南出喜久治弁護士、日弁連や弁護士会を提訴「政治的声明は違法」
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弁護士が、日本弁護士連合会や弁護士会を提訴した。
「政治的な主張は違法だ」ということらしいが、どのような主張がなされているのか、調べてみて驚いた。今回問題となった声明の一部をご紹介したいと思う。
まず、以下が弁護士が提訴した内容を含むニュース。
弁護士が日弁連などを提訴
南出喜久治弁護士の主張
日弁連や弁護士会による特定の政治的な主張は「弁護士自治とは全く無縁な『目的外行為』であり違法だ」 |
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1 | 弁護士法で弁護士は日弁連と弁護士会への強制加入が義務づけられているうえ、文書は正規の機関決議を経たものではない。 そのため、文章を作成して発信する権限は日弁連や京都弁護士会にはない。 |
2 | 日弁連は特定の意見を表明する政治団体になっている。 |
3 | 主張したいならば強制加入の団体ではなく、賛同者を集めて任意団体を作ってやるべきだ。 |
以下は、これを報じたニュース記事。
「政治的な声明は違法だ」 弁護士が日弁連などを提訴
日本弁護士連合会や弁護士会による特定の政治的な主張について「弁護士自治とは全く無縁な『目的外行為』であり違法だ」などとして、南出喜久治弁護士が1日、日弁連や所属する京都弁護士会、それぞれの会長などを相手取り、ホームページ上の意見書や会長談話の削除と100万円の慰謝料を求める訴訟を東京地裁に起こした。
問題となったのは今年6月の「安全保障法制改定法案に反対する意見書」や平成26年7月の「集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明」など計15本。
原告側は訴状で、弁護士法で弁護士は日弁連と弁護士会への強制加入が義務づけられているとした上で、「(声明として出される)文書は正規の機関決議を経たものではなく、文章を作成して発信する権限は日弁連や京都弁護士会にはない」と主張している。
提訴後に会見した南出弁護士は「日弁連は特定の意見を表明する政治団体になっている。主張したいならば強制加入の団体ではなく、賛同者を集めて任意団体を作ってやるべきだ」と訴えた。
日弁連は「訴状は届いていないが、受領したら内容をよく検討して適切に対応したい」とコメント。京都弁護士会も「訴状が届いていないのでコメントできない」としている。
出典:産経 2015.7.1 17:22
以下は、問題となった日弁連の主張、計15本のうち2本。
南出弁護士が訴えた、日弁連の政治的な主張の一部
安全保障法制改定法案に対する意見書
意見書全文(PDFファイル)
2015年6月18日
日本弁護士連合会本意見書について
当連合会は、2015年6月18日に本件について意見を取りまとめ、内閣総理大臣、内閣官房長官、防衛大臣、外務大臣、衆議院議長、参議院議長、各政党代表者へ提出しました。
本意見書の趣旨
2015年5月15日に内閣が国会に提出した平和安全法制整備法案及び国際平和支援法案は、以下の1から3等において、日本国憲法の立憲主義の基本理念並びに憲法第9条等の恒久平和主義と平和的生存権の保障及び国民主権の基本原理に違反して違憲であるから、これらの法律の制定に強く反対する。
1 我が国に対する武力攻撃がないにもかかわらず、「存立危機事態」において集団的自衛権に基づいて他国とともに武力を行使しようとするものであること
2 「重要影響事態」及び「国際平和共同対処事態」において、武力の行使を行う外国軍隊への支援活動等を、戦闘行為の現場以外の場所ならば行えるものとすること等は、海外での武力の行使に至る危険性の高いものであること
3 国際平和協力業務における安全確保業務やいわゆる駆け付け警護、さらには在外邦人の救出活動において、任務遂行のための武器使用を可能なものとすること等は、海外での武力の行使に至る危険性の高いものであること
集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定に抗議し撤回を求める会長声明
本日、政府は、集団的自衛権の行使等を容認する閣議決定を行った。
集団的自衛権の行使容認は、日本が武力攻撃をされていないにもかかわらず、他国のために戦争をすることを意味し、戦争をしない平和国家としての日本の国の在り方を根本から変えるものである。
集団的自衛権の行使は、憲法第9条の許容するところではなく、そのことはこれまでの政府の憲法解釈においても長年にわたって繰り返し確認されてきたことである。
このような憲法の基本原理に関わる重大な変更、すなわち憲法第9条の実質的な改変を、国民の中で十分に議論することすらなく、憲法に拘束されるはずの政府が閣議決定で行うということは背理であり、立憲主義に根本から違反している。
本閣議決定は「我が国の存立が脅かされ、国民の生命、自由及び幸福追求の権利が根底から覆される明白な危険がある」等の文言で集団的自衛権の行使を限定するものとされているが、これらの文言は極めて幅の広い不確定概念であり、時の政府の判断によって恣意的な解釈がされる危険性が極めて大きい。
さらに、本閣議決定は、集団的自衛権の行使容認ばかりでなく、国際協力活動の名の下に自衛隊の武器使用と後方支援の権限を拡大することまで含めようとしている点等も看過できない。
日本が過去の侵略戦争への反省の下に徹底した恒久平和主義を堅持することは、日本の侵略により悲惨な体験を受けたアジア諸国の人々との信頼関係を構築し、武力によらずに紛争を解決し、平和な社会を創り上げる礎になるものである。
日本が集団的自衛権を行使すると、日本が他国間の戦争において中立国から交戦国になるとともに、国際法上、日本国内全ての自衛隊の基地や施設が軍事目標となり、軍事目標に対する攻撃に伴う民間への被害も生じうる。
集団的自衛権の行使等を容認する本閣議決定は、立憲主義と恒久平和主義に反し、違憲である。かかる閣議決定に基づいた自衛隊法等の法改正も許されるものではない。
当連合会は、集団的自衛権の行使等を容認する本閣議決定に対し、強く抗議し、その撤回を求めるとともに、今後の関係法律の改正等が許されないことを明らかにし、反対するものである。
2014年(平成26年)7月1日
日本弁護士連合会
会長 村越 進
きわめて一方的な政治的内容で驚いた。
弁護士法で「弁護士は日弁連と弁護士会への強制加入が義務づけられている」という状況下で、日弁連や弁護士会を名乗って声明を出し、しかもそれが繰り返されていたのに野放しになっていたとは。
「日弁連が政治団体になっている」という主張も頷けるし、「主張したいならば賛同者を集めて任意団体を作ってやるべき」というのも尤もだと思う。