トランプが感銘受けたピーター・ナヴァロ『米中もし戦わば』日本3つのシナリオ
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次期アメリカ大統領ドナルド・トランプは、ピーター・ナヴァロの著書『米中もし戦わば 戦争の地政学』を読み感銘を受け、自らの陣営に招き入れた。
ナヴァロはカリフォルニア大学アーバイン校教授で、専門は経済学と公共政策。CNBCの経済番組ではレギュラー出演者として活躍したエコノミストで『中国は世界に復讐する』でも知られる。
21日に報じられた情報では、トランプはホワイトハウス内に国家通商会議を新設し、これまで政策顧問を担当していたナヴァロを議長に充てるという。
トランプは「ピーター(ナヴァロ)はグローバル化による米労働者への打撃を予知するとともに、米国の中間層復活への道筋を示した。通商顧問として、彼は次期政権で重要な役割を果たす」と声明を出した。
ナヴァロは対中強硬派で知られ、トランプと台湾の蔡英文総統との電話会議を実現させたのも彼のアトバイスがあったと言われる。
彼は著書『米中もし戦わば 戦争の地政学』の中で、中国の軍事力増大の状況における日本の3つのシナリオを挙げているが、これについて週刊文春(2016年 12/29 号)がインタビューを行っているので記録しておこう。
日本の対処法 3つのシナリオ
ナヴァロ氏は、
としたうえで、以下のように述べている。
1.「日本核武装」シナリオ
日本にとって簡単なことでしょうが、アメリカの核の傘の信頼性が疑問視される状況は、核拡散に歯止めがかからなくなり、大変危険です。
2.「中国に乗り換える」シナリオ
日本は尖閣諸島はもちろん、最悪の場合、沖縄の領有権まで中国に明け渡すことになります。
経済面では中国と経済圏を形成することになりますが、この経済圏と不利な条件で貿易を強いられるアメリカとの軋轢が生じ、米中衝突に巻き込まれます。
3.「ぶれない同盟国」シナリオ
鍵になりうるのは、比較的安価だが抑止力の高い、対艦弾道ミサイルなどの“非対称兵器”をより広範囲に防衛力として使用することです。
また日本にできることとして米軍基地の『分散・多様化』が挙げられます。中国の軍備増強により、現在、アジアの米軍基地や空母戦闘群は中国の移動式弾道ミサイルの格好のターゲットになっている。そこで、基地や艦船といった高価値資産を日本列島、とくに、およそ千キロにわたって伸びている琉球諸島の島々にまで配備すれば、中国がターゲットに絞り込むのは遥かに難しくなる。
ナヴァロのシナリオは、1.2.は現実的に難しい。だから3.が残されているという話で、これはもちろん「アメリカ側から見て都合のいいシナリオ」ということにもなる。
だから日本側から見れば、そのまま鵜呑みにできない箇所もあるだろう。
しかし、同盟国であるアメリカの次期大統領が感銘を受け重用している人物がどのような考えを持っているかを知ることは非常に重要だ。そして何より、戦争の火種がすぐ近くあるという現実を、絶対に忘れてはならないと思う。