ大統領から,日ウクライナ原発事故後協力協定合同委員会の開催に向けた協力,ウクライナのASEMへの加盟に対する安倍総理からの支持要請及び農業施設の充実や技術の導入を日本と連携して進めていきたい旨の要望があり,安倍総理から,同委員会の第3回会合の開催に向け,事務レベルでの調整を進めていきたい,ウクライナのASEM加盟については,日本としても支援していきたい,農業施設の充実等に関する協力については,具体的な話を頂ければ検討を進めていきたい旨述べました。

(イ)安倍総理からは,本年4月,日本で超党派のウクライナ友好議連が再結成されたこと,日本政府がフロイスマン最高会議議長の訪日招へいを決定したことを述べ,両国の議員交流を活発化していきたい旨述べました。

(ウ)また,安倍総理から,ウクライナからの要請を受け,ウクライナの外交旅券所持者への査証免除に向けた検討を開始することを伝達し,今後幅広い分野での対話を一層強化していきたい旨述べました。

出典:外務省

デーニ紙(ウクライナ)による安倍総理大臣インタビュー (平成27年6月5日付)

平成27年6月9日

「日本は,新生ウクライナとのパートナー関係を拡大する用意がある」

本日,日本の総理大臣の安倍晋三は,ウクライナに2日間の公式訪問を行う。日本の総理大臣が我が国を訪れるのは,日・ウクライナ関係の歴史上,初めてとなる。一方,日本には既にウクライナの大統領3人及び首相が訪問している。これらの訪問の事実上唯一の成果となったのは,2011年1月に署名された日本・ウクライナ・グローバル・パートナーシップである。

訪問の前夜,ウクライナの大統領広報室は,G7サミットの前夜の安倍晋三総理の訪問は,ウクライナに対する堅固かつ包括的な政治的支持の力強い表れであると強調した。

「デーニ」紙は既に,この訪問に対してウクライナ側としてどのような期待を持っているか,「ウクライナ支持の力強い表れ」という記事(2015年6月3日付)に記載している。

この,日・ウクライナ関係の歴史上初めての訪問に,日本側としてどのような期待を託しているのだろうか。また,日の出ずる国において,2011年の1月に発表された日本・ウクライナ・グローバル・パートナーシップの具体的な実現をどのように見ているのだろうか。「デーニ」紙の独占インタビューに対し,安倍晋三総理が語った。

 
(安倍総理大臣)昨年10月にミラノのASEMでポロシェンコ大統領にお会いした際,大統領から,可能な限り早い時期にウクライナにお越しいただきたいとお招きをいただき,今回,日本の総理として初めてウクライナを訪問できることを大変嬉しく思います。

日本とウクライナは,2012年に外交関係樹立20周年を迎えました。今回の訪問で私は,日本の円借款によりターミナルが改修された,ウクライナのフロント・ゲートであるボリスピリ空港に降り立つことができることも,非常に感慨深く思います。

ウクライナは昔から我々日本人の身近にありました。私が小学生だった頃,ウクライナ人を父に持つ偉大な横綱,大鵬が日本中を沸かせていました。1960年代には子供が最も好きなものとして「巨人・大鵬・卵焼き」が流行語となるほどでした(巨人は日本で人気ある野球チーム)。

1991年のウクライナの独立後は,日本とウクライナは共通の価値を有するパートナー国として,二国間関係の発展,国際的課題等での協力を一層進めてきました。2011年の日・ウクライナ・グローバル・パートナーシップ宣言は,その協力の成果と今後の方向性がまとめられたものです。

その後,ウクライナは厳しい困難に直面することになりましたが,日本は,以前にも増して民主主義を強く希求している新生ウクライナとのパートナー関係をさらに力強く拡大していく考えです。この宣言で交渉開始を合意した日・ウクライナ投資協定は,現政府の協力を得て交渉を加速させたことにより,本年2月に署名に至りました。パートナー関係の発展に向け,早期に締結したいと考えています。

今回の首脳会談で私はポロシェンコ大統領に,我が国として,ウクライナの主権・領土一体性と,ウクライナが現在取り組んでいる国内改革を官民を挙げてしっかり支援し,ウクライナと日本の幅広い協力関係を引き続き発展させていくことをお伝えしたいと考えています。相互理解と相互信頼に基づく日・ウクライナ関係を一層高いレベルに引き上げる機会となるよう,今後の協力の方途についても意見を交わしたいと思います。

東日本大震災の際には,ウクライナ国民の皆様から心温まる支援を頂きました。そうした感謝を胸に,今度は日本が,ウクライナがその潜在性を更に発揮して,国民がより豊かになる国造りを推進していくことを支援できればと考えています。

私は,今回の訪問が両国国民の友好関係の絆をさらに深める機会となることを心から期待しています。

(問)ウクライナは,日本からのチェルノブイリ原子力発電所事故後の支援と,現在の民主化を目指す18億ドルの支援を感謝しています。ウクライナの経済危機を考慮し,日本は将来ウクライナへ新しい財政支援のプロジェクトを実施する予定があるのでしょうか。また,日本は今年の7月上旬にベルリン,秋にワシントンで行うウクライナの投資に関するビジネス・フォーラムに参加するのでしょうか。

(安倍総理大臣)ウクライナが平和で安定した,豊かな国家となることは,欧州地域のみならず,アジアを含む世界全体にとっても有意義なことであり,そのためには国際社会の後押しのみならず,ウクライナ自身の努力も重要となります。

日本はウクライナのこうした改革努力を後押しするため,経済状況の改善,民主主義の回復,国内の対話と統合の促進が重要との観点から,これまでに表明してきた最大約18.4億ドルの支援を着実に実施していく考えです。

まず,経済状況の改善を目的として,日本は国際収支改善のため昨年約1億ドルを供与しましたが,今後3億ドルの追加支援を行う予定です。また,ボルトニッチ下水処理場改修のための円借款の供与が予定されており,最新鋭の日本の技術を活用し,長年の懸案であったキエフ市の環境問題の解決に向け280万人のキエフ市民が直接裨益する大規模案件であることから,両国の協力関係の象徴案件となるべき支援を実施できることを嬉しく思います。

第二に,民主主義の回復のため,選挙監視要員の派遣や,ガバナンス分野におけるJICAの技術協力を通じた民主化支援を行っています。これまで汚職対策に取り組むウクライナ最高会議の議員や政府関係者の皆様を日本にご招待しました。こうした人的交流等を通じ,日本の経験がウクライナの司法改革に資することを期待しています。

第三に,国内の対話と統合の促進を目的として,国内避難民支援,東部復興支援を国際機関と協力して実施しています。また,OSCE特別監視団の増員のための新たな財政支援を行いました。

ウクライナが大胆で包括的な改革を行い,強靱性と持続性を持つ国になるよう,日本は,G7を始めとする関係諸国と連携し,ウクライナの更なる成長・発展のため,一層積極的に関与・支援していきます。

本年4月の「ウクライナのための国際支援会議」は,日本からも薗浦外務大臣政務官が出席しましたが,ウクライナ政府の努力もあり大成功であったと聞いております。お尋ねのウクライナの投資に関する会議等はまだ計画中と承知しておりますが,日本としていかなる貢献ができるか今後検討していきたいと思います。

出典:外務省

画像:内閣広報室

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