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【安保法制】新法制で何が変わるのか?「切れ目のない安全保障」とは? わかりやすく解説

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安倍晋三首相は14日夕、「国際平和支援法案」など新たな安全保障関連法案を閣議決定後の記者会見で、以下のように説明した。

戦争法案などといった無責任なレッテル貼りは全くの誤りであります。あくまで日本人の命と平和な暮らしを守るため、そのためにあらゆる事態を想定し、切れ目のない備えを行うのが今回の法案です。

参考記事安倍首相「安全保障関連法案」閣議決定をうけ記者会見<全文・動画>

ここで述べられた 「 切れ目のない備え 」 こそ、この法案を理解するポイントだ。

逆に、これまでの日本の防衛法制には、「切れ目」が存在していた と言える。

「日本は戦争もなく平和に過ごせてきたのだから、これまで通りでいい」
「安倍首相は戦争をしようとしている」

などと反対派は言うが、隣国には軍事的膨張を続け、堂々と法の秩序を破り、他国の平和を脅かす国が存在する。「このような世界情勢の変化にどう対応し、日本を守るのか」という疑問について、納得のいく説明を聞いたことがない。

この、これまでの 「 切れ目 」 をどうふさぐのか について、産経新聞が分かりやすく3段階に分けて説明していたので、それを参考にご紹介したいと思う。

以下の通り、「有事」発生までの事態の深刻度を3段階に分けて整理されている。

新たな安全保障関連法案は、どう切れ目をなくすのか

事態の深刻度レベル1 <平時>

在外邦人の救出など

自衛隊が在外邦人を救出する任務に必要となる武器使用を認める

「平時」に国外でテロが発生した場合、課題となるのは在外邦人の保護。

過去の例平成25年1月のアルジェリア人質事件
政府は事件を機に在外邦人の陸上輸送を可能としたものの、武器使用権限が正当防衛や緊急避難など「自己保存型」に限られるため、より危険な任務となるテロ組織に拘束された邦人の救出任務は手付かずだった

武装集団などを排除する「任務遂行型」として、国際標準の使用基準に近づけた。

政府が想定する邦人救出は、8年のペルー日本大使公邸占拠事件のように在外公館がテロ組織に占拠されるケースや、治安悪化によって国外退避する邦人を警護するケースなど。
救出任務の実行には当該国が同意しているほか、当該国の権限がその地域に及んでいることなど3つの要件を満たす必要がある。

PKOなど

国連平和維持活動(PKO)に派遣される自衛隊の役割を拡大させる

自衛隊が武装勢力に襲われた遠方の非政府組織(NGO)などを助ける「駆け付け警護」を可能にするほか、現地住民を混乱から保護する「安全確保業務」を追加する。
PKOと異なり、国連が統括しない国際協力にも参加できるよう「国際連携平和安全活動」を新設する。

これまで活動の正当性を確保するため、PKOに自衛隊を派遣する際の「参加5原則」を満たした上で、国連の総会や安全保障理事会、経済社会理事会の決議などを必要とした。政府は、イラク復興支援特別措置法に基づき、自衛隊が16~20年に派遣されたイラクでの人道復興支援活動のようなケースを想定している。

国際平和共同対処事態

新法の「国際平和支援法案」では、自衛隊の他国軍への後方支援を随時可能にする

これまで13年のアフガニスタン戦争に参加した米軍など有志連合軍に対する自衛隊による後方支援は、時限立法のテロ対策特別措置法で対応してきた。必要な事態が生じてから法律を制定するために迅速な反応は難しかった

 

事態の深刻度レベル2 <グレーゾーン(平時でも有事でもない)>

「グレーゾーン事態」とは何か

自衛隊に防衛出動が命じられる「有事」ではないが、治安維持を担う海上保安庁や警察による対処は困難という“隙間”の事態。

日本の主権が侵害される主な例
(1)武装集団による離島への不法上陸、占拠
(2)外国軍艦が日本領海に侵入
(3)公海上で日本の民間船舶が攻撃される

グレーゾーン事態で自衛隊が「治安出動」「海上警備行動」を迅速に行うため、閣僚に電話で了解を取り付ける閣議決定の方式を導入する
自衛隊法の改正で、米軍など他国軍が自衛隊との共同演習や警戒監視活動など日本防衛に役立つ活動をしている際に攻撃を受けた場合、その武器や艦艇の防護を可能にする
北朝鮮による弾道ミサイル発射に対処している米軍など。

重要影響事態(放置すれば日本への武力攻撃になり得る)

事態を放置すれば日本に対する直接の武力攻撃に至るおそれがある朝鮮半島有事や台湾海峡有事などを想定した周辺事態法を「重要影響事態法」に改める

自衛隊の活動範囲に対する地理的制約がないことを明確化。「重要影響事態」と判断されれば日本の安全保障に資する活動をする他国軍に後方支援できるようにした。

周辺事態法では米軍のみを支援対象としていたが、重要影響事態法案では日本のために活動している他国軍であればどの国でも後方支援できる

支援メニューも弾薬の提供や発進準備中の戦闘機への給油をできるように改め、質量ともに活動の幅を広げる

 

事態の深刻度レベル3 <有事> 存立危機事態

「存立危機事態」とは何か

日本と密接な関係にある他国が武力攻撃され、日本の存立が脅かされる明白な危険がある事態。

日本に対する侵攻が起きた「有事」に、日本は自衛権を発動し自衛隊が防衛出動する

現行法制では、日本が直接武力攻撃を受ける「武力攻撃事態」での「個別的自衛権」の行使しか認められていない。日本と密接な関係にある他国が武力行使を受けた際に、日本が武力行使して助ける集団的自衛権の行使は認められていなかった。

新法制では、他国への攻撃により、日本の存立や国民の権利が根底から覆される明白な危険があるケースを「存立危機事態」とし、この場合には集団的自衛権を行使できる

戦時下のホルムズ海峡での機雷掃海や、米国に向かう弾道ミサイルの迎撃など。

機雷掃海やミサイル防衛は、4月に日米両政府が合意した「日米防衛協力のための指針(ガイドライン)」の再改定にも、集団的自衛権を行使する分野として盛り込まれている。
参考記事日米安全保障協議委員会(「2+2」閣僚会合)開催 新ガイドライン承認

これまで集団的自衛権は国連憲章でも認められる権利だが、日本の歴代政権は集団的自衛権の行使を憲法解釈で禁じてきた。しかし、集団的自衛権を行使できないなら、戦地から脱出する邦人を輸送する米艦艇が攻撃されても自衛隊は武力行使できない

武力行使の新3要件

1国の存立が脅かされる危険がある
2他に適当な手段がない
3実力行使は必要最小限

 
首相は昨年7月、これまでの解釈を見直し、集団的自衛権の行使を容認する閣議決定を行った。「武力行使の3要件」を定め、「必要最小限度」の範囲で行使できるよう改めた。

参考文献:産経新聞 2015.5.14

 
参考以下は宮家氏による、より簡単な説明です。

宮家邦彦氏が説明「高校生でも分かる新安保法制」

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